仏事コーディネーター資格について。
資格を持っているお店で仏壇を買うメリットとは?

  • 2019.12.02
  • 2020.04.06

仏壇 仏具

世の中、なにかを買う時にはやはりその道の専門のお店で買った方が安心ができます。
色々なものがなんでも揃うというお店より、それだけを専門に扱っているお店の方がより安心して選び、買う事ができます。

お仏壇や仏具は特に日常社会で触れる機会などがなく、知識なども無いため多くの人が選ぶ時にそう感じるはずです。
実際にはあまりないですが、なんでも屋さんでお仏壇を買うよりも、仏壇専門のお店で扱うお店の方が安心できます。

ですが、そういった専門のお店であっても、実際にはピンからキリまであり、一般の人では知識があまりない素人になりますので、なかなか良い店・悪い店の見極めを付きるのは困難です。

そんな時に、1つの指標になるのが、実績であったり資格といった事になります。
実はあまり知られていませんが、お仏壇業界にも「仏事コーディネーター」と呼ばれる資格が存在します。

今回は、そんなお仏壇業界の資格の1つでもある「仏事コーディネーター」という資格について、どういう資格か、あると良いのかなど良い点・悪い点などまとめてみたいと思います。

仏事コーディネーターの資格について

仏事コーディネーターとは、全日本宗教用具協同組合という組合によって定められた資格になります。
仏壇と仏具などに関する知識や経験の有無を判断するための資格制度で、残念ながら国家資格ではなく、2004年から始まった民間の資格になります。

仏壇業界は人の死などを扱う事になるため、今のようなネット社会がない時代では、先祖が浮かばれない、呪われるといった悪い謳い文句などで、悪徳やぼったくり業者が暗躍した時代がありました。

そんな業界をより健全にするために、仏壇や仏具を買いたいお客様に対して、しっかりした正しい知識を持ってアドバイスできるという事を基準にした資格となります。

資格を持っているという事で、仏壇や仏具、様々な宗派に対する基本的な知識と経験を持ち合わせているという判断をする事ができるようになります。

また、この仏事コーディネーターの資格はお店ではなくその人、個人が持つものになります。
そのため、ショップに対して与えられるものではなく、そのスタッフが仏事コーディネーター資格保持となり、一般的には資格保持者がいるという宣伝がされる事が多いです。

試験に合格して資格を保持した方は、協会から認定証を与えられます。
この認定証には本人確認や不正防止のため、顔写真付の認定証となるため、本人以外は使う事ができません。

仏事コーディネーターの資格を保持している方は、仏壇店でこの認定証を首からぶらさげているので、所持しているかどうかはすぐに判明します。
そのため、逆に言えばその保持者が休みの場合は、その日にお店に行っても認定者は存在しないという事になります。

仏事コーディーネーターの資格は良い資格なのか

ここで大切になるのが、この仏事コーディネーターという資格が、いわゆる良い資格なのか、それともビジネス用途や目的が見られる資格なのかという点です。

個人的な感覚で言うなら、仏事コーディネーターを持っているという事は1つの安心感の指標になるかとは思います。
しかしながら、持っている事は良いことになるのですが、持っていないからダメと判断するのは早計です。

なぜなら、この資格自体、まだまだ色々な意味で残念な点が多いのも事実だからです。

そもそも資格を受験する資格が比較的厳しい

この仏事コーディネーターですが、先ほど書いたように残念な点がいくつかあります。
その残念な点の1つが、この資格が門戸を開いていない、囲い込み的な面があり、資格ビジネスに近いと一部では言われてしまっています。

この資格は、全日本宗教用具協同組合が後援している資格になります。
ですが、実態としては「後援」となってはいますが、全日本宗教用具協同組合が「主催」する資格と考えて差し支えありません。

なぜなら、この資格を受験するための「受験資格」に全日本宗教用具協同組合の、組合員であることが必須となっているためです。
すなわち、この組合に参加しなければ、そもそもの受験資格すら得られないのです。

仏事コーディネーターの資格のページに、受験資格が載っていますが、下記のようになります。

  1. 宗教用具を扱う事業所を経営する者ならびにその従業員
  2. 受験される年の4月1日現在で満20歳以上であること
  3. 宗教用具を扱う事業所での在籍期間が、受験される年の3月31日時点で3年以上である者
  4. 全日本宗教用具協同組合の組合員とその従業員を対象として実施

参考:(仏事コーディネーター資格審査教会

実際、正直な感想を述べれば、この受験資格の「1」~「4」まで全て、設ける必要が皆無なものばかりになります。
中でも、特に残念なのが「1」と「4」です。

「2」の満20歳という制限もあまり意図がわからない制限ではあります。
仮に極論ですが、仏壇業界の跡継ぎなどで小さい頃から仏壇業界に携わってきたような優秀な人であっても、19歳であれば受ける事すらできません。

また、3年以上というのも、経験という事を言いたいのかもしれませんが、今の時代、3年で転職という時代ですからあまり時代に合ってないとも言えます。

非常に残念と言えるのが「1」の「事業所」とある点です。
資格ができた時代背景もあるのかもしれませんが、事業所の従業員にしか資格がない状態になっています。

今の時代、ネット通販などの事業を営む仏壇店も非常に多くなってきています。
しかしながら、事業所とある以上、店舗を持たないとそもそも受験資格が無く、今のネット時代で考えると割と時代遅れとも感じてしまいます。

そして、最大の問題が「4」の組合員であることです。
自分たちの組合に加盟していないと、そもそも受験資格を与えないというのが、この資格の一番の問題点と言えます。

仏壇業界ではない一般社会で考えた場合、資格を発行している団体が、自分たちの団体に加盟していないと受験資格はありません。となるとやはり資格ビジネスと批判されてしまうのは否めません。

現段階では、理念と現実が合っていない

仏事コーディネーターの資格の理念や考えが「仏教と仏壇仏具、また、それらを取り巻く仏事に関する豊富な知識を持った資格者」を生み出すとなっており、これは非常に良い考えであると言えます。

小さい頃から家に仏壇があったというような人ならまだしも、今の核家族社会では仏壇を見たことがないという人も多くなってきています。
そういった社会事情が変わってきた中、仏壇や仏具のことがわからない人が多く、宗派や色々なものが関係するからこそ、幅広く豊富な知識を持つ人材は必要です。

にも関わらず、組合員に入らないと、資格は受けさせません。というのは、相反してしまっています。

資格を設けることで、悪徳やぼったくりを滅するための1つのラインとして考えられるという以上は、資格制度にはメリットがありますが、それは誰もが受けられるという前提があってこそです。

資格としては、英語関連の資格において誰もが知る有名資格として、「TOEIC」や「TOEFL」がありますが、これらは誰でも受けられる資格です。
そのこともあって、企業や英語力を判断する指標の1つとしてなり立っています。

この仏事コーディネーターの資格が、一定の判断基準にするためには、やはり誰でも受けられる資格としておかなければなりません。
10年惰性で働いているベテランと、猛勉強して最新の情報もチェックしてる2年目の新人、どちらが優秀かというと当然後者になります。

ですが、今のこの資格の受験資格の場合、後者は取りたくても受ける資格すら与えられないというのはやはり残念としか言いようがありません。

何より、業界内ですら広まっていない資格制度になっている

お仏壇業界は、大手もありますがどちらかというと、地域密着でやってきたお店が多いです。
全国各地、それぞれの地域に合わせたお仏壇店というのがあり、そういったところは個人商店なども多くあります。

当然ながら、そういったお店は小規模ですから、そこまで予算や人員が潤沢にあるわけではありません。
資格制度が、協会に属している人しか受けられないという以上、その協会に属すことを考えていない人は資格を持とうにも受験すらできないのです。

仏事コーディネーターの資格は、所持者や保持しているスタッフがいるお店は、資格を持っています!と打ち出すものの、実はそもそもこの資格を所持している人自体が非常に少ないのが実情です。

主催する全日本宗教用具協同組合のページに、加盟店一覧と仏事コーディネーター資格保持者がいるかどうかを紹介するページがありますが、若干残念な結果になってしまっています。(参考:全日本宗教用具協同組合 加盟店

先ほども述べたように、お仏壇業界はどちらかというと小規模店舗がたくさんあります。
実際、その数は全国各地それぞれの地域に根強くあるため、数千にも上ると言われています。

ですが、実際にこの組合に加盟している店舗というのは全国で見ても、数百しかありません。
この数百は、加盟している店舗であって、資格保持者となるとそこからさらに少なくなってしまいます。

例えば、東京都だと仏事コーディネーター資格を取得したスタッフがいるお店は19店舗で、大阪でも14店舗しかありません。
埼玉や千葉などの地域ですら、県内に2店舗や3店舗しか存在しないのです。

実際に見てみるとわかりますが、教会に属さないと受験資格がないため、主催者が、仏事コーディネーターのいるお店で探そう!と言っているにも関わらず、特定の県にいたっては、仏事コーディネーターが在籍する仏壇店は1つも存在しないという県も存在している次第です。

誰もが受けられ、門戸を開けば変わる可能性はある

そんな仏事コーディネーターの資格ですが、やはり最大の問題点がいわゆる囲い込みです。
自分たちが立ち上げた協会に属していないと、資格試験の受験は認めませんよ。となると、やはり営利目的や自分たちに都合の良い資格となってしまいます。

そのため、残念ながら今段階では、資格を持ったコーディネーターがいる店舗はおすすめはできるけれど、持っていないからといってなんらマイナス面になる事はない。というのが個人的な考えです。

資格が作られた背景や、その理念自体は非常に良い資格です。
これが誰もが受けられる資格制度などになり、全国各地の仏壇店など、仏壇業界に関わる人が誰でも受けられるようになれば、また変わってくるかと思いますし、そうなることを願いたいところです。

おわりに

これまで見てきたように、この資格は持っている分には一定の水準を満たした知識と経験を持っているという判断ができる資格になっています。
もっと言えば、今の時代の資格においては珍しい「更新制度」もあるため、1回取ったら後は放置といった事ができる資格でもありません。

そのため、持っているという点においてはしっかりと知識と経験を合わせもった人であると判断する事はできると言えます。

ただ、述べてきたようにどちらかというと受験して資格を保持できるのは比較的大手のところが中心となってしまいます。
そのため、この資格を持っていないからといって、そのお店はあまりスタッフが優秀でないと判断するのは早計です。

受験資格に店舗で3年以上勤務していないと資格がありません。

そのため、例えば楽天市場やネットショップのスタッフとして猛勉強しているスタッフなどで、仮に資格を持っている人より遥かにすぐれた知識と経験があったとしても、その資格試験を受けることすら出来ません。

お仏壇選びの際には、資格を持っているスタッフがいればラッキーくらいの感覚で今は考えておくくらいが良いのかもしれませんね。

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  • 公開日:2019.12.02
  • 更新日:2020.04.06

カテゴリ:仏壇, 仏具

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