今の時代は仏壇仏具も効率化の時代?
花立や火立やおりんなどが1つにまとまった仏具ってどうなの?

  • 2019.05.13
  • 2020.04.06

仏具

核家族化・個人主義の流れを受けて、日本ではお仏壇のコンパクト化が進んでいます。
それに伴い、従来の仏具選びやデザインにも、変化が生じてきています。

かつての日本では、宗派・お寺・仏壇店などの情報に基づき、必要な仏具を揃えることが一般的でした。
大きく分けると、浄土真宗とそれ以外の宗派・創価学会などで必要な仏具の種類が分かれており、その中に共通の仏具も混じっているといったような流れです。

もちろん、どの宗派においても必要となる仏具というものは存在し、代表的なものが三具足(さんぐそく・みつぐそく)です。
三具足とは「香炉(こうろ)」「火立(ひたて)」「花立(はなたて)」のことを言い、それぞれ線香・ロウソクの火・お花を御供えするための仏具です。

基本的にこれらの仏具は別々に購入して揃えるものですが、現代ではそれが一つに、しかもコンパクトにまとまった商品も発売されています。

一般的には、やはり各種をそれぞれ購入するイメージが強く、三具足が一つにまとまっている状態を想像できない人も多いのではないかと思います。
また、いくら何でもそこまで効率化の流れに乗るのは、供養の面で問題があるのではないかと考える人がいてもおかしい話ではありません。

そこで今回は、仏具の効率化が進む現状と実際の使い勝手をご紹介するとともに、コンパクトにまとめられる仏具を使用する是非について考察していきたいと思います。

火・花・お香などの御供えを一つにまとめられる仏具とは

まずは、そもそも「コンパクトにまとめられる仏具」について、具体的にどのようなものを指すのかについてご説明します。

既存のデザインの三具足をプラモデルのように組み立てて収納するわけではなく、あくまでもそれぞれの役割を果たすパーツが組み合わさって一つにまとまる形態をとっているのが特徴です。

「コンパクト仏具」とは、複数の仏具となるパーツを、一つにまとめて収納できるもの

コンパクト仏具という言葉は現代でも歴史が新しく、それほど多くの商品が発売されているわけではありません。
ただ、基本的なコンセプトとしては「複数の仏具となるパーツを、一つにまとめて収納できる」形態をとっている仏具が該当します。

具体的には、まとまっているときにオブジェのような形をした商品が、分解すると香炉・火立・花立などの役割を担うパーツになってくれます。
大きさは手のひらサイズで、気軽に持ち運べる大きさとなっている商品が目立ちます。

リンとリン棒・リンと香炉などの組み合わせもある

三具足の組み合わせだけでなく、リンとリン棒が一つになったもの、リンと香炉が組み合わさったものなど、三具足の一部やリンに特化した商品もあります。

もう既に三具足の一部は所有しており、それ以外で使い勝手のよいものを探している人は、必要なパーツだけ買い揃えるという方法もあるでしょう。

また、家族や自分自身が故人を偲ぶ際に、本当に必要なものは何なのかを考えた結果、リンと線香だけは毎日あげたいと考える人もいるかもしれません。

ネット通販などの環境が整ったこともあるのでしょうが、自分たちのニーズに応じて必要な分だけ仏具を選べるというのは、新しい傾向の一つと言えます。

デザインや素材を統一したものは、一つにまとまるとは限らない

ネット通販などでコンパクト仏具を探す際に注意したいのは、デザイン・素材が統一されて造りがコンパクトな仏具だからといって、収納する際に組み合わせて収納できるとは限らない点です。

商品名や紹介文に「コンパクト」という文言が書かれていたとしても、それはあくまでもデザイン面や大きさの問題であって、実際に配置するとかさばったり、一般的な仏具と使い勝手は変わらなかったりします。

商品を選ぶ際には、小さくてデザインの統一感があるからといって、収納面や取り扱いが楽だとは限らないことに注意が必要です。

そもそも「一つにまとめられる仏具」はなぜ生まれたのか

複数の役割を果たすパーツを一つにまとめて収納できるのが利点のコンパクト仏具ですが、そもそもどのような経緯でこのような仏具が生まれたのでしょうか。
その背景としては、やはり現代の事情が関係していると言わざるをえません。

利用者の口コミを見ると、壁掛け仏壇や写真立てだけなどの環境で使われていることが多く、スペース的な問題や収納する際の使い勝手が求められる環境で愛用されていることが分かります。

一般的な仏具や具足が持つ、掃除の際に片づける面倒さを解消した

比較的大きめのお仏壇をお持ちのご家庭では、毎日のお勤めの際などに、折を見てお仏壇の掃除をすることが多いでしょう。
しかし、お仏壇の内部をきれいに掃除するためには、配置した仏具をいったん取り出さなければなりません。

さらに手間なのが、仏具もまた一つひとつ時期を見て掃除する必要があることです。
万一壊れや欠けが生じた場合、買い換えも検討することになります。

その点コンパクト仏具であれば、使用しないときは一つにまとめてオブジェのようにしておけるため、個々の仏具に気を配る必要がありません。
空いたスペースを拭き掃除するのも簡単ですから、掃除にかかる時間が短縮できます。

デザインが洗練され、オブジェ感覚で使用できる

仏具は、悪い言い方をすれば「仰々しい」デザインをしています。
つまり、宗教的な雰囲気を醸し出しているという意味です。

仏具はお仏壇に使用する道具であり、お仏壇はご先祖様や御仏を安置する場所ですから、仏教観に基づいたデザインになるのは当然です。
しかし、現代の住宅様式には必ずしも合致するとは言えません。

そこで、仏具をデザインする側は、現代的なデザインを考える必要性に迫られました。
その結果生まれたのが、洗練されたデザインの仏具です。

コンパクト仏壇におけるコンセプトの一つとして、普段の暮らしに溶け込める商品を作ることを掲げている会社・商品は少なくありません。
一見するとオシャレで小さな花瓶にしか見えないものや、何かのオブジェに見えるリンなどもあります。

また、仏具として成立することと取り扱いやすさを両立させるため、よりコンパクトなデザインが生まれるのは必然です。
こうして、誰の目から見ても「仏具」であるというデザインから解き放たれた、新しい仏具が誕生したのです。

必要な仏具を厳選して配置する必要性が生まれた結果、お仏壇のコンパクト化が好まれた

現代では、よりコンパクトでデザイン性の高いお仏壇を選ぶご家庭が増えてきています。
その結果何が起こるかというと、選ぶ仏具も厳選して配置する必要性が生じます。

具足は、お仏壇が大きくなれば大きくなるほど、本格的な造りになればなるほど、必要なものが増える傾向にあります。
十一具足ともなると、花立・火立・香炉の他にも線香差しや茶湯器・仏飯器などが追加され、デザインもシックかつ豪華になります。

ただ、コンパクトなデザインのお仏壇に対し、仏具だけがたくさんあっても、置き場所がありません.
そのため、小さなお仏壇の中に入りきり、しかも機能性を失わない仏具が必要とされるようになったのです。

コンパクト仏具を安置するのに向いているお仏壇とは

コンパクト仏具がどのような仏具を指すのかについては、何となくイメージがつかめたものと思います。
続いては、そんなコンパクト仏具を安置する際に、どちらかというと向いているお仏壇の種類について触れたいと思います。

ポイントはやはり「大きさ」ですが、コンパクト仏具は現代的なデザインが多いため、見栄えの面も少なからず関係してきます。
ご家庭にお仏壇がある方はデザインが浮いていないかどうかを、ない方は新しく購入するお仏壇と合うかどうかを考えることを意識してみましょう。

お仏壇の大きさ自体は選ばないが、あまりに大きいと浮いてしまう

コンパクト仏具はその名の通り仏具ですから、基本的にはどのようなお仏壇に配置しても、機能的には問題がないはずです。
しかし、大きさは一般的なものに比べて小さいですから、他の仏具やお仏壇自体の大きさによっては、小ぶりな分だけ浮いてしまいがちです。

そのため、唐木仏壇・金仏壇などで台付型のものが自宅にある場合、相対的に見てどうしても小さく感じられてしまいます。
お仏壇のスケールはもちろん、仏具の多さや大きさも考慮して、バランスを考えて選びたいものです。

家具の上に置ける「上置き仏壇」が大きさの上限と考える

コンパクト仏具が置ける大きさの上限を考えた場合、家具の上に置ける「上置き仏壇」が一つの目安になるでしょう。

上置き仏壇以下の大きさならば、置ける仏具の数が限られるのはもちろん、ご本尊が宗派を問わず掛け軸になるデザインもありますから、比較的現代の考え方を取り入れやすいでしょう。

壁掛け仏壇・ミニ仏壇などを選んだ場合は、そもそもお仏壇の中に仏具を配置することが難しいケースも考えられますから、お仏壇の外に配置しても違和感のないモダンなデザインが好まれます。

そのうえ、使い勝手もよいコンパクト仏具なら、普段の手入れも簡単です。

宗派にこだわらなければ、位牌と写真立てに添えるだけでもよい

お仏壇の大きさについてもう少し踏み込んでみると、特段宗派にこだわりがないご家庭であれば、位牌・写真立てに添えるだけの仏具を選ぶという方法もあります。
その点では、使わないときは一つのオブジェとしてまとめられる、コンパクト仏具のメリットは大きいです。

使うときだけ仏具としての機能を持ち、使わないときはお部屋の雰囲気と調和するため、一般的な仏具よりも優秀です。
位牌や写真立て自体が現代的なデザインなら、よりスマートに見えるはずです。

古いお仏壇で使う仏具として、コンパクト仏具に買い換える場合の注意点

現在すでに自宅に古いお仏壇があって、普段よく使う仏具だけをコンパクト化したいと考える方は、いくつか注意すべき点があります。
見た目の問題だけでなく、場合によってはお坊さんの勝手やお寺の都合・宗派の事情を考慮する必要があるからです。

特に、檀家としてお寺との関係が深い場合は、一つひとつの仏具を選ぶ際にも何かしらの理由があるはずです。
思いつきで購入する前に、問題がないかどうか確認した方が賢明です。

宗派やお寺によって「必要最小限」の意味合いは違う

コンパクト仏具でカバーできる仏具の数は限られます。
市場に出回っているもので言うと、最大で「三具足+リン」程度までが限界でしょう。

これらの仏具というのは、線香・お花・灯火をあげ、リンを鳴らしてお祈りをする行為に用いられます。
各家庭で日常的に行われているお勤めですが、もちろんこれだけが家庭の仏事ではありません。

月命日やお盆など、お坊さんに足を運んでもらうことが珍しくないご家庭は多いはずです。
そうなると、本来であれば必要なものが揃っていない分、お坊さんもお経をあげにくくなります。

お経をあげる場合、リンを鳴らすタイミングが決まっていることもあり、比較的頻繁に使用する宗派も珍しくありません。
そこで独特な形状をしたものがあると、やはり使い勝手に戸惑ってしまうことは十分考えられます。

三具足についても、それはあくまでも最小単位であって、このほか仏飯器・茶湯器などの具足、あるいはそれに準ずるものが本来ならば多くの宗派で必要です。
どこまでを仏具としての必要最小限と考えるかは、きちんと菩提寺に確認してから買い換えるようにしましょう。

比較的新しいデザインのため、口コミはしっかり確認してから購入しよう

コンパクト仏具は、世に出てから歴史が浅い仏具です。
概ね好評な意見が多い反面、コンパクトならではのデメリットも報告されています。

そのため、初めて買うなら口コミをしっかりチェックしておきたいところです。
以下に、主な口コミの意見から集めたデメリットをご紹介します。

もう少し機能が多いとうれしい

コンパクト仏具の規模で考えると、一つのオブジェにおさまるのは、三具足+リンが最大です。
そのため、中には茶湯器・仏飯器・線香入れなどもオプションで付けて欲しかったという意見も聞かれます。

将来的に追加される可能性は高いですが、そうなると一つのオブジェにまとめるのは難しいと思われるため、もう一つオブジェが追加されることになるでしょう。
かさばるのを抑えつつ、どこまで機能を増やせるかが、今後の課題と言えそうです。

大きさが小さい

矛盾しているように聞こえる意見ですが、やはり実際に使って見ると小さく感じられたという意見もあります。
確かに、オールインワンであればOKという観点から考えると、大きさ自体は必ずしも小さい必要はありません。

花立部分が小さいと、やはり一輪挿しレベルの大きさのものしか用意できないため、もう少し大きいものが欲しいというニーズが一定数存在するのもうなずけます。

立てられる線香が少ない・燃え残る

大きさがコンパクトな分、どうしても立てられる線香の数に限界があるという声もあります。
宗派によっては線香を折って寝せるケースもあることから、本数や供え方の面では限界があるでしょう。

結果的に香炉や線香立てを買い増す結果につながるのなら、最初から一定の仏具がセットになった商品を購入した方が損をしないという考え方もあります。

お客さんが来ることが多いなら、デザインよりも使い勝手を重視すること

コンパクト仏具は、お店でも購入できますが、通販で揃えることも簡単です。
もし、お客さんが自宅にやって来ることが多い場合、家族以外に大きな違和感を与えない仏具を選ぶという観点から考えるとよいでしょう。

具体的には、デザインよりも使い勝手を重視する方向性で選ぶことをおすすめします。

普段はほとんど家族でお供え・お勤めをし、お客さんは年に一度来るか来ないかというご家庭であれば、コンパクト仏具で問題ないでしょう。
しかし、交友関係が広く、比較的頻繁にお客さんがやって来るご家庭は、多少かさばっても使い勝手を優先した方がよい場合があります。

リンとリン棒がまとまった造りのように、構造が簡単に想像されて使い方も分かりやすいものならよいのですが、一点が複数に分かれる造りになっていると、その都度お客さんが混乱します。
どうしてもスペースの関係上致し方ないようなら、事前に分解して用意するなどの心配りが必要です。

奇抜なデザインに戸惑い、お客さんが仏具を落としてしまったり、そのせいで仏具の一部が壊れてしまったりするようなことがあれば、結果的に損をします。
家族だけで事足りるのか、来客を想定するのかを考えるのも、仏具選びの大切な視点です。

おわりに

お仏壇・仏具のコンパクト化は、家制度に対する考え方が変わった日本において、ある種必然的な流れと言えるのかもしれません。
新しい考え方や発想のもと、新感覚の仏具が登場することは、古い時代を知っている人にとっては寂しいことでもあります。

仏具の効率化によって、お仏壇をお祀りすることの本質が失われてしまうようであれば、それは正しい方向性ではないと考える方は多いと思います。
しかし、出来上がった商品を見る限り、先祖供養の大切さを知り、心のよりどころを求める日本人の姿は失われていないことが分かります。

個人社会の傾向が進んでいる日本でも仏具の発展が進んでいることを考えると、日本という国の未来は、決して暗いものではないと言えるでしょう。

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  • 公開日:2019.05.13
  • 更新日:2020.04.06

カテゴリ:仏具

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