仏具の中でも最も一般的とも言える「おりん」
リンの意味や役割と鳴らし方や選び方について解説

  • 2016.06.14
  • 2020.03.06

仏具

仏具のリンと言えば、見ればわかるという位に多くの人に馴染みのある仏具の1つです。
お仏壇や仏具の事を何もしらなくても、この仏具の事は聞いたり見たことが事がり、昔よく鳴らしたりして怒られたなんて人も多いのではないでしょうか。

よく正式名称がわからず、「チーンと鳴らすやつ」といった事で表されますが、仏具の1つで「鈴(りん)」と呼ばれます。
仏壇屋やネット上などでは、漢字で書いてすずと見間違えたりしないように、「りん」や「リン」とひらがなおよびカタカナで表記される事が多いです。

よくある仏具ではあり、誰もが簡単に打てば鳴りはしますが、実際には正式な鳴らし方などや宗派によっての違い、色々な種類もありますのでこれを機会に覚えておきましょう。

また、宗派によっては、鏧、鈴、鐘と呼び名が変わる場合もありますが、当サイトでは便宜上すべて、「リン」「おりん」と表記して解説していきます。

そもそも、リンとはどういうものかをおさらい

先ほども簡単に解説してきましたが、リン、おりんについて見ておきましょう。

仏前で手を合わせる前にチーンと鳴らし、非常に澄み渡った音を出す仏具です。
作りは叩いて音をならす事から、多くが金属製となり、鈴形のデザインになります。

また、リンは仏具の中でもとりわけ知名度なども高い仏具という事もあり、今では様々な種類が存在しています。

昔からよく見るタイプのオーソドックスなものから、パッと見ただけではリンと判別できないような、雑貨などのようにも見える、デザインにこだわったものまで多種多様になってきています。

仏壇用の仏具としてでは、お仏壇のサイズに合わせてリンのサイズも選び、多くが7cm~15cmほどのリンが主流となります。

リンとは器で、リン台やリン布団とリン棒とのセットが一般的

ややこしい話にはなりますが、「リン」とは厳密にはお椀の形をした鈴の部分だけを言います。
そのため、実際にはリンだけでは、いわゆるチーンとは鳴らしにくくなります。

多くの場合、下記のように

  • リン本体
  • リン棒
  • リン布団
  • リン台
  • リン棒台

この中のいくつかがセットとして用意されている事がほとんどです。

リン棒

先ほども述べたように、リンはそれ単体だけでは音を鳴らすのが困難です。
金属製のため、爪などで弾けば音自体は鳴るかもしれませんが、専用の鳴らすための「リン棒」と呼ばれている仏具を使って鳴らすのが一般的です。

リンの中には、そのリンだけで使うためにデザインや材質なども合わせて作った専用となるリン棒もあれば、多くのリンに合わせられるようなデザインのリン棒もあります。

また、リン本体に棒が備え付けられたような一体型のリンもあります。

リン台

リンは金属製が多く、どっしりとしています。
また、一方でお仏壇は木製になるため、どうしてもそのまま置くと木に傷が付きやすくなってしまいます。

そういったことから、おりん本体をそのまま仏壇の上に置くのではなく、その間にリン台と呼ばれる台を置くのが一般的です。

リン布団

また、リン台に直接おりん本体を置くと、今度はリン側に傷が付く恐れなどもあります。
そのため、リンとリン台の間に、傷を付けたりしないようにもクッション的な役割ともなるリン布団と呼ばれる中敷きを敷いて使われます。

リンなどによっては、リン布団がリン台を兼ねている場合もあります。

リン棒台

リン棒は基本的に円状の棒形のデザインをしており、お仏壇の上にそのまま置いておくと、コロコロ転がりやすくなります。
また、リンを叩く棒状のところには、傷が付かないようにクッション性の高い布などで巻かれている事もあります。

そのため、人によってはリン棒をそのままお仏壇に置くのが憚られるという方もいますので、リン棒のための台も存在します。

おりんも価格は安いものであれば、数千円からあり、高級なものであれば、安いお仏壇を超える価格のリンも存在します。
高級なリンであれば、それぞれに相応しい専用のリン棒、リン台、リン布団、リン棒台などが用意されていることもあります。

必要なものを組み合わせて使う

リンに関する仏具は上記のように複数ありますが、全てを使うというわけではなく、このうちのいくつかを組み合わせ使う事になりますし、
多くの仏壇屋さんでもセットでこれらが用意されている事が多いです。

お仏壇のサイズが小型か大型かによっても、置けるスペースなどは変わってきます。
小型のお仏壇にリン台を置き、その上にリン布団を置いて、その上にリン本体を置くとなると、高さが出てしまいます。

そういった場合は、リン布団がリン台も兼ねるようにして、リン布団+リン本体+リン棒といったセットで使う形になります。
逆に大型仏壇などの場合、リン台がないと周りの仏具と比べて極端にリンが小さいサイズに見えてしまうこともあります。

また、最近主流となっているモダン仏壇に合わせた、デザイン性が高いリンセットなどの場合は、そもそもリン布団やリン台などは無かったりします。

デザイン性が高いリンの場合、自立式になっていたり、リン棒とリンが対のデザインになっていたり、中に収納できる仕組みになっていたりと様々です。

どちらかと言えば、リン布団やリン台などは、いわゆる唐木系のお仏壇など、昔ながらの伝統を感じる仏壇に祀るリンセットの際に用いられることが多くなっています。

そもそものリンの役割とは

もとはこのリンというものは禅宗で使われていたとされています。
今では呼び名などは宗派によって一部変わったりする事がありますが、基本的には全ての宗派で現在も使われている仏具になります。

鳴らせば澄み渡る「チーン」という音が鳴りますが、この音によって人々の邪念を払うと言われているのです。

さらには、この音にのせて、供養や祈りを極楽浄土に届けるといった事も言われていますので、御先祖様や仏様、故人への思いをしっかり込めて鳴らすようにしましょう。

小さい頃に祖父母の家などで音が鳴るのが面白く、チーンチーンと何度も鳴らしていて怒られた事がある方もいるかもしれませんが、こういう意味があるからなのです。

リンの正しい鳴らし方、打ち方

おリンはそれ自体どこを打っても音が鳴ります。
そのため、適当に打って鳴らせば良いと考えて居る人もいますが、しっかりと鳴らし方というものも存在します。

ここでは、正しいリンの鳴らし方、打ち方について見ていきましょう。

そもそも、リンは無闇矢鱈に打つものではない

よく法事や法要などで、線香を立ててリンを鳴らしてお仏壇に手を合わせて合掌しお祈りするといった場面は一般的に思うかもしれませんが、実はこれは正式に見てみると間違った作法となります。

厳密に言えば、リンは読経の際に使われます。
そのため、合掌や礼拝、御焼香の際に鳴らすものではありません。

実際には経本を読む際に鳴らしますが、リンを鳴らす(打つ)箇所がしっかりと指示されており、はじまりや区切りにリンを鳴らします。

鳴らす専用の仏具を使い、決められた場所・回数鳴らす

リンを鳴らす際には、先ほども解説したように、鳴らすための専用の仏具でもあるリン棒や撥と呼ばれる仏具を使って打ち鳴らします。
鳴らす場所としては、リンの縁を叩いて鳴らしますが、宗派によっては内側を叩くという宗派もあります。

先ほども述べたように、読経の始まりや途中、終わりに鳴らされますが、読経が無い場合には鳴らさなくても問題なく、必ずしも鳴らさなければいけないといった事はありません。

とはいえこのあたりは厳密に宗派によって変わってきますし、同じ宗派でもお寺によっても変わってきます。
始めに2回、途中1回、最後に3回といった場合もあれば、始めに2回、途中で2回、最後に3回といた場合もあります。

場合によっては、先ほど述べたのと真逆となるような、読経をしなくても鳴らすとしているところもありますので、鳴らし方や鳴らす回数、鳴らすタイミングなどは檀家寺に一度はご相談しておくと良いかもしれません。

大切なのは方法や回数ではなく、その心

とはいえ、やはり大切になるのがどういう鳴らし方、鳴らす方法をとるかではなく、しっかりと手を合わせてお参りする事でもあります。
その心がしっかり備わって、しっかりとした方法に意味があります。

鳴らし方を正確に知っているのに何もしない人よりも、多少鳴らし方は違えど心がこもった毎日のお参りを欠かさない人では意味合いも変わってきます。

もちろん、全て知った上で毎日お参りできるのが理想ではありますので、知って毎日のお参りもしっかりできるようになっておきましょう。

リンの選び方

では実際にリンをお仏壇に置く際、仏具として買おうと思った場合、どのように選べば良いのかを見ておきましょう。

昔とは違い、今ではリンにも様々な種類が出てきました。
いわゆる伝統的な仏具で、昔ながらのまさに工芸品かのようなリンセットもあれば、可愛らしいデザインのものや、一見しただけではリンとはわからないものまでたくさんあります。

浄土真宗以外では、仏壇・仏具に合わせて選べば問題無い

リンを選ぶにあたり、宗派などによってこう選ばなければならないといった事は特にありません。
ただし、浄土真宗の場合のみ、本願寺派・大谷派によってそれぞれ少し異なる点がありますので、注意が必要です。

浄土真宗でない他の宗派の場合は、リンを選ぶ時はお仏壇や周りの仏具のデザインやサイズを合わせて選ぶ事がほとんどです。

浄土真宗 本願寺派系

浄土真宗 本願寺派では、特徴的なのがリン台で、六角形型のリン台を用います。
リン台以外では、特に注意する点はありません。

真宗 大谷派系

真宗 大谷派では、特徴的なのはリン台とリン布団になります。
リン台は四角形型のリン台を使い、リン布団は大谷派では使わずに、代わりに「金襴輪」と呼ばれる輪をリン台とリン本体の間に敷きます。

金襴輪はドーナツ型のような丸い輪っか型で中が空いているため、ちょうどおりんの丸みが乗るようになります。

浄土真宗以外

浄土真宗以外は、先ほども書いたように特に制限はありませんので、今あるお仏壇や仏具に合わせて選べば問題ありません。

モダン仏壇とモダン仏具で揃えている場合は、モダン系のリンセットを、逆に唐木仏壇に真鍮製の仏具で揃えているなら、昔ながらのリンセットで揃えた方が統一感があります。

また、リンセットを選ぶ際のサイズも他の仏具とのサイズ感も意識してください。
他の仏具が小型なのに、リンセットだけ大きくなる、またはその逆といった事にならないように注意しましょう。

デザインに凝ったリンセットはサイズ展開は少ない

リンセットのサイズについて1点だけ注意があるとすれば、モダン仏壇とモダン仏具などで揃えている場合は、サイズに注意する必要があります。
というのも、モダンなデザインのリンセットには、サイズがワンサイズで用意されている事が多く、お仏壇によってはサイズが合わないという事があります。

モダン仏壇は最近登場してきて人気を集めている仏壇ですが、どちらかというと小型系が主流です。
床に直接置くお仏壇などであっても、リビングに置いたり家具に見えるようにするためか、比較的小型なサイズが人気を集めています。

そのため、それらにリンも合わせて作られている事が多いため、デザイン性の高いリンセットは比較的小型なリンセットが多くなります。
お仏壇が大型サイズなどの場合、周りの仏具サイズとリンセットのサイズが合わないとなる事もあるため、少し注意が必要です。

一方で古くからあるお椀型のリンセットなどの場合は、サイズが豊富に用意されている事も多いため、既にある仏壇や仏具のサイズに合わせて選びやすくなっています。

リンを叩いた時の音色で選ぶという方法も

リンは、実は叩いた時になる音というのは千差万別です。
同じように聞こえるかもしれませんが、実際に打ち鳴らして聞き比べれば、低音のものもあれば高音のものもあります。

また、打ち鳴らしたときにしっかりと音割れすることなく鳴るかどうか、音が長く続いて余韻に浸れるかなども音で選ぶ時には確認しましょう。

おりんの特徴と言えば、やはり打った時に響く音と言えます。
ですから、この音にこだわって選ぶという方も少なからずいらっしゃいますし、高級りんなどの場合は音を特徴としているものも存在します。

まとめ

仏具のおりんについてまとめてみました。
おりんと言えば、チーンと言われるほどに、割と身近で多くの人が存在を知っている仏具の1つです。

しかしながら、おりんの鳴らし方やそもそもなぜ鳴らすのかその意味や役割というのは知っている方はほとんどいません。
せっかく仏具を選んでお参りするのですから、しっかりと由来や意味なども知って、正しいリンを選ぶようにしましょう。

選び方に至っては、基本はもう好みで選んで問題ありません。
浄土真宗の方のみ、台などを選ぶ時に注意が必要ですが、それら以外で注意すべきは特になく、デザインや音色などで選んで問題ないと言えます。

今ではリンセットは非常に多くの種類が存在し、可愛らしいものからスタイリッシュなもの、伝統を感じるものや職人技が光るものなど、多種多様ですから、しっかり自分たちにあったリンセットを選ぶようにしてくださいね。

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  • 公開日:2016.06.14
  • 更新日:2020.03.06

カテゴリ:仏具

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