似てるようで違う「仏壇」と「神棚」
違いやそれぞれの特徴と両方を配置するときの注意点

カテゴリ:【 仏壇

お仏壇と神棚は、仏と神という、お祀りする存在が百八十度異なるものを拝するために作られています。
そのため、取扱いにはそれぞれにルールがあります。

今回は、お仏壇と神棚を「家」という同じ空間で礼拝することを想定し、それぞれの違いに焦点を当てて詳細をご紹介していきます。

そもそも「神棚」とは

神棚とは、一言で言えば神道の神様をお祀りするための棚を指します。
神道と聞くと、いささかきな臭い雰囲気をお持ちの方もいるかもしれませんが、本来は古来から日本で信仰されてきた日本民族独特の宗教です。

仏教と異なり、経典となるものは基本的には無く、あえて言うならば古事記・日本書紀といった文献から紐解ける内容にとどまります。

古来より日本人は、自然と共存することを重んじてきた民族でした。
道端の石にも命宿ると考え、やがて石を神として崇め奉る習慣さえ生まれました。

その最たるものが神社です。
日本各地に自然に宿る神を信仰の対象とする神社が存在し、それぞれの神様を礼拝することで、ご利益が得られるとされています。

歴史上大きな功績を残した人物が、神様として崇め奉られるようにもなりました。
これは自然信仰を貴ぶ神道独特の考え方で、自然を神とし、死して人もまた自然(神)に還るという概念を端的に示しています。

実際に神棚をお祀りする際には、ただ神棚だけがあれば良いというわけではなく、神社から「御札」をいただきます。
神札とも呼ばれ、神社に鎮座されている神様そのものとされています。

この御札を神棚にお祀りすることにより、無病息災・家内安全などをお祈りします。
言わば、自宅に神社を設けているのです。

一般的には、神棚と一緒に最低限祀るものとして、榊立(さかきたて)・水器(すいき)・皿・神鏡(しんきょう)などがあります。
榊を一対供え、神鏡を神棚の扉中央に飾り、神棚の前に水を入れた水器と洗米・塩を入れた皿をお供えします。

仏壇と神棚の違い

お仏壇も同様に、死者(仏様)の供養のためにお供えをしますが、神棚とは意味合いが異なります。

神棚はあくまでも「神様」をお祀りしており、日々の安寧を願うためのものです。
これに対してお仏壇は、すべてのご先祖様が成仏できるよう御仏を介して供養するとともに、私たち子々孫々が栄えていけることに感謝するために設けられたものです。

簡単にまとめると、神様には「お願い」の念を、ご先祖様や仏様には「報恩感謝」の念を込めて祈ることになります。
このあたりの性格の違いをおさえておくと、実際に配置する際の位置関係を理解するのに役立ちます。

なお、一部神道を信仰するご家庭では、祖霊舎(みたまや)と呼ばれる祖先の霊を祀るための、お仏壇に相当する神棚があります。
こちらはお仏壇と同じ意味合いで捉えて差し支えありませんが、実際に配置する際は、神主さんなどに確認の上行った方が安心です。

仏壇と神棚を自宅に配置する場合の注意点

お仏壇と神棚を一緒に配置する場合、もっとも気を付けなければならないのは「位置関係」です。
それぞれが尊い存在であることは言うまでもありませんから、お互いを尊重できるような配置を心がけることが大切です。

とはいえ、最も大切なのは、神様や仏様・ご先祖様に対して正しい心で感謝の念を送ることに他なりません。
以下に、原則守るべきルールについて、例外も含めていくつかご紹介していきます。

神棚の下に仏壇を配置しない

一般的な日本家屋では、神棚は部屋の上部、お仏壇は仏間に安置するスタイルがよく見られます。
神棚を安置する場合は、一軒家などであれば壁に板を取り付け、その上に神棚を設ける形になります。

これに対してお仏壇は、仏間と呼ばれる和室にお仏壇を置くためのスペースがあり、そこにそのまま安置する形が取られます。

そのため、それぞれの位置関係に必然的に「高さ」が生まれます。
この高さを利用して、お仏壇の上部に神棚を設置することを考える方も少なくありませんが、これはタブーになります。

なぜなら、神・仏の間に上下関係を設けていることになり、失礼にあたるからです。

一軒家の場合であれば、神棚を設置する部屋とお仏壇を設置する部屋は、別々にするのが望ましいです。
どうしても一部屋にまとめなければいけない場合は、位置関係を工夫したいものです。

しかし、建売の住宅の場合、お仏壇の上段に神棚の配置を想定した棚が設けられている場合があります。
そのため、どうしても配置場所がそこしか無く、お仏壇の上部に神棚を配置しているお家もあります。

原則を知り、そのうえでやむを得ずお祀りするのであれば、礼を失することの無いよう念入りにお祀りしましょう。

仏壇と神棚を向かい合わせで配置しない

家相的な意味合いなど諸説ありますが、お仏壇と神棚を向かい合わせに配置することも、タブーの一つになります。
どちらかにお祈りする際に、片方にお尻を向けるかっこうになり、それが失礼になると考えられています。

ただし、マンションにお住まいの方で、スペースや採光の関係上どうしても向かい合わせで配置しなければならないお家もあります。

その場合はお仏壇の扉を一度閉めてから、神棚にお供え・お祈りするという習慣を持つご家庭もあるようです。
あくまでも、敬意を払う気持ちが大切と言えるでしょう。

仏壇・神棚どちらかを新しく配置する場合の注意点

神棚・お仏壇のいずれかはすでに自宅に配置されており、新たにいずれかをお祀りする場合、どのようなことに気を付ける必要があるのでしょうか。
以下に、詳細をご紹介していきます。

神棚はもともとあって、新しく仏壇を配置する場合

もともと神棚が配置されており、新しくお仏壇を配置する場合は、前述した高低差・向かい合わせになっていないかどうかを念頭に、配置を考えます。

そもそも、新しくお仏壇を購入することを検討する場合、一般的には新仏が出たときが考えられます。
この場合、購入する時期は四十九日忌や百か日忌の忌明けに合わせるのが、一つの目安と言われています。

どうしても間に合わない場合は、一周忌など次回の法要の際に購入する例が多いようです。
かつては、仏事に関係無い時期にお仏壇を購入するのは、死者が出るなど縁起が悪いことだと考えられてきましたが、現代では迷信じみたものとして捉えられるご家庭が増えてきました。

小さめのデザインのものを除き、お仏壇は神棚に比べると大きくて重さもあるため、安置する場所は念入りに計算しておく必要があります。

一度配置を終えると、なかなか動かすのはおっくうになりますし、傷を付けてしまうリスクもあります。
よって、極力一度の労力で、理想的な配置を実現する必要があります。

仏壇を配置する位置については、大きく分けて三つの説があります。

南面北座説

お仏壇の背が北側になるように安置する考え方になります。
直射日光が当たりにくいため、お仏壇の風合いが守られます。

安置するお部屋が北窓でない限りは風通しを良くすることに難儀せず、日本家屋の中でも最適な仏壇の安置場所の一つです。

宗派によっては、釈迦が説法する際に、南向きに座っていたことにあやかり、仏壇を南向きすべきであると説明している場合があります。
禅宗の宗派に多いようです。

本山中心説

自分が拝む方向の延長線上に、宗派の総本山があるように、方位を調整してお仏壇を配置するという考え方です。

言い換えれば、お仏壇を通して本山に向き合い礼拝する形になります。
真言宗の菩提寺で唱えらえることが多い説です。

西方浄土説

お仏壇を東向きに安置して、西方浄土(極楽浄土)である西の方位に向かって礼拝することを想定した配置になります。
お仏壇を通して、西方の御仏を拝む格好になります。

阿弥陀如来をご本尊とする宗派は、西の方位を重要視する傾向があります。
したがって、浄土真宗、浄土宗、天台宗の3つの宗派が、主にこの説に基づいて配置する例が多いようです。

いずれの説を取る場合であっても、菩提寺の住職と相談したうえで、神棚を尊重した配置を心がけましょう。

仏壇はもともとあって、新しく神棚を配置する場合

お仏壇がもともとあるお家であれば、神棚を新しく配置するのはそれほど難しくありません。
神道は仏教と比べて厳密な決まりごとが少ないため、タブーとなる高低差・向かい合わせに気を付けさえすれば、ある程度自由度の高い配置が可能だからです。

とはいえ、可能であれば気を付けた方が良いこともありますから、以下に簡単にご紹介していきます。

神棚の向きは南もしくは東向き

神棚から見て、昇陽の光が取り入れられる向きを選ぶことが、神棚の配置とっては重要です。
朝日が昇る東や、一日で一番まぶしい光が注ぐ南を選ぶことで、神々を仰ぐという敬意を示す意味があります。

ちなみに、出雲系統の神々の場合は、一部西向きで建っている神社もあります。
その場合は、お祀りする神様の神社に神棚の向きを問い合わせて考えると良いでしょう。

清浄かつ明るい場所に配置する

神棚はお仏壇に比べて、より清浄で明るい場所に配置するのが望ましいとされています。
これは、神は不浄を嫌うという性質から言われていることです。

仏教が日本に渡来してから、お仏壇を持つという概念が生まれたのは、日本独特の「穢れ(けがれ)」の意識に対する解決策を仏教が持っていたからと考えられています。

神道の考え方では、死や病などの状態を不浄と考え、穢れと称されます。
そのため、何か人間にとって悪い状態が生じた場合、それが穢れによるものと考え、水などによる禊によってお祓いをするようになりました。

現代の知識がある私たちにとっては、水などで穢れを払う行為が病原菌などを洗い流す行為に通じるものとして連想できますが、菌の概念が無かった頃は、穢れは命にかかわるものだったのです。

日本でも土葬は行われていましたが、仏教伝来とともに火葬の習慣も生まれ、死者のむくろを弔う方法が広まりました。
仏教の教えは「死」が不浄であるという概念から離れ、死者を浄土へと導く役割を担っているため、穢れを嫌う神道とは相性が良かったのです。

火葬により遺体の腐敗も防げることから、衛生面においてもプラスの要素がありました。
海外から見て常軌を逸すると考えられるほどの日本人の清潔感は、穢れを忌避する国民性に端を発していると言えるかもしれません。

いずれにせよ、神は穢れを嫌い、仏教は穢れを浄土へと運ぶ役割として自然と役割分担がなされました。
その名残から、神棚の配置にも清浄さや明るさを求める流れが、今も引き継がれているのです。

仏壇・神棚それぞれを配置する理想の部屋

上記を踏まえたうえで、お仏壇・神棚を配置する場合は、どのようなお部屋が理想的なのでしょうか。
以下に具体的な例と併せてご紹介していきます。

仏壇は仏間・和室・居間が理想的

お仏壇を配置する際に基本となるのは、仏間や和室などの落ち着いた雰囲気の場所になります。
家族が毎日お祈りをするわけですから、荘厳な雰囲気を保っておきたいものです。

しかし、現代ではモダン仏壇、家具調仏壇のような、インテリアとしてリビングなどに違和感無く配置できるタイプのお仏壇も数多く存在します。
そのため、設置場所としてあえて居間を選ぶという方法も増えてきています。

昔ながらのお仏壇をお持ちのご家庭であっても、居間近くの和室にお仏壇を配置して、家族の姿がいつでも見られるようなレイアウトにしているところは少なくありません。
よって、家具との違和感が無ければ、居間に置いても差し支えないと考えるのは、自然な発想と言えるでしょう。

ご先祖様としても、子孫が楽しそうにしている姿を見るのは嬉しいはずです。
家具調仏壇は、発想を転換して良い案が出てきた好例と言えるでしょう。

神棚は玄関や居間など、どっしりとした雰囲気の部屋に

神棚を配置する場合、法人の場合だとオフィスの中・社長室の近くなどに配置されていることがあります。
基本的には多くの人が集まる場所や、人を迎え入れる場所に配置するのが望ましいとされています。

ただし、配置したすぐ下に家具を置いたり、家内で人の出入りが特に激しい場所・騒々しい場所は避ける必要があります。

廊下の近くや、すぐ上に子供部屋がある場合などは、設置するのを避けましょう。
二階建ての家であれば、東南に窓を構えた二階の角部屋に神棚を配置するのも悪くありません。

しかし、毎日のお祈りの際に不都合が生じることも少なくないため、多くの場合は一階に配置することになります。
その場合は、神棚を設けた場所の天井に「雲」と筆書きした半紙を貼り、神棚の上が何も無いことを神様にお知らせするという風習があります。

神社の上には空しかありませんから、神棚も同様の環境にあることを示しているのです。

仏壇と神棚のまとめ

お仏壇と神棚は、素人目には似ているようで、その目的は大きく異なります。
かつてはお仏壇はあっても神棚は無いというお家は、それほど珍しくありませんでした。

しかし現代ではスピリチュアルブームもあってか、一人世帯を中心に、神棚はあるがお仏壇はまだ無いというお家も増えてきました。
もちろん、長い歴史を持つ家であれば、いずれもお祀りしているという方が多いようです。

いずれをお祀りする場合にも大切なことは、お祀りする存在に敬意を払うことです。
場所や日当たりの前に、まずは真摯な心がけと感謝の気持ちを忘れないようにしたいものですね。


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