今では増えてきた色々なセット付仏壇
経机や椅子付のお仏壇の特徴とメリット・デメリット

  • 2018.10.27

仏壇

お仏壇店も、今では多種多様な種類が存在します。
家具調やモダン、唐木といった仏壇でも数多くの種類がありますが、最近では用途や使い方でもオールインワン的なお仏壇が存在感を放ちます。

お仏壇の中には、経机・椅子などがワンセットになっているものがあります。
このような機能は別々に買わずに済むので、一見お得に感じられますが、実際に使って見ると別々に購入するよりも使い勝手が悪いというケースも少なくありません。

今回は、経机・椅子・骨壺収納用の設備などが装備されているお仏壇には、どのようなメリット・デメリットがあるのかについて、ご紹介していきます。

そもそも、経机・椅子などはどのような場面で使うのか

仏具の中でも一定の必要性が存在している経机・椅子ですが、これらの仏具がどのような場面で用いられることになるのか、厳密に答えられる方は少ないのではないでしょうか。

まずは、今回のテーマである経机・椅子をはじめ、お仏壇に付属となることが多くなったいくつかの仏具が持つ意味合いについて、紐解いていきましょう。

経机(きょうづくえ)

経机とは、経本・経典を読む際に利用する机のことを指します。
一般家庭においては多くの場合、日々のお参りに用いるりんや香炉などの仏具を置く台として利用されています。

大きさは様々ですが、単体で購入する場合、お仏壇の大きさにマッチする経机を選ぶ必要があります。
基本的には天板の幅で寸法が定まっており、一般的には36~90cm程度の幅になります。

経机自体に引き出しがあるデザインのものもあり、引き出しの中には数珠・線香・ロウソクのような日常的に使う仏具などをしまうことが多いようです。
種類には主に「唐木」と「塗り」があり、それぞれ唐木仏壇・金仏壇に対応します。

かつては、金仏壇・唐木仏壇などのデザインに合わせた商品が多い傾向にありましたが、家具調仏壇の台頭により、シンプルなデザインのものも増えてきています。
ほとんどの宗派で用いる仏具ではありますが、浄土真宗本願寺派の場合は使わないお寺もあることから、必須となる仏具ではありません。

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椅子(いす)

馴染みがない方ですと、椅子が仏具?と思うかもしれません。
厳密に言えば仏具ではないのですが、日々のお参り・お勤めとして使うものになります。

日々のお勤めと聞くと、正座でお経を読んだり線香をあげたりしている風景を連想する方が多いと思います。
しかし、近年では高齢化が進んだこともあり、お仏壇を守るご家庭の多くではひざを曲げてお勤めをするのがつらいという方も少なくありません。

そのようなニーズから、ひざに極力負担をかけずにお勤めができる「椅子」を利用する方が増えてきています。
椅子と一口に言ってもそのデザインは様々であり、背もたれがあって腰掛けられる一般的な椅子の形から、正座・あぐらをかいた際などに座りやすい座椅子、さらには正座の姿勢を楽に保てるように工夫された正座椅子といったように多くのバリエーションがあります。

クッション部分に花柄カバーなどを使っているものもあり、使う人のことを考えてデザインも洗練されてきています。

家具調仏壇の場合は、そもそもがインテリアと同じようなデザインとなっていることから、まるでドレッサーのような見た目になっているものもよく見られます。
そのようなデザインの場合、かえって正座には馴染まないといった理由もあり、お仏壇の購入段階から椅子を購入することを検討するご家庭も増えてきました。

こうして、各家庭の事情やお仏壇自体のデザインの変化により、椅子の必要性にも変化が生じてきたのです。

その他の付属仏具

大きめのお仏壇であれば、本来は別に購入しなければならない仏具が一緒に付属しているケースも少なくありません。
古くからある代表的なものに「猫戸」と呼ばれる引き戸がありますが、こちらは本来分骨を納めるスペースとして用いられていました。

現在では、遺骨というよりは、普段使用しないような仏具を収納するのに用いられている例が多いようです。
引き出して利用する部位も少なからず存在しており、膳引(ぜんびき)などはスライド式の棚として有名であり今ではよほどの小型仏壇でない限りは膳引きは付いているといって過言ではありません。

このような装備は全てのお仏壇に標準装備されているものではなく、モノによっては別途仏壇台などを購入して用意しなければなりません。

しかし、初期の段階で高いお仏壇を購入できない場合は、小さめの手ごろなお仏壇と仏壇台とを合わせて安置するという方法もあります。

仏壇台には棚も一緒に付いていることから、猫戸や膳引代わりに使用することも可能です。
よって、必ずしも仏具がワンセットになったお仏壇を購入する必要はないと言えそうです。

経机・椅子がお仏壇と一体化していることのメリット

経机・椅子がお仏壇と一体化していることで得られるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
以下に詳細をご紹介していきます。

予算面ではお得に揃えられる事が多い

初めてお仏壇を購入する際は、あまり仏具詳細にまで考えが回らなかったという方も多いと思います。
そのため、各宗派の決まりごとを勘案したセット商品を検討する方も少なくありません。

その分予算が高くなることを想定しがちですが、実際に一つひとつを選んで購入するのに比べ、かえって手間が省けて良かったという声も多いようです。
一定種類の仏具の中から必要なものを選ぶセミオーダー形式が採用されていて、ご本尊やリン・付属品なども付いているという太っ腹なプランもあります。

経机・椅子などの仏具についても、もともとお仏壇に付いていることで、その分購入の検討の必要がなくなりますから、経済的な面でメリットのある選択肢ではあります。

イメージを損なわない

仏具を購入する際にネックになるのは、自宅にあるお仏壇とデザインがマッチングするかどうかという問題です。
色合いや質感などはそれぞれに個性があり、ともすればイメージを損なうおそれがあることから、デザインは慎重に選びたいと考える方も多いようです。

機能的に良い商品が見つかったと思っても、インテリアの雰囲気にそぐわないという理由から、購入を断念するケースも想定されます。

また、椅子や経机もある程度の色やデザインは似せられても、全く今のお仏壇と同じというわけにはいきません。
仏具であれば、ある程度の種類が多くありますから、似ているもの、合うものをといった選び方も可能ですが、経机や椅子はそこまで種類が豊富ではありません。

その点、ワンセットになっている経机・椅子であれば、お仏壇とセットで作られているため、色見やデザインが統一されているため、お仏壇のイメージに合わないものを購入するリスクがありません。

購入前に使い勝手や雰囲気を理解しておけば、少なくとも見た目的なデザイン面で購入を後悔するケースは少なくなります。

省スペースに役立つ

経机・椅子などが一緒になっているデザインのお仏壇は、省スペース的な意味合いでも使い勝手が良い部分があります。
使う時だけ出して、お勤めが終わったら引っ込めるといった使い方ができるため、普段は極力スペースを広く使いたいといったニーズにも対応できます。

一軒家ではあまり問題になることはないかもしれませんが、マンション・アパートのように限られた空間の中にお仏壇を安置する場合、お仏壇の中に仏具を収納できる造りの方が、色々と便利である点は否めません。
このような事情から、コンパクトにまとまるお仏壇を購入する層は一定数存在しているのです。

経机・椅子がお仏壇と一体化していることのデメリット

省スペースとデザインの統一性が大きなメリットとなる一体化ですが、それゆえのデメリットも存在します。
以下に詳細を見ていきましょう。

お仏壇における他の部位に支障をきたす

使う際に引き出して、お勤めが終わったあとに収納できる経机・椅子については、使用後に収納することを前提としていますから、あくまでも短時間の使用にとどまります。
よって、長期にわたり継続して使用すると、そのほかの機能に弊害が生じる場合があります。

一例を挙げると、引き出し式の経机は、お仏壇の仕様によっては使っている間に扉を閉めることができません。
唐木仏壇などの伝統的なデザインであれば、扉の下にある引き出しが前に出る造りになっているものが多いですが、家具調仏壇などの場合は扉が引っかかる位置に設置されていることがあります。

そのため、経机に仏具を置きっぱなしにすることを考えている場合は、夜でも扉を開けっぱなしにしておくなど、多少お仏壇の取り扱いに関するルールを柔軟にとらえて利用しなければなりません。

長く出して使い続けることで経年劣化が起こり、もとのように収納できなくなる可能性もありますから、別々に用意する場合よりもデリケートに取り扱うよう心がけましょう。

同じように、椅子も収納する場合、中は椅子が収納できるように作られており、一般的なお仏壇のような引き出しや小物を収納できるスペースは少なくなります。

経机上の収納を使うのに不便

経机が内蔵されているお仏壇の多くは、簡単に説明すると、下台が引き出せる構造となっています。
引き出した台の上を経机として利用することから、下台の上にある引き出しを使うのに、不便な思いをすることがあります。

引き出しには消耗品となるロウソク・線香などを収納するご家庭が多いと思いますが、経机に置く仏具は基本的に毎日使うものなので、取り出したいタイミングでいちいち下ろして使うのは面倒です。

かといって、消耗品をお仏壇以外の場所に収納するのも手間に感じる方が多いでしょう。
このようなネックを理解しつつ付き合っていかなければならないことから、長年にわたる利用を想定すると疑問符が付くケースもよくあります。

椅子は破損のリスクも検討する

椅子が収納できるモデルの場合、デザイン上お仏壇下部に椅子が収納できるようになっているものが多い特徴があります。
このとき、お仏壇と椅子とが別々になっていることが目で見て分かる仕様と、内部に扉をはさんで収納されている仕様とがあります。

どちらの場合も、使用者の体重や使い方などによる理由で、何らかの負荷がかかれば破損するリスクがあります。

前者の場合、もし壊れてしまったとしても、似たような大きさ・デザインの椅子を探すことで代用できますが、後者の場合は椅子のデザイン自体がお仏壇に同化したものであることから、一度壊れてしまうと代わりのものを探すのに難儀する可能性があります。

椅子付きのお仏壇を購入する場合は、破損した後のことも考えて購入する必要があると言えそうです。

その他の機能のメリット・デメリット

経机・椅子付のお仏壇におけるメリット・デメリットについてお伝えしてきましたが、猫戸・膳引などの機能についてはどうなのでしょうか。
以下に詳細をご紹介します。

骨壺収納は別に用意した方が良い

かつて分骨の収納に用いられた猫戸ですが、一般的な猫戸の大きさでは、骨壺を収納することは物理的に難しいはずです。
そのため、お仏壇の中に骨壺を収納することを考える方も多いと思いますが、もしそうした場合、モデルによっては極端に収納機能が限定されてしまい、かえって不便を感じてしまうかもしれません。

もし、何らかの理由でお墓に骨壺を安置できない場合は、骨壺収納用の棚を別途用意しておくとよいでしょう。

お仏壇によっては、骨壺収納可と書かれている場合もあります。
ですが、こういったものは、多くがその店で売っている自社の骨壺のみサイズが対応していると捉えた方が無難です。

骨壺にも種類がありサイズがありますので、骨壺全てが収納できるというわけではありません。
骨壺収納可と書かれていたから買ったけど、入らなかった…とならないようにサイズをしっかり事前に測ったり注意が必要です。

椅子内蔵型のお仏壇は、極端に収納スペースが少なくなる

椅子内蔵型のお仏壇は、下部スペースに椅子を収納することを想定しているため、その分収納スペースが極端に削られる傾向があります。
結果的に、仏壇台や棚などを別途購入しなければ、かえって日々のお勤めに差し障りがあるケースも少なくありません。

見た目的にはシンプルで一見使い勝手が良さそうですが、それは諸刃の剣でもあります。
毎日の事細かなことをお仏壇一つの範囲で済ませるためには、一定の収納力が必要になることを念頭に、お仏壇を購入するようにしましょう。

逆に考えれば、そこまで本格的にしない、お花は常花、ロウソクや線香も電子系を使うといったご家庭では、そこまで収納スペースが必要としないため、椅子を中に収納できて省スペースで有効と言えます。

膳引はあくまでも補助的な役割と心得る

省スペースの観点から、膳引を出したままの状態でお仏壇を利用しているご家庭もあると思います。
しかし、膳引のような引き出し型の設備というものは、長期間同じ形で使用することにより、お仏壇自体にゆがみが生まれるおそれがあります。

そのため、収納する際に元に戻せなくなる可能性もあるのです。
また、強く引き出すと抜け落ちてしまうこともありますから、長く使うためには繊細に取り扱うことが大切です。

他にも、収納型の台としての機能を持つお仏壇を取扱う際には、負荷を長期間にわたってかけないよう注意が必要です。

おわりに

経机・椅子付のお仏壇は、一見すると様々な機能を備えたハイブリッドな印象を与え、利用者からすると一石二鳥、一石三鳥となるイメージがあります。
もちろん、メリットは十分にあるのですが、必ずしもそのような状況になるとは限りません。

限られたスペースの中に機能を積み込んでいる以上、通常のお仏壇に比べてどうしても収納力が落ちてしまう点は否めず、通常利用する場面で気にする必要のない部分に難点が生まれがちです。

セット系が誰にでも合うわけでは無く、用途や使い方などに応じて選ぶ必要があります。
仏壇店で選んでいる際には、ついメリットばかり目がついてしまい、このようなデメリットにまでイメージが行き届かないことも往々にしてあります。

購入を決める際には、機能性だけにとらわれず、普段使うことを想定してデザインを選別することを心がけましょう。

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  • 公開日:2018.10.27

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