よく分からない初盆を徹底解説!
準備する事や盆の時期に何をするかや注意点も

  • 2018.04.12
  • 2020.04.06

仏事などの解説

夏の風物詩の一つである「お盆」は、様々な仏教行事の中でも、日本人にとって親しみやすい行事です。
正式名称を「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といい、お釈迦様の弟子であった目連が、地獄に落ちた母を救うためにご馳走を備えて供養したのが始まりです。
現代の日本では、祖先の霊を供養し故人を懐かしむ時期として、お盆を認識している方がほとんどです。

数世代前のご先祖様はともかく、身近な家族が亡くなった場合、やはりその後初めて過ごすお盆は特別なものです。
この記事では、家族が亡くなってから初めて過ごすお盆について、準備をどのように行うのか、注意点と併せてお伝えします。

そもそも初盆とは?

初盆とは、人が亡くなってから初めて迎えるお盆のことを指します。
厳密には、四十九日を過ぎてから初めての年に迎えるお盆の時期を初盆と言います。

新盆と呼ばれることもありますが、どちらも同じ意味と捉えて差し支えありません。

お盆の時期は元々7月13~15・16日ころとされてきましたが、明治時代になると太陽暦の導入により、時期が変わりました。
太陽暦上では、7月が農作業の繁忙期にあたるため、そこから1ヶ月遅れて8月13~15・6日ころまでをお盆とするようになりました。

現代では8月をお盆の時期とみなす地域が主流ですが、7月をお盆とする地域もあります。

亡くなられた時期が7月もしくは8月の場合、原則その年はその方の初盆とはならず、次の年が初盆となります。

初盆は故人の親族・友人を招き、僧侶にお経をあげてもらうのが習わしですが、現代では四十九日以降、特に法要を行わないという方も増えています。
とはいえ、同じ時代を一緒に生きた大切な家族が亡くなったわけですから、やはり故人をしのぶ習慣は大切に守っていきたいものです。

初盆前で準備する事

一般的なお盆と言えば、家族もしくは親戚がいっせいに集う、一年を通しての大きな行事という共通認識を持つ方がほとんどでしょう。
各々が実家に集い、しばし自宅にて語らいの後お墓に向かい、果物やお菓子と線香を供えてご先祖様に祈りを捧げるという流れです。

遠方の方であればそのままお盆期間中は実家に寝泊まりし、お盆の最終日に帰途に就くのが、お盆休みの定番になっています。

最近では、僧侶を呼ばずに法要も執り行わず、家族だけでお盆を過ごす方も少なくありません。
何かと忙しい現代では必ずしもお盆休みが取れる会社ばかりではありませんから、通常のお盆であればそれでも致し方ない面もあります。

しかし、初盆は別です。
親族が集まる点は通常のお盆と変わりませんが、故人と縁あった方々にも連絡を入れ、盛大に供養を行う点で初盆は異なります。

そのため、事前準備が必要になります。
以下に詳細をご紹介します。

仏壇・仏具を清める

本来家庭内における仏壇・仏具というものは、いつでも綺麗に保たれていることが理想です。
しかし、細やかな部分についてはつい後回しになり、手をつけられない場合もあるでしょう。

その意味では、お盆は仏壇・仏具をしっかりと手入れするチャンスでもあります。
また、葬儀の時は位牌だけで、お仏壇を安置していない方は、この初盆前に一式取り揃えるという方も多くいらっしゃいます。

お盆の時期が始まる月の始めには、仏壇・仏具を徹底的に掃除します。
掃除と言っても仏壇自体は木材を使用していますから、ひび割れを防ぐためにも、水拭きは基本的に行いません。

仏壇の中には様々な仏具が配置されているため、自然とほこりが一定の箇所に溜まりやすい構造になっています。

ひどい場合、ほこりが溜まることで空気中の湿気を吸い、そこから発生したカビで仏壇を駄目にしてしまうこともあります。
購入したばかりの仏壇であればなおさら、すぐに痛ませないためにも丁寧にほこりを払いましょう。

仏壇だけでなく、仏具もこまめに掃除して、12日の晩までには清掃を全て済ませましょう。

白提灯を用意する

初盆の家では、初めて帰ってくる故人の霊が無事迷わずに辿り着けるよう、目印として白提灯を吊るします。
この白提灯は盆提灯とは異なり、1つだけ用意すれば十分です。

白提灯には紋様の入っていないものと、入っているものがあります。
紋様が入っているものは白紋天提灯と呼ばれ、初盆ではこちらを用いる方が一般的です。

お盆の時期になると、ホームセンターなどでも売り出されていますが、色付きの柄がさりげなく入っているものも混じっていますから注意が必要です。

白提灯を吊るす場所ですが、昔は軒先・縁側など、外から見て故人が目印になる場所に吊るすのが一般的でした。
しかし、現代の住宅事情から外に吊るすことが難しい場合は、仏壇の前に吊るします。

白提灯も提灯ですから、ろうそくの火を灯せるようになっています。
本来は火を入れるのが望ましいですが、火事を防ぐために飾るだけで済ませるケースが多いようです。

LEDを使用した、燃えないろうそく電池灯も販売されていますから、明かりをつけたい場合は火を使わない手段の方が安全です。

初盆の場合、柄の入った盆提灯を親族から贈られることがあります。
この盆提灯もお盆の期間は仏壇の周りに飾るものですから、大切に使用しましょう。

精霊棚(しょうりょうだな)を作るための準備をする

精霊棚は、お盆の間に祖先をお迎えするための棚のことを言います。
地方によって名は様々ですが、「盆棚(ぼんだな)」と呼ばれることが一般的です。

ほかには「霊棚(りょうだな)」「魂祭り棚(たままつりだな)」などの異名があります。

本来精霊棚は初盆に限らず毎年用意していたものですが、最近では初盆のみ準備し、以降は簡便に済ませるご家庭が多いようです。

伝統的なつくりかたとしては、篠竹の柱を四方に立ててその中に棚を設ける方法がありますが、最近ではほとんど見られません。
一般的には、仏壇の前に小机や台を置いて、真菰(まこも)のゴザを敷いて棚をしつらえます。

その上に飾り物を乗せていくわけですが、お盆が始まる前に飾りものやその材料となるものを一通り揃えておく必要があります。

以下に、代表的なものをご紹介していきます。

お花

いわゆる盆花になります。
時期になると花屋を始め、スーパーやホームセンターでも大々的に販売されます。

白菊をメインにした組み合わせが人気のようですが、地方によってはキキョウを供える習慣もあります。
自宅に庭があり、故人が花を育てていた場合、故人が好きな花を摘んで供えるというご家庭もあります。

かつて日本人のほとんどが農業に携わっていたころは、お花を買うという文化が無かったため、近くに咲いていた綺麗な花をお供えしていました。
地域によって用いられるお花が異なるのは、その名残の一つです。

果物、お菓子

季節の果物や、故人が好きだったお菓子などをお供えします。
お盆用にパッケージングされているものもありますが、必ずお供えしなければならない種類の果物はありません。

親族の好みも考えつつ、できれば自分で選びたいものです。

購入した果物やお菓子は、入れ物から取り出し、お皿にきちんと盛り付けるのが正解です。
スペースの都合上難しい場合は、裸のまま置いても差し支えありません。

キュウリ・ナス

精霊棚の飾り物で有名なのが、キュウリの馬とナスの牛です。
割り箸や苧殻(おがら)を適度な長さに整え、キュウリ・ナスに四つ足を刺すことで作る飾りものです。

飾りものが生まれた由来は諸説ありますが、先祖の霊の乗り物としてこしらえたという説が有力です。
行きは馬の背に乗って早くご先祖様がやって来るように、帰りは牛の背に乗ってゆっくりとあの世に帰るように、との願いが込められています。

地域によってはサトウキビを供え、ご先祖様が帰る際の杖としてお使い頂いただくために飾ります。

ナスにはもう1つの使い道があり、「水の子」というお供え物を作るのに使います。
これはナスをさいの目に刻んだものに洗い米を混ぜ、清水を満たした器に入れたお供え物です。

水の子は本来、祀る人がいない無縁仏や餓鬼へのお供え物ですが、お盆の時期には一緒にお供えします。
ご先祖様の中には無縁仏となった方もいらっしゃるかもしれませんし、ご先祖様だけでなく、様々な霊の出入りがあるかもしれません。

そのような方々にも歓迎の意を示すためのお供え物です。
このように丁寧な対応をすることで、初盆で訪れた故人の霊が恥ずかしい思いをすること無く、あの世に旅立てると考えられています。

蓮の葉

閼伽(あか)とは仏教用語で、仏前・墓前に供えるお水のことです。
お盆のお供えの1つに「閼伽水(あかみず)」というものがあります。

これは、器に入れた蓮の葉の上に、少量の水をたらしたものを言います。
地域によっては、お花を束ねたものをその上に置いたり、水の子を蓮の上に乗せる場合があります。

これらのお飾りを作るために、必要なものは事前に購入するなどして、あらかじめ備えておく必要があります。

初盆の期間中にすべきこと

お盆の期間に入り、初盆を迎えてから終わるまでにすべきことには、どのようなものがあるのでしょうか。
以下に詳細をご紹介していきます。

迎え盆(お盆初日)

お盆の始まりの日を「迎え盆」と呼び、この日は墓参りに行き、墓を掃除したあとでお菓子や果物・お花をお供えします。
このとき、ご先祖様の霊が家を間違えないよう、お墓で灯した火を提灯に移し、家まで持ち帰ったものを迎え火と言います。

本来はこのような伝統があるわけですが、さすがにここまで殊勝にお迎えできる方は限られていると思います。
そのため、現代では玄関先や縁側・仏壇に白提灯を下げることで、迎え火の代わりとする家がほとんどです。

精霊棚を飾り、食事を供える

お盆初日の前夜になったら、精霊棚を飾ります。
当日は仏壇から位牌を奥に並べ、花や飾り物を並べたら、手前に一対の灯明や香炉・りんなどを置きます。

明かりは絶やさないのが基本ですが、火事の心配もありますから、LED型の灯明を使うと安心です。

初盆の期間中は、精霊棚に食事を朝・昼・晩と日に三度供えます。
スペースの都合上、精霊棚を準備できない場合は、仏壇にお供えします。

これは「霊供膳(りょうぐぜん)」と呼ばれます。

霊供膳は本来、精進料理が基本になりますが、現代では特にこだわる必要はありません。
故人の好きな献立を用意する場合もあります。
地域によっては、期間中の献立が細かく決まっている場合もあります。

僧侶を招き、お経を上げてもらう

初盆の場合は、通常のお盆よりも丁寧に供養するため、特別に法要を催すのが一般的です。
僧侶を家に招いて精霊棚の前で読経をあげてもらうのが習わしとなっています。

これを「棚経(たなぎょう)」と言います。

このとき、親族・友人を招いて法要を行うわけですが、もし友人の数が多い場合などは、葬儀参列者の名簿を参考にして案内状を事前に送っておくとスムーズです。
故人がそれほど付き合いが多くなかった場合は、親族だけに電話で連絡を取り、日時を決めるのも良い方法です。

棚経は時間的には5~10分の短いものが主流です。
そのため、読経中は家族・親族が全員揃って僧侶の後ろに坐るのが望ましいです。

棚経が終わったら、僧侶も含めて出席者を精進料理でもてなすのが基本です。
ただし、お盆の期間はどこのお寺も忙しく、数多くの檀家を回らなければならない場合がほとんどです。

そのため、僧侶がもてなしを辞退した場合は、「御布施」・「御車代」に加えて「御膳料(おぜんりょう)」を包みます。 

御膳料は一般的には5千円~1万円が相場とされていますが、地域で初盆を経験したお家に相談した方が確実です。

料理の種類については、現代では家族で全て作ることは少なく、お寿司などをとる家庭が多いようです。
葬儀会社の法要プランによっては、お弁当や飲み物などを葬儀会社で揃え、家に運ぶサービスもあります。

注意点としては、地方によっては新盆の場合に限り、お盆前に棚経を行う場合があります。
また、お盆の時期はお寺が一年のうちで一番忙しい時期のため、状況によっては棚経の日程をお盆からずらす場合もあります。

この場合は、来訪者のスケジュールを考え、お盆期間中は棚経無しで親族・友人間のやり取りを終わらせ、お盆明けの棚経には家族のみが参加する形が一般的です。

送り盆(お盆最後の日)

家にお迎えしたご先祖の霊を、再びあの世に送り返すため、お盆最後の日の夕方には門口で「送り火」をたきます。
焙烙(ほうろく)と呼ばれる素焼きの皿型の容器に、苧殻(おがら)を折って積み重ね、火をつけて燃やします。

このとき、白提灯を中に入れ、一緒に燃やします。

この習慣についても、住宅事情によってはできない場合があります。
その場合は他のお飾りと併せて、白提灯を菩提寺に納めるのが一般的です。

初盆における注意点

上記の他、初盆を迎える際の注意点としては、宗派の違いがあります。
日本国内の仏教においては、細別すると数多くの宗派が存在しますが、中でも浄土真宗は別枠と言っても差し支えないほど特色が強い宗派です。

初盆において精霊棚を設けることは先に述べましたが、浄土真宗では基本的に精霊棚を設けません。

浄土真宗では、亡くなった方は阿弥陀如来の功徳により、皆極楽浄土に生まれ変わるとされているためです。
そのため、供養しなければ浮かばれないという考え自体を、浄土真宗では持ちません。

したがって、浄土真宗の家庭では、精霊棚は基本的には作りません。
ただし、僧侶を読んで棚経を上げてもらったり、親戚一同が集まって過ごす時間があるのは同様です。

また、地方によっては「宗派と先祖供養は別物」と考え、他宗同様にお供えをする地域もあります。

初盆としてすべきことは存在しますが、一から十までがんじがらめに行う必要はありません。
故人をしのび、自分にできる範囲で供養することが大切です。

初盆に関するまとめ

初盆を迎える方は、今までのお盆との違いに戸惑う方も多いかもしれませんが、事前に準備を行えばそれほど難しいことはありません。
大切なのは故人を大切に思う気持ちであり、そのうえで基本的な習慣を守ることが肝要です。

何か一つ間違えたからと言って、罰を与えるようなご先祖様はいません。
まずは心を込めて、自分にできる準備から始めましょう。

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  • 公開日:2018.04.12
  • 更新日:2020.04.06

カテゴリ:仏事などの解説

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