お仏壇に活けるお花の「仏花」について
生花が基本?常花は?造花でも良いのか等のまとめ

  • 2016.09.08
  • 2026.09.17

仏具

仏壇に置く仏具の中でも必須仏具の三具足の1つに花立があります。
この花立は、名前の通り、お花を供えるためにその支えとして使う仏具になります。

ここで、多くの人がふと疑問にわく事として、お仏壇に供える花はどんな花でも良いのか?という疑問があります。

生の生花、造花やプリザーブドフラワーなどなど、今では「花」と言っても実に様々ありますから、今回はこのお仏壇に供える花について解説してみたいと思います。

理想は生花で、2束で1セットが基本になります

お仏壇にお花を供える、これは基本的な供養でもあり欠かす事はできません。
花の種類はそこまで厳格に決まりはありませんが、散りやすい花や傷みやすい花は避けたり、トゲやニオイが強い花も避けるのが一般的です。

お花の中でも特に「菊」は仏花として多く用いられます。
菊の花は、季節を問わずに1年を通して生産されている事と、菊の香りが邪気を払うといういわれがあるためです。

また、水揚げもよく、長持ちする事から、仏花として菊の花は多く使われるようになっています。
菊の花以外でも、ユリや蓮の花は仏花としてよく使われます。

一般的には近くの花屋さんに仏花としてコーナーが用意されている事が多いため、そちらのお花のプロに相談し供える花を買うのが最適です。

用意したお花を花立に入れて祀り、基本的には2束用意します。
お仏壇に供えられた1対の左右の花立にそれぞれ活けるのが仏花の基本的な活け方になります。

ただ、最近では小型仏壇が主流などになっている事もあり、花立が1対ではなく1個だけの場合もありますので、その場合は1束だけ用意して活けましょう。

花立が1つの三具足なら1束で、1対に並ぶ五具足なら2束

花屋で仏花が2束1組で売られているのは、花立が左右1対で並ぶお仏壇を前提にしているためと言えます。そのため、手元のお仏壇に花立がいくつあるかを見れば、用意する束の数は自然と決まります。

お仏壇の基本の仏具は、香炉と火立(ろうそく立て)と花立を1つずつ揃えた形で、これを三具足(みつぐそく)と呼びます。
並べ方は香炉を中央に置き、向かって右に火立、向かって左に花立です。

この順番は曹洞宗の公式サイトでも、浄土宗の公式辞典である新纂浄土宗大辞典でも同じ形で案内されていて、宗派による違いはありません。
三具足では花立が1つですから、仏花は1束を向かって左に活けることになります。

これに対して、香炉の左右に火立を置き、その外側に花立を1対並べる形が五具足(ごぐそく)です。
こちらは花立が2つあるので仏花も2束で、左右の花立に同じものを活けます。

浄土真宗本願寺派の公式サイトのよくある質問では、お仏壇のお飾りの基本は灯明とお香とお花を供える三具足だと答えています。

同じ本願寺派の信行寺の2023年時点の案内も、平時は三具足で、お盆やお彼岸などの特別な時には五具足に組み替える、という使い分けを勧める内容です。

言い換えれば、花立が1つで仏花が1束というのは、小型のお仏壇だからやむを得ずそうしている略式ではなく、三具足という正式な形に当たります。
三具足で祀っているご家庭なら、1束でも何も欠けてはいません。

仏花に菊が多いのには理由があり、逆に避けたい花もある

菊が1年を通して手に入ることは、数字にも表れています。
農林水産省の統計では、切り花の出荷量を品目別に見ると1位が菊で、多くの花屋で安定して手に入るのは、この出荷量の多さがあってのことと言えます。

邪気を払うといういわれのほうは、9月9日の重陽の節句に菊酒を飲み、菊を飾って邪気を払い長寿を願った、中国から伝わった風習に由来しています。
その菊のいわれが、いつしか仏花にも重ねられてきたということなのです。

避けたい花のほうも見ておきましょう。
トゲやニオイの強い花に加えて、毒のある花も仏花には向きません。

トゲやニオイ、毒のある花を避けるのは、お参りする人が手を傷めず、誤って口に入る心配もなく、お線香の香りとぶつからないように、という配慮からだと管理人は考えています。

浄土真宗本願寺派の妙覚寺の案内にも「トゲ花、毒花、造花を避けましょう」とあります。

どの花がトゲや毒に当たるのかは名前を挙げ始めると切りがありませんので、お仏壇に飾ってはいけないものをまとめた記事で確かめてみてください。

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仏花で大切なのが、花の本数と色の組み合わせ

仏花の花自体はそこまでこの花といった決まりはありませんが、本数に限って言えば、奇数で組むのが慣例です。

多くの花屋では仏花の花の数は「3本」「5本」「7本」「9本」「11本」と奇数になっています。
特に、3本、5本、7本が仏花としては多く使われます。

また、仏花はその本数に応じて色の組み合わせもある程度決まっていて、白、赤、黄、紫、ピンクなどの色を基本に作ります。
花の数が3本の場合は、主に、白と黄色と紫を使うのが一般的になります。

お花を供える場合は、花の表面をこちら側に向ける

お仏壇にお花を供えるという事で、お花の向きを、ご本尊やお仏壇側に向けるのでは?と思う方も多くいますが、仏花を供える際にはお花は、礼拝する側、つまり私たちの方に向けてお花を供えます。

これには理由があり、花は仏様からの慈悲の心を表すと言われており、私たち礼拝する人の心を楽しませることが仏様の喜びだからなのです。

そのため、私たちが見たときに美しく荘厳に飾られたお仏壇を見られるように、礼拝する側にお花を向けて活けます。

この慈悲の心という受け止め方は、浄土真宗で味わわれてきたものです。
浄土真宗本願寺派の信行寺が、2024年の記事でそのように説明しています。

同じ向きでも、宗派が違うと説明の仕方は変わってきます。

天台宗の公式サイトに載っている2008年の法話では、向こう向きのままでは飾るということにならず、手前に向けると仏様の荘厳さもより増し、お参りする人がきれいな気持ちになってお参りしたという実感がわく、と語られています。

お花の向きを3種に分けて説明するのが、佐賀にある日蓮宗の本経寺が2013年に載せた案内です。

花を仏様に向けるのが向上相、八方に向けるのが向中相、私たちの方に向けるのが向下相で、花の供養をする人の心をも清める働きがあることから、普通は向下相にするとされています。

説明の言葉は宗派ごとに違っても、向きそのものが変わるわけではありません。

新鮮な花を供える事が大事、新鮮さは敬う気持ちを表す

お仏壇に供える花は新鮮なものというのが大原則になります。
枯れてしまっているお花などは避けたいところで、お花を枯らしたままにしないようにしましょう。

水替えは毎朝が基本で、少しの手入れでお花は長持ちする

お仏壇の花は毎日替えないといけないのか、と気にされる方は少なくありません。
毎日替えるのは花ではなく水で、花のほうは傷んできたら新しいものに替える、というのが日々の基本になります。

曹洞宗の公式サイトでは、朝食前にお仏壇にご飯やお水、お茶などをお供えし、その時にお花の水も替える、と朝の日課の中に位置づけています。
お花の水替えを朝のお参りの一部と考えておくと、忘れにくく続けられます。

水を替える回数が多いほど、お花は長持ちしやすくなります。
活ける時には、茎を水の中で斜めに切り直し、傷んだ葉を取り除いて、すべてを同じ高さに切り揃えずに背の高い花を後ろに置くようにします。

夏によく供えられるほおずきは水につけないほうが長持ちする、暑い時期は枯れにくい花を選んで本数が少なくても構わない、というのは先に触れた信行寺の2024年の記事にある助言です。

しかしながら、夏場や留守が続く時、体調がすぐれない時には、毎朝の水替えが途切れることもあるかもしれません。

天台宗の公式サイトに2026年4月に載った法話でも、日々の供養は負担に感じながら続けるより無理のない形で続けるほうがよいと勧められており、途切れたからといって気に病む必要はありません。

基本的には造花はNGだけど、枯らすくらいなら造花で

そもそも仏花が生花と言われる所以は、色々ありますが、「生きている花」という事で生あるものは滅びるという諸行無常を表しているといった説や、生花の生きているからこその美しさが仏様の美しい世界を表すといった事を言われている場合もあります。

昔ではお仏壇が家にあるという生活も身近だった事もあり、お仏壇には生花が基本でありそれが当たり前でした。

しかしながら、今ではお仏壇に馴染みがない方も多く、造花でもいいのでは?といった事はよく言われます。

実際、仏壇店でも仏壇用の造花が売られている事もあり、昔ながらの人は今でも生花でないとと言われるかもしれませんが、今では必ず生花を活けると考えている人は少なくなってきています。

そういった事もあり、最近では花立に常花を祀る方も増えています。
もともとは、常花は永遠に咲き続け枯れない花として仏壇の飾りの意味合いが強く、蓮華の花を象ったものになります。

本来なら常花はご本尊横に常花を置き、その下に生花を祀るものでしたが、今ではそのまま生花でなく常花に置き換わりつつあります。

生花が理想的ではありますが、枯らしてしまったりするくらいであれば、造花や常花などで活けるほうがずっと良いです。

造花と常花とプリザーブドフラワー、それぞれの違いと使いどころ

お仏壇の花は造花でもいいのか、という問いへの答えは、基本は生花という考え方は今も変わらないものの、造花や常花を一律に禁じているわけでもない、というところに落ち着きます。

どこまで受け入れるかは宗派によって温度差があり、そこを知っておくと自分の家でどうするかを決めやすくなります。

ひとくちに枯れない花と言っても、造花と常花とプリザーブドフラワーでは成り立ちが違います。
造花は、布や樹脂で生花の姿をかたどったものです。

常花は、新纂浄土宗大辞典では「常華」と書き、造花の一種として扱われています。
同じ辞典には、供養の花としてやがて蓮華を器に挿すようになったという記述もあり、常花が蓮華の形をしているのはこの古い伝統につながるものです。

プリザーブドフラワーは、生花に加工をして色や形を長く保たせたものになります。
もとは本物の花ですが、枯れないという点でお仏壇での扱いは造花に近いと考えて差し支えありません。

その温度差を、宗派側の実際の言葉で見ておきましょう。

新纂浄土宗大辞典の献花の項には「常華(紙・木・金属などの造花)も献花供養である」と明記されていて、造花を供養のうちに数える立場がはっきり示されています。
参考)新纂浄土宗大辞典「献花」

逆に、浄土真宗のお寺には造花を避けて生花を、と案内しているところがあり、その理由は後ほど宗派ごとの違いの見出しで詳しく解説します。
曹洞宗と天台宗の公式サイトには、造花の可否について書かれた記述そのものが見当たりません。

使いどころとしては、常花は毎朝の水替えができない時期の花立に、プリザーブドフラワーは造花と同じ扱いで、と考えれば迷いにくくなります。

宗派で仏花の扱いは変わるのか、宗派ごとの違い

結論を先に述べておくと、お仏壇に供える花の種類や本数を、宗派が細かく定めているわけではありません。

違いが出るとすれば造花への姿勢と、樒(しきみ)や高野槙(こうやまき)といった枝葉の使い方くらいで、三具足の並べ方はどの宗派でも同じです。

宗派の決まりを知らないうちに破っているのではと気になる方も、差があるのはその程度だと分かれば、少し肩の力を抜いて読み進められるのではないでしょうか。

浄土真宗はできるだけ生花を、華瓶には樒などの枝葉を挿す

先に紹介した信行寺は、同じ2024年の記事で、お仏壇にはできるだけ生花をと勧めています。その理由として挙げられているのが、枯れていくお花を自らのいのちに重ねて見る、という味わい方です。

同じ記事では、お墓や納骨堂のように毎日手入れができない場所では造花を用いることもある、と整理されています。生花でなければと構えてしまう方も、お仏壇とそれ以外の場所を分けて考えれば無理なく続けられます。

浄土真宗のお仏壇には、花立とは別に華瓶(けびょう)という小さな仏具があります。

信行寺の2023年時点の案内によると、華瓶には水を入れて樒などの青々とした枝葉を挿して供えるとされていて、色とりどりの仏花を活ける花立とは役割が分かれています。

浄土宗と曹洞宗、天台宗と日蓮宗、真言宗はそれぞれどう案内しているか

浄土宗が常花も献花供養に含めていることは、すでに見たとおりです。

同じ新纂浄土宗大辞典の別の項には、生花を供えると同時にその香りを献じる意味があり、樒などさまざまな草木を器に挿して供えるようになった、近年は墓前に供える樒がいわゆる色花に変わってきている、という流れも書かれています。

曹洞宗の公式サイトは、お仏壇へのお供えとして香り、花、灯明、お水、飲食を挙げていて、花はその1つという位置づけになります。
毎朝の水替えを日課に数えている点は、先に解説したとおりです。

天台宗の公式サイトに2009年に載った法話では、お香と花と灯明を供える作法はインドで貴人をもてなす作法に由来し、花は耐え忍んで穏やかでいる心を表す、と説明されています。

日蓮宗については、護国寺が2013年時点で公開している、お墓へのお供えについての説明が参考になります。

樒か色花かはどちらでもよく、樒は土葬の時代にその毒でご遺体を守った名残であり、長く青々としている一方で、色花はお供えの最上とされるものの長持ちしない、だから両方をうまく使い分ければよい、という内容です。

真言宗の各派の公式サイトには、花の種類や本数、造花の可否を定めた記述が見当たりません。

真言宗豊山派の公式サイトにあるおつとめの案内も、お灯明をともし、お線香をつけ、合掌して礼拝するという流れで、花には触れていないのです。

高野山に多く育つことからその名がついた高野槙は、高野町の公式サイトでも、枝葉が仏前に供えるものとして多くの人に親しまれていると紹介されています。

とはいえ、真言宗のご家庭だから高野槙でなければならない、ということではありません。

宗派ごとに違いが出るのは、ここまでになります。
それでも不安が残るようでしたら、菩提寺に「うちの宗派で気をつけることはありますか」と一言聞けば済む話です。

色々あるけれど、本当に大切なのは心と気持ち

色々なルールや原則的なものがやはりあります。
しかしながら、本当の意味で大切になってくるのは、気持ちと心の問題です。

仮に、その通りに造花ではなく生花を活けていたとしても、ただただ毎日の惰性でしているよりも、忙しく造花を祀るけれども、しっかりと感謝を伝える場合、どちらが良いか?と言われれば当然後者です。

もちろん、生花を活ける事が理想的ではありますが、生花を活けることが目的ではありません。

毎日生花を活けるのは難しいけれど、いつもは常花、時々生花を活けたり、場合によっては故人の好きだった花を活けたりなどでも全然問題ありません。
問題ないどころか、そちらの方が間違いなく仏様、ご先祖様も喜ぶはずです。

生花が理想ではありますが、臨機応変に対応しながら、やっていくようにしましょう。

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  • 公開日:2016.09.08
  • 更新日:2026.09.17

カテゴリ:仏具

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