仏壇に祀る大切な御本尊の仏像で使われる
白木や柘植、楠木、白檀などの木材の種類と特徴について

カテゴリ:【 仏具

よく誤解されがちですが、お仏壇や仏具において大切になるのが御本尊です。
多くの人はお仏壇にこそ一番大切と思いがちですが、本来の意味においては御本尊こそしっかり選ばなければなりません。

もちろん時代の流れなどもあり変わりつつありますが、仏壇仏具を揃える際に御本尊をしっかり選ぶというのは変わりはありません。

一部の宗派を除いて、多くの宗派では御本尊をお仏壇に安置することになります。
しかし、その仏像の種類やデザイン・使用する木材にはさまざまなものがあり、中には伝統工芸に指定されているものもあります。

今回は、そんなお仏壇の御本尊として祀る「仏像」について、素材の面から紐解いていきたいと思います。

御本尊の必要性と木材選びについて

そもそも、御本尊はどのような理由から、その必要性が訴えられているのでしょうか。
仏教が持つ歴史から、その理由を考察していきます。

御本尊はご先祖様も含め、人々を導く御仏を具現化したものである

仏教・お仏壇における御本尊は、当然ながら単なる荘厳具とは一線を画したものです。
なぜなら、荘厳される対象そのものが御本尊だからです。

キリスト教で言えばイエス・キリストやマリア様であり、イスラム教で言えばアッラーです。
その存在が仏であり、仏教であれば神をも超越した存在として描かれます。

つまり、一つの宗教の信仰対象が御本尊なのです。

ご存知のとおり、日本における仏教には、複数の宗派が存在しています。
混迷する時代の中で研ぎ澄まされた概念は、現代の日本においても広い範囲に伝わっています。

そして、それぞれの時代で特に必要とされた御仏が、御本尊として今なお引き継がれているのです。

一つひとつの仏像には、象徴している意味があります。
釈迦如来であれば「悟り」そのものを、大日如来であれば「宇宙の真理」を、阿弥陀如来であれば「極楽往生」を指します。

それぞれの持つ意味が、その時代において解釈された流れを汲み、各宗派の根幹を担うようになりました。

また、教祖自身の神格化も加わり、仏僧自体が仏像になる例もあります。
日蓮宗の日蓮上人がよい例です。

こうして、信者の思いに応じる存在が、仏像としてあがめられていくことになったのです。

木製の仏像にこだわるべき理由とは

お仏壇に安置する仏像の多くは木製です。
仏壇店などに行っても見られるのはほとんどが木製の仏像です。

しかし、何か木材という素材にこだわる理由はあるのでしょうか。
結論から言えば、原始仏教において仏像を信仰する理由がなかったことからも分かるとおり、素材のみならず仏像自体に意味を持たせる必要性はありません。

また、近年の傾向として、そもそも仏像を安置できるだけの大きさのお仏壇を用意できないという世帯も増えてきています。
そのような場合は、掛け軸を御本尊代わりに使用しているご家庭も珍しくありません。

さらに言えば、ご家庭によっては故人の写真や位牌とお花や線香というケースも見られます。
よって、このような現代の傾向を考えれば、必ずしも木製の御本尊にこだわる必要はないとも言えるかもしれません。

そのような事情であっても、木彫りの御本尊を選ぶ方の心理としては、やはりお仏壇が持つ本来の意味を理解してのことと考えられます。
拝する対象物が具体化することで、より自らの念を込めやすいという利点もあります。

お仏壇は供養の場であると同時に、自らの心の洗濯を行う場でもあります。
自分自身の心のちりを払うことを目的として、御本尊のみを購入する方もいます。

そのような殊勝な心がけを持つ方にとっては、形のある御本尊は非常に重要なものと言えるでしょう。

宗派の違いによる木材の違いはあるか

仏像を選ぶ際には、宗派によって素材とする木材に違いを設けていた例はあるのでしょうか。
この点については、そもそも仏像ではなく掛け軸を選ぶ世帯がいることから分かるように、素材が義務付けられている例はまずありません。

ただし、お住まいの地域やお寺によっては、必ずしもそうとは言えない可能性もあります。
気になる方は念のため、住職に確認するのがよいでしょう。

一般家庭における仏壇の御本尊として仏像を祀る際には、どの宗派だからどの素材をというのは基本的には無いと考えて問題ありません。

仏像で使われる主要な木材の種類

ここからは、現在日本で御本尊作りに用いられている木材に焦点を当てて、その種類・特徴・ランクに触れてご紹介していきます。

白木(しらき)

白木とは、仏像でもよく見られますが、実は特定の木材を差した言葉ではありません。
塗料を塗っていない、白地のままの素材であるものを白木と称します。

一般的には、松などの柔らかい木材が使われていることが多く、素材で言えば他のものと比べて比較的安い傾向にあります。
よって、一口に白木と言っても、白木製と書かれる事が多く、具体的にどのような木材が使われているかについては紹介されていないこともあります。

木材は、表面が日光に当たることにより、白色からあめ色へと変化していきます。
白木はもともとの色が白い分、色の移り変わりが分かりやすいため、1~2年で色の濃さを実感できます。

とはいえ、お仏壇の中に安置しているものは、それほど多くの光は当たりませんから、一般的な家具のように考える必要はありません。
ただし、お仏壇同様、湿気などの外部要因には注意が必要となります。

白木の場合、塗装などを施していない仏像もあり、日焼け・シミ・カビといった原因で痛むケースもありますから、大切に取り扱いましょう。

仏像に白木が使われる大きな理由の一つに、木肌の美しさをそのまま活かした彫刻ができることが挙げられます。
また、あっさりとした優しい雰囲気を醸し出しており、人間に近い雰囲気を演出できる点も、好かれる理由として考えられます。

何より安価に仕上げる事ができるため、小型のお仏壇や格安系仏壇に合わせる御本尊としてよく選ばれます。

ですが、気になるのは、白木といえど、実はその使われる木材にはいくつか種類があり、それぞれの素材によって、何らかの違いがあるのかどうかだと思います。
そこで、以下に主な素材について紹介していきたいと思います。

日本国内でさまざまな用途に用いられる木材の一つです。
数多くの長所があり、それゆえ長年にわたって建築などの現場で使われてきました。

古くから言い伝えられてきたものも含めると、次のようなものが挙げられます。

  • 木材として使用した際に、必要十分な粘り・強度・耐久性を備えている
  • 経年変化による色艶が美しい
  • 夏場に成長を止める性質を持っており、成長が遅い傾向があることから、細かな目ができる
  • 気温の変化に耐える力を持ち、場所を選ばず育つたくましさがある
  • 日本も含む東アジアにおいて、不老長寿の象徴として親しまれている
  • 松竹梅などの縁起物

現代では、必ずしもこのような意味合いで松を仏像に使用するわけではありませんが、日本人にとって馴染み深い素材であることは間違いないようです。

ちなみに、国産の松は生産数自体が少なく非常に貴重なためか、国産材の松を素材としてアピールしている仏像が売られているケースはまず見つかりません。
そのため、国産松をうたう商品があった場合、出どころを確認しておいた方がよいでしょう。

桧(ひのき)

こちらも日本人にとっては馴染み深い木材の一つです。
水に強い素材のため、お風呂の浴槽などにも使われます。

その独特の香りが癒しとなっており、入浴剤代わりに用いられる例もあります。
また、法隆寺の建築材料として使われていることからも分かるとおり、耐久性・保存性にも優れています。

実際の仏壇店などでは白木としてではなく「桧」製として販売されている仏像もあります。
大きさ・デザインによって価格は15,000~30,000円程度とまちまちですが、それでも仏像としては安価な部類に入るでしょう。

日本では手に入りやすい素材の一つです。
加工しやすい特徴があることから、建築材だけでなく幅広い用途があります。

樽・桶などの材料になったり、割り箸を作るのに使われたりします。
仏像においては、材料に杉が使われていることをアピールしている商品はあまり見かけません。

しかし、屋久杉のような一部のブランド杉を使って彫刻された仏像などは、高級木材のため屋久杉使用としっかり書かれそれ相応のお値段で販売されています。

また、そこまでの質を求めた場合、でき上がった仏像自体についても用途が限定されてきます。

お仏壇用にというよりは、仏像自体をお祀りする形になってしまったり、インテリアに使われたりと、多少格式の違うものになっているデザインが多く見られるようです。

拓殖(つげ)

お仏壇用の仏像としては、白木よりもランクが上になる素材です。
価格帯も、それなりの大きさのお仏壇で使う分には、30,000円~50,000円台あたりが最低クラスとなっていると考えられます。

柘植は日本国内に広く分布している木材で、樹高が1~3mという小さな木になります。
その強度は高く、非常に硬い木材としても知られていますが、その反面、杢目はとてもあっさりとしていて、肌触りも良いのが特徴です。

塗装を施す必要がないほど表面が美しく、経年や使い込みによる味わいを感じられる木材でもあります。
それゆえ、長く使うことを想定している仏像にとっては、相性の良い素材と言えるでしょう。

高級素材として、櫛・印鑑・将棋の駒としても使われており、仏像のような彫刻の材料としても重宝してきました。

現代においては、中国産の南方で手に入った柘植を使った仏像もあります。
日本産に比べると育つスピードが早く柔らかいため、緻密な彫刻を施しやすいという利点もあります。

楠木

楠木もまた、古くから日本で用いられてきた木材です。
古来より樟脳(しょうのう)を手に入れるために用いられ、薬の木(くすりのき)が名称の由来となっているという説もあります。

樟脳は、香料・殺虫剤・防臭剤といった用途に用いられてきました。
現代では、かゆみ止め・リップクリームなどの材料となることもあります。

また、その防虫効果が、現代まで続く仏像作りには重宝したとも言われています。
家具などでは、タンスなどの素材として使われています。

楠木はとても大きな木であり、杢目の力強さも特徴的です。
そのため、お仏壇用の商品以外として、それ一体で存在感を醸し出す神仏が彫刻されている像もよく見られます。

楠木も高級木材の一種になり、お仏壇用に限らず、名のある仏師が彫ったものの中には、1,000,000円を超えるものも売られている程です。

白檀

仏像の素材の中でも最高級と考えられる木材の1つです。
お香・線香などの素材ともなる、爽やかな甘い香りを持つ木材で、主な産出国はインドであり、マイソール地方で産出されたものが「老山白檀」として尊ばれます。

インド産の白檀は輸出が制限されていることから、簡単には手に入りません。
そのため、多少質は落ちますが、インドネシア産・アフリカ産のものも取引されています。

多くの仏像は香木を原料にして作られてきた歴史があるため、日本でもやはり重宝される傾向にあります。
価格帯も多くの品が、最低でも10万円を超えるような6桁の価格からと、先に紹介してきた材質と比べても遥かに高めとなっています。

重厚感や耐久性も申し分なく、白木と比べるとその存在感は圧倒的と言えるくらいになります。
高級なお仏壇、本格的に祀りたい方などに向いています。

榧(かや)

仏像の素材としては有名な木材ですが、現代では使われることが少ない素材の一つです。
こちらも特徴的な香りを持ち、木の実の香りを香水として調合している商品もあるようです。

その名前の由来としては、カヤを燃やした際に出る煙が、蚊を追いやる性質を持っていたことが挙げられます。

成長するまでにかなりの時間を要することで知られ、日本で伐採できる数は非常に少なくなっています。
さらには、古来の方法で木材を使用できる状態にまで乾燥させるとなると、10年の歳月をかけなければならず、使えるようになるまで非常に時間のかかる素材です。

しかし、その強度は高く、仏像に細密かつ立体感のある彫刻を施すには非常に適しています。
作られた仏像を見ると、背面にまで複雑な細工が施されていることに驚くはずです。

仏像として販売されているものの価格帯は、小さなものであれば50,000円を切るものもありますが、本格的なものは楠木・白檀と同様、非常に高価です。

仏像のほかには、高級な碁盤・将棋盤の材料として使われています。
強度が高いため、まな板やお椀、箸などにも使われます。

木材のみの仏像と金仏像との違い

木材のみで作られた仏像と対比されるのが「金仏像」です。
この両者には、お仏壇で使用するにあたり、どのような違いがあるのでしょうか。

【金仏像=純金が材料】ではないことに注意

まず、誤解の無いようにお話すると、金仏像の全てが、純金のみで作られた仏像を差しているわけではありません。
実際の今時の金仏像は、いくつかの技術を用いて、木仏像をベースとして金色に装飾しているものが、広く「金仏像」と呼ばれています。

加飾(かしょく)とも呼ばれ、色付けすることも含めると、いくつかの段階に分かれます。

実際に純金で作られたものもありますが、お値段は1,000,000円を超える高価なものです。
一般的には受注してからの個別生産となる事も多いので、一般的な仏壇屋や仏具屋などで見かける事はそうないと言えます。

経営者があえて純金で仏具を作り、節税対策に用いるケースもあり、本来の用途からは離れてしまっている流れも一部存在しています。

実は金仏像が必須となる宗派はない

金仏像と木仏像とを比べた際に問題になるのは、あくまでもデザイン面であり、どの宗派だから金の仏像でなければならないといった決まりはありません。

過去から現代まで日本国内に歴史を伝えてきた、さまざまな素材で作られた仏像が、その融通無碍さを物語っています。
とはいえ、やはりお仏壇との相性というものは存在するため、金仏壇に安置することを考えるのであれば、金色の仏像が雰囲気に合う点は否めません。

金仏壇を使うことが多い浄土真宗は、特段仏像を必要とせず、本来は掛け軸で問題ない宗派でもあります。
よって、お寺・地域の風習や予算に合わせ、柔軟に取り入れて問題ありません。

仕様に基づいた技術紹介

仏像について、その技術に即した内容の紹介を以下にご紹介します。

彫刻のみ

何の装飾もなく、木材を彫刻したのみの仏像です。
素材によって雰囲気が変わり、同じ彫刻を施してもたたずまいが違います。

香木が使われる例が多く、高級になればなるほど存在感が強くなります。
これが、仏像を製作するベースとなります。

金泥(きんでい)

金粉を粉状に砕いた泥を、膠液(にわかえき)に溶いた顔料で描きます。
膠(にわか)とは、動物の皮・骨から作られる接着剤のことを指しています。

木工などの用途に用いられてきた歴史があり、仏像にとっても例外ではありません。
装飾を施した部分がきらびやかになり、仏像自体の装飾具が見た目的によく分かります。

切金(きりがね)

金・銀の箔をさまざまな形に切って、仏像における模様の部分に貼り付ける技法です。
技術は非常に緻密で、金泥よりも金の輝きがよく分かります。

彩色(さいしき)・極彩色(ごくさいしき)

古来から続く経典・僧侶の話から想像した色合いを、仏像に色で表現したものです。
彩色に比べ極彩色はより色合いが濃くなっており、日蓮上人などの袈裟に描かれた紅白・金色は見事の一言です。

箔彩色(はくさいしき)

金箔の上から、淡く彩色を施したものを指します。
高級感を出すために用いられ、金をベースにしているところが極彩色と異なります。

高蒔絵(たかまきえ)

仏像自体ではなく、仏像の背面に用いられる技術の一つです。
漆器の表面に金粉・銀粉などで模様をつける技術を蒔絵と言いますが、その模様が盛り上がるような造りになっているものを高蒔絵と呼びます。

立体感のある文様により、より荘厳さが強調されます。

おわりに

今の仏像は木材の質から様々な加工を伴って作られています。
当然手がかかればかかるほど、価格は上がっていく傾向にありますので、自分のお仏壇や仏具などとバランスを合わせて選ぶと良いでしょう。

格安仏壇に白檀仏像だと少しアンバランスですし、逆に本紫檀の仏壇に白木の仏像というのも少し違和感があります。
仏壇も仏像も質と価格は基本的に比例しますから、そのあたりを良いバランスを考えて選ぶようにしておくのが無難です。

仏像作成に使われる木材には、香りのよさという特徴があります。
白木の桧なども、その特徴的な香りが好まれることから、素材として候補にあがったものと思われます。

仏教世界において「香り」は非常に尊いものとして考えられていたことから、人々は現代に至るまで素材を厳選してきました。
現代では電灯のような明かりによって御仏の神々しさを示すこともありますが、古代の人々は香りによって威厳を示そうと考えたのかもしれませんね。


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