お仏壇に祀る仏具の基本について
まずは花立・灯立・香炉の三具足を知っておこう

お仏壇の選び方で悩みに悩んで、いざ買った後に多くの人が頭を悩ませるのが、仏具は何が必要で、それをどこに配置すればいいの?という点です。
初めてお仏壇を買う方や詳しくない方のほとんどが実際にどうすればいいか?というのを買ったお店に聞いていると思います。
実際私も多くの人に、これは必要?これは?といった具合に質問を受けていました。
今回は、そんな仏具の基礎に関して解説してみたいと思います。
全ての宗派において基本となるのは三具足の仏具
基本的には仏壇の中にどの仏具などを配置するかというのは、厳密に言えばやはり宗派で大きく異なります。
例えば、ご本尊や脇侍などは宗派によって大きく異なります。
同じように、どこにどの仏具を配置するかというのも、大筋は似ていたとしても細かなところでは宗派によって異なる事も多くあります。
しかしながら、基本の基本と言えるところは、どの宗派も同じで、それが今回の「三具足」というポイントです。
三具足というのは、花立・火立・香炉の3つの事を合わせた呼び名になります。
ちなみにこの三具足は読み方は「みつぐそく」と呼びます。
「さんぐそく」と読む方もいて、辞書にはどちらの読みも載っています。
辞書が見出しに立てているのは「みつぐそく」の方なので、迷ったらこちらで読んでおけば大丈夫です。
そもそもなぜ花と灯りとお香の3つが基本なのか
仏具の名前だけを並べられても、なぜその3つなのかが分からないままだと、なかなか頭に入ってこないものです。
ここには、お供えの考え方が関わってきます。
曹洞宗の公式サイトでは、お供えの基本として香り、花、灯明、お水、飲食の5つを挙げています。
この5つはまとめて五供(ごくう)と呼ばれ、香りはお線香やお香、灯明はロウソクの灯り、飲食はご飯やお菓子や果物の事です。
この5つをお供えするための道具が仏具になる、と考えると全体が見えやすくなります。
三具足はそのうち香り、花、灯りの3つを受け持っていて、香炉が香り、花立が花、火立が灯りにあたります。
浄土真宗本願寺派の公式サイトでも、ご本尊を中心にして灯・香・華の三具足を整える事がお飾りの基本だと説明されています。
宗派が違ってもこの3つが最初に来るのは、そういう理由からです。
そこにお水の茶湯器と、ご飯の仏飯器が加われば、五供の5つがひととおり揃います。
仏具の名前を先に暗記するのではなく、何をお供えするための道具なのかで捉えていけば、そこまで難しく考えなくても大丈夫です。
仏具の花立
名前の通り、お花を飾るための花を立てるための仏具になります。
できれば生花をしっかり飾るのが理想ではありますが、毎回の手入れなどの手間などを省けるように、常花のお花なども用意されています。
仏具の火立
火立と書く事もあれば、灯立の漢字で書かれることもあります。
それ以外でも、燭台、ロウソク立てといった呼び名で呼ばれる事もありますが、基本的な意味はどれも同じです。
名前の通り、ロウソクを立てるための仏具になります。
仏具の香炉
香炉には厳密に言えば、種類があり、前香炉、玉香炉などがあります。
三具足の香炉としては、前香炉がこれにあたり、お線香を供えるために使います。
一般的には、この前香炉の器の中に香炉灰と呼ばれるものを入れ、そこにお線香を立たせる事になります。(浄土真宗のように、お線香を折って寝かせて供える宗派もあります)
基本は三具足。そこから色々足していきます
花立×火立×香炉の3つで、三具足。ここにさらに花立をもう1つ、火立ももう1つ追加した合計5個の仏具を「五具足(ごぐそく)」と呼びます。
法事など丁寧にお飾りする時には、この5つの形にします。
ただ、普段のお飾りは三具足が基本で、最近では小型のお仏壇などが主流となってきているため、五具足が入らずに法事の時も三具足のままという家は少なくありません。
大きなお仏壇では、五具足を常に飾っておくという形もあります。
ここから、様々な仏具を追加で考えていき、例えば、ちーんと鳴らすおりん、ご飯を供える仏飯器、飲み物を供える茶湯器などが次の基本となってくる仏具になります。
現在の主流となるのは仏具は合計6点~8点セット
現在は主流がモダン仏壇になっており、小型化が進んでいます。
そのため、仏具をとりまく環境も大きく様変わりしており、昔のように多くの仏具を祀るという事が少なくなってきています。
そのため、そういったモダン仏壇に供える仏具として色々用意されており、その中で今主流なのが、仏具の6点~8点セットとなります。
- 花立
- 火立
- 香炉(前香炉)
- 仏飯器
- 茶湯器
- 線香差し
上に挙げた6つが6点セットの中身で、8点セットはここから花立と火立がそれぞれ一対になった形です。
五具足に仏飯器と茶湯器と線香差しを足したものと考えると分かりやすくなります。
一般的な仏壇屋さんや仏具屋さんでは、仏具のセットとおりんのセットがわかれています。
そのため、仏具○点セットと、それに合うおりんのセットを買うのが一般的になっています。
お仏壇のサイズによって、花立の数や火立の数が変わるとはいえ、基本となるのが三具足にプラスαした上記の仏具となります。
もちろん、本格的なお仏壇で、本格的に祀るとなると、6点や8点ではなく、細かな仏具を入れていけば40点や50点といった事にもなり、宗派によってもバラバラで様々になるため、その辺についてはまた別途解説したいと思います。
三具足と五具足はどこに何を置くのか
仏具が揃ったら、次に迷うのがどこに何を置くかという点です。
並べ方には基本の形があり、そこさえ押さえておけば、あとはお仏壇の大きさに合わせて調整していくだけになります。
三具足は中央に香炉、向かって右に火立、左に花立
三具足の並べ方は、真ん中に香炉、向かって右に火立、向かって左に花立という形になります。
まずはこの形にしておけば、大きく外れる事はありません。
ここで言う向かって右・左は、お仏壇の正面に立った側から見た向きです。
お仏壇の中から見た左右ではないため、そこだけ逆にならないよう気をつけましょう。
この並びは宗派をまたいでほとんど共通しています。
置き場所は、お仏壇の一番下の段か、下の方から引き出せる膳引きという板の上になります。
前卓(まえじょく)という小さな机が付いているお仏壇であれば、その上に三具足を並べましょう。
もう1つ、意外とつまずきやすいのが香炉の足の向きです。
曹洞宗の公式サイトでは、香炉にも表と裏があり、三本足のものは足の1本が手前に来るように置くと説明されています。
五具足は香炉を真ん中に火立と花立を一対ずつ
五具足は、中央の香炉から外側へ向かって、火立、花立の順に並びます。
香炉を真ん中に置き、その左右に火立を1つずつ、さらにその外側に花立を1つずつという形です。
三具足に2つ足すと考えるより、内側から香炉、火立、花立と覚えておくと、並びが崩れにくくなります。
浄土真宗本願寺派の公式サイトでも、花立を一番外側に置き、その内側に火立、中央に香炉という順で説明されています。
お仏壇によっては、前卓に打敷(うちしき)という敷物を掛けた上に五具足を並べます。
法事の時だけ五具足へ組み替える場合は、外した花立と火立をしまっておく場所も考えておきましょう。
仏飯器や茶湯器、おりんを置く段と位置
三具足や五具足を置くのは一番下の段で、その上の段には仏飯器と茶湯器が並びます。
曹洞宗の公式サイトでは、茶湯器を中央に、仏飯器をその横に置くと説明されています。
茶湯器が1つなら仏飯器はその右横、茶湯器が2つある場合は仏飯器を真ん中にして左右に茶湯器を置く形になります。
浄土真宗本願寺派のように、お仏飯をご本尊の真ん前に供えると案内している宗派もあります。
お位牌は、ご本尊の左右に並べます。
古いお位牌を向かって右、新しいお位牌を向かって左に置くのが基本の並びです。
なお浄土真宗はお位牌を用いないため、この並びは当てはまりません。
おりんは、お参りする時に手が届く高さに置きます。
曹洞宗の公式サイトでは木魚を右、おりんを左とし、おりんだけの場合は右に置くと案内されています。
段の数はお仏壇によって変わってくるので、上の並びがそのまま当てはまらない事もあります。
その場合も、上からご本尊、お供えもの、三具足という順番さえ守っておけば、大きく外れる心配はありません。
仏具セットを買えばすべて揃うというわけではありません
仏具は6点セットや8点セットという形でまとめて売られていて、初めての方の多くはここから選ぶ事になります。
しかしながら、そのセットを買えばお仏壇の中がすべて埋まるかというと、そういうわけではありません。
セットに入らないものを先に知っておくと、お仏壇が届いてから慌てずに済みます。
ご本尊やお位牌は仏具セットには入っていません
ご本尊や、その両脇に飾る脇侍(わきじ)の掛け軸、お位牌といったものは、仏具セットとは別に用意します。
これらは礼拝の対象になるもので、お供えのための道具とは役割が違います。
ご本尊には仏像と掛け軸の2つの形があり、どちらにするかもあわせて決める事になります。
仏具セットに入っているのは、花立、火立、香炉、仏飯器、茶湯器、線香差しといった、お供えのための道具です。
浄土真宗の場合は、お位牌の代わりに法名軸(ほうみょうじく)や過去帳を用意する事も多くなります。
法名軸は、浄土真宗で戒名にあたる法名を書いた掛け軸です。
過去帳は、亡くなった方の法名や命日を記しておく帳面になります。
このあたりは宗派で分かれるところなので、お仏壇を選ぶ時に一緒に相談しておきましょう。
ご本尊を仏像にするか掛け軸にするかで迷ったら、下記の記事を読んでみてください。
- お仏壇の御本尊 - 仏像と掛け軸で何が違う?今は位牌や遺影や写真立ても?
- お仏壇に安置する御本尊については各宗派によって決まりがあります。 どの宗派においても、原則として仏像の安置もしくは掛け軸など絵像の安置となっ …
おりんは別売りが基本になります
仏具の点数を数える時、おりんは基本的にその数に入っていません。
先に解説したとおり仏具のセットとおりんのセットは別売りなので、6点セットを買ったのにおりんが無い、という事が起こります。
注文の前に、おりんが付いているかどうかを必ず確かめておきましょう。
点数だけを見て決めてしまうと、お仏壇が届いた後で買い足す事になります。
おりんは、お参りのたびに手に取る仏具でもあります。
音の伸び方や大きさで印象が変わってくるところなので、できれば実際に鳴らして選びたいものです。
ロウソクやお線香、香炉灰なども別に用意します
仏具が揃っても、中に入れるものや火をつけるものが無いと、お参りは始められません。
買った当日に必要になるのに見落としやすいのが、次のようなものです。
- 香炉に入れる香炉灰や香炉石
- ロウソク
- お線香
- マッチの火を消すマッチ消し
- 経机(お仏壇の前に別に置く机の事です)を火や灰から守る掛けマット
特に忘れやすいのが香炉灰です。
香炉は器だけで売られている事が多く、中身は入っていないものと考えておいた方が確実になります。
灰が舞うのが気になる場合は、香炉灰の代わりに香炉石を使うという方法もあります。
仏具のサイズはお仏壇に合わせて選びます
仏具は、同じ形のものがいくつかの大きさで作られています。
お仏壇に対して大きすぎると扉が閉まらず、小さすぎると見た目が寂しくなってしまうため、サイズ選びは意外と大事なところになります。
仏具の寸は1寸が約3cm
仏具の大きさは、3.0寸や4号といった書き方で示されている事がほとんどです。
この寸は昔から使われている長さの単位で、1尺が約30.3cm、その10分の1の1寸が約3.03cmになります。
計算しやすいように1寸を約3cmと考えると、3.0寸で約9cm、4.0寸で約12cmという見当がつきます。
明治24年の度量衡法で1尺の長さが定められており、この換算はそこから来ています。
ややこしいのが号の方で、高さを指しているのか幅を指しているのかが、お仏壇や商品によって変わる事があります。
数字だけで決めず、最後はcmの実寸で確かめておくと安心です。
測るのは扉を開けた内寸と膳引きの奥行き
仏具を選ぶ時に測るのは、お仏壇の外側の大きさではありません。
扉を開けた状態の内側の幅と高さ、そして花立や火立を置く膳引きの幅と奥行きになります。
見落とされがちなのが膳引きの奥行きです。
幅は足りていても奥行きが足りず、仏具が前へはみ出してしまう事があります。
高さで気をつけたいのは、花立や火立がご本尊を隠してしまわないかという点になります。
お参りする位置から見て、ご本尊のお顔が見えるかどうかを目安にしましょう。
宗派の違いはどこまで知っておけばよいか
宗派によって仏具が変わると聞くと、間違えたらどうしようと身構えてしまう方も多いかもしれません。
ただ、初めて揃える段階で知っておきたい事は、そこまで多くありません。
仏具の並べ方は宗派をまたいでほとんど共通です
先に解説した三具足の並べ方は、宗派が違ってもほぼ同じです。
浄土宗の公式辞典は香炉を中央にして向かって右に火立、左に花立と記しており、曹洞宗の公式サイトも、真宗大谷派のお寺の説明も同じ並びになっています。
宗派で変わってくるのは、道具そのものの形や色、そしてお参りの作法の部分です。
並べ方の骨格は共通しているので、そこはあまり心配しなくても構いません。
仏具の世界に絶対の正解が1つだけあるわけではなく、お寺や地域によって少しずつ違う事もあります。
迷った時は菩提寺(お付き合いのあるお寺の事です)に聞けば済む話なので、身構えずに揃えていきましょう。
浄土真宗は土香炉を使いお線香を寝かせます
宗派による違いで、初めての方がいちばん出会いやすいのが浄土真宗の作法です。
浄土真宗本願寺派の公式サイトでは、日常のお線香は土香炉という口の広い陶磁器の香炉で焚き、お線香は立てずに短く折って寝かせると説明されています。
香炉灰に立てるのが当たり前だと思っていると、ここで戸惑うかもしれません。
先に解説した前香炉とは形も使い方も違うので、宗派が浄土真宗であれば香炉の種類から確かめておきましょう。
浄土真宗ではお位牌を用いず、法名軸や過去帳を使うのが本来の形とされています。
とはいえ実際にはお位牌を用意する家も増えており、受け入れているお寺もあります。
同じ浄土真宗でも西と東で仏具の色や形が変わります
浄土真宗にはいくつもの派がありますが、よく目にするのが本願寺派(お西)と大谷派(お東)の2つです。
この2つでは、本願寺派が花立や火立に黒色をベースにした落ち着いたものを使い、大谷派は金色の装飾が多く、火立には亀の上に鶴が立った姿をかたどった鶴亀と呼ばれる形のものを用います。
ここで大事になるのが、仏具を選ぶ順番です。
三具足はどの宗派でも使う基本の仏具ですが、火立や花立には宗派の色が出るため、宗派が分からないまま買うと選び直しになる事もあります。
おりんのように宗派を問わず使える仏具もあるので、そうしたもので揃えると決めたなら先に選べます。
間違えると失礼にあたる、という話ではありません。
買い直しを避けるための順番だと考えておきましょう。
西と東でどこが違うのか、見極め方も含めてこちらで詳しく解説しています。
- 今さら聞けない浄土真宗の基本。西や東・本山での仏壇や仏具の違いと見極め方
- 自分の家の宗派が浄土真宗の方は、おそらくお仏壇・仏具を購入しようと仏壇店へ足を運んだ際に「お東ですか?お西ですか?」などと聞かれる機会がある …
初めて仏具を揃える時に決めていく順番
ここまでの内容を、実際に決めていく順番へ並べ直しておきます。
迷いやすいのは、何から手を付けるかが見えないまま、あれこれ比べてしまう時です。
- お仏壇のサイズ、置き場所、予算を決める
- お仏壇が決まったら、扉を開けた内寸と膳引きを測る
- 宗派を確認する
- 宗派に合わせて三具足を選ぶ。宗派を問わず使えるもので揃えると決めたなら、宗派が分からない段階でも選べる
- 三具足のままにするか、6点や8点のセットにするかを決める
- おりんと、香炉灰やロウソクなどの消耗品を足す
宗派が分からない段階でも決められるのは、1のお仏壇のサイズと置き場所、そして予算です。
仏具の中身は宗派が分かってからの方が確実で、先に選べるのは宗派を問わず使えるものに限られます。
宗派が分からない場合は、お仏壇やお墓、お葬式の時の記録から調べる方法があります。
その手順は別の記事で解説しています。
- 宗派がわからない時の調べ方|仏壇・位牌・お墓で確かめる5つの方法
- 仏壇や位牌を用意する段階になって、うちは何宗だったっけ…?というところで手が止まってしまうことがあります。親から聞いた覚えはあるものの、はっ …
費用は、仏具の点数とお仏壇の大きさで幅が出るところになります。
どこまで揃えるかで変わってくるので、予算の立て方は次の記事を参考にしましょう。
- 激安・最安値で仏壇・位牌・仏具を揃えるために必要な費用・予算
- 仏壇仏具の価格というのは、正直なところ今ではピンキリとなっています。 非常に高級なものを言えば、それこそ何百万という単位で必要になってくるほ …
まとめ
仏具の並べ方は宗派をまたいでほとんど共通していて、そこで悩む必要はありません。
一方で、仏具のセットを買っただけではお仏壇の中は揃わず、ご本尊やお位牌、おりんや消耗品は別に用意する事になります。
ここさえ頭に入っていれば、お店で説明を受ける時も落ち着いて聞けます。
今回は、初めての方むけに、まずは必要となる仏具の基本は三具足で、そこに色々な必要な仏具を増やして祀っていくという事を、まずは覚えておきましょう。
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