お仏壇に祀る大切な御本尊について
仏像と掛け軸のどちらが良くて、何が違うのかを解説

カテゴリ:【 仏具

お仏壇に安置する御本尊については各宗派によって決まりがあります。
どの宗派においても、原則として仏像の安置もしくは掛け軸など絵像の安置となっています。

しかし、実際に仏壇屋などへ行ったり通販サイトで見てみると、御本尊向けとして「仏像」と「掛け軸」が用意されています。
一般家庭で祀ろうと思った際、果たしてどちらを選べば良いのかといった事は意外と解説されていません。

また、時代の変遷とともに個人の価値観も多様化して来たこともあり、各家庭におけるお仏壇や御本尊との向き合い方にも変化が生じています。
今回は、そんなお仏壇の御本尊をテーマに、安置するモチーフの違い・形状の変化について解説していきます。

原則として仏像を選ぶ理由と宗派の違い

お仏壇に仏像を安置する宗派は、比較的古くから歴史を持ち、日本国内でも一定の権威を持つ宗派が多い傾向にあります。
天台宗・真言宗・浄土宗などが当たります。

ただし、そもそも仏像が作られる意味合いとしては、必ずしも仏教の教えとはリンクしていません。
というのも、釈迦の入滅後に釈迦の像を作ることは500年以上もの間禁止され、偶像崇拝はタブーとされていた時代があったからです。

釈迦の教えにも「自灯明・法灯明(じとうみょう・ほうとうみょう)」というものがあり、他者に頼ることなく自分を頼り、法を拠りどころにして生きることを伝えています。

しかし、時代が流れるにつれて、仏教徒が釈迦への思慕をつのらせ、御姿を懐かしみ仏像が作られるようになっていきました。

また、大乗仏教が興り、一般的な在家信者が信仰の対象としやすい菩薩像などの仏像が作られるようになると、現世利益を目的とする層も含めて仏像自体への信仰が強くなっていったのです。

やがて日本の仏教界にも新しい風を起こす「密教」が台頭してからは、よりシンボリックな仏像などが彫られるようになり、寺院だけでなく在家信者にも仏像を安置する習慣が広まっていきました。

原則として掛け軸を選ぶ理由と宗派の違い

御本尊を祀る宗派がある一方で、掛け軸・もしくは偶像にこだわらない宗派も登場してきました。
阿弥陀如来への信仰をより研ぎ澄まし「南無阿弥陀仏」の御名号だけで救われると説いた浄土真宗。

法華経を仏教の集大成とし、万物の平等な成仏を説いたものとして曼荼羅を据える日蓮宗。
日蓮宗の教えをさらに現代調にアレンジし、今なお強い信仰を維持する創価学会。

これらの宗派・教義には、比較的斬新な発想が盛り込まれており、偶像崇拝へのアンチテーゼとしての御本尊像として「掛け軸」が用いられているものと考えられます。

現代の流れとしては、仏像・掛け軸どちらを選んでも問題ない

ここまで、各宗派の基本的なルールについて取り上げてきました。
しかしながら、お仏壇が伝統型からモダンへと変遷してきたように、御本尊も昔とは異なり取扱いが現代風に変わってきています。

現代の価値観としては、基本的には多くの宗派において、仏像・掛け軸どちらでも構わないという理解が主流となっているようです。

宗派の違いなく仏像・掛け軸が選ばれるようになった経緯

原則として宗派による違いがあった御本尊の形ですが、なぜ現代において宗派を問わず仏像・掛け軸を自由に選ぶ流れが生まれたのでしょうか。
その一因として「お仏壇の多様化」が挙げられます。

かつてはお仏壇を購入するとなると「一生の買い物」扱いされ、子々孫々の安寧を考えてお仏壇の大きさを選ぶのが主流でした。

しかし、お仏壇やご先祖様・仏教に対する人々のスタンスが変わり、死者を悼む方法も多様化していったことから、さまざまなニーズに合わせたお仏壇が生まれていくことになります。

コンパクトなお仏壇の中には、そもそも広さや奥行が十分でなく、大きめの仏像を安置しただけで他のものが置けなくなってしまうデザインのものもあります。

そうなるとどうしても絵像の安置をせざるをえず、予算的に安くなることもあいまって、掛け軸を選ぶ方が増えていったものと考えられます。

しかし、逆に身内が亡くなったことにより、真にご供養を考える機会から、あえて宗派にかかわらず仏像を購入するご家庭もあります。

お仏壇がない方でも、心のよりどころとして仏像を購入される方も珍しくありません。
仏像・掛け軸に求めるものが多様化することで、逆にこだわりが個々人で変化したとも言えるかもしれません。

日蓮宗は御本尊が曼荼羅となるが、日蓮上人の像を安置するかどうかは要確認

先にご紹介したとおり、日蓮宗は御本尊が曼荼羅となります。
そのため、日蓮宗に限って言えば、御本尊に仏像を安置する事はなく、曼荼羅の掛け軸となります。

逆に日蓮上人の掛け軸などは作られておらず、仏壇店や通販ショップなどでもありません。

しかしながら、日蓮宗という名の通り、日蓮上人は日蓮宗においては開祖でもあります。
そういう経緯もあって、御本尊は曼荼羅ですが、その前に日蓮上人の仏像を安置するという流れもあります。

しかし、このあたりは考え方次第で変わるため、お寺に確認して必要ないというお話になれば、その意向に従って差し支えありません。
まずは、迷ったら菩提寺に確認してみましょう。

現代になって色々と生まれた新しいルール

原則として御本尊は上記のように考えられてきました。
しかしながら、やはり色々と時代の流れや人々の考え方や暮らし方が変わってきた事もあり、御本尊の捉え方や考え方、そもそものお仏壇の考え方なども色々と多様化してきているのも事実です。

仏像や絵像のほか、現代になってからお仏壇に安置するものについて新しいルールも生まれてきています。
以下に、主だったものをご紹介します。

ご本尊の位置に故人の位牌を置く

かつては考えられなかったことですが、御本尊を置かずに、もしくは御本尊の隣に故人の位牌を置くというご家庭があります。
先祖供養の観点からお仏壇をとらえている方が増えてきているものと想定されます。

事実、お仏壇の中には非常にコンパクトなデザインが増えてきており、御本尊を安置するにもスペースが取れないというケースは珍しくありません。
中にはカラーボックスに納まってしまうサイズ感のお仏壇もあり、ここまでくると一般的なお仏壇と同じような配置は不可能です。

個人の価値観だけでなく、現代の居住環境の問題も反映した流れの一つと言えます。
当然、御本尊をもし安置するとしても、小さな絵像が精いっぱいというところでしょう。

故人の遺影をお仏壇の中に飾る

昭和以前のご家庭であれば、大きなタブーとされてきた行為の一つです。
昔は「死者を増やす」とか「死人が化けて出る」などとされ、忌避されてきた習慣でした。

しかし現代では、あえて位牌などのような仏教的・宗教的な要素をなくし、故人だけを偲ぶスタイルのお仏壇も増えてきています。

いわゆるモダン仏壇の一つで、持ち運びが用意なコンパクトなものも販売されています。
また、純粋に写真しか飾れないお仏壇も登場しており、先祖供養として使うために作られた仏壇すら今では多数登場しているほどです。

ある意味では供養の欧米化・本質化が進んでいると言っても良いかもしれません。
特段仏教という型にとらわれず、純粋に死後の安寧を祈る文化が、いくつもの時代を経て日本に浸透しようとしているのかもしれません。

家族写真など、写真立てを使って故人・家族の写真を飾る

こちらは、タブーとして考える地域とそうでない地域とに分かれます。
前者は「死者の魂が寂しくなって云々」という理由からホトケを増やすものとして忌避され、後者は特段気にせず、もしくはご先祖様が寂しくないように飾ろうと考えてのことです。

各地域・各家庭の死者に対するスタンスが明確になるケースと言えるでしょう。

一部地域では、お寺の都合と家庭の都合を分けているところがあり、普段は御本尊も位牌を脇にして家族写真などをメインに据え、法事の際や毎月のお祈り時に並べ替えているご家庭もあります。

中には「おじいちゃんが優しかったから」とか「お母さんの顔を忘れたくないから」といった理由で写真を綺麗に飾りつけ、御仏よりも身内を弔う気持ちの方が強いというご家族も多いようです。

宗教的な概念からではなく、自然な形で死をより前向きにとらえる
傾向は、今後も広がりを見せることでしょう。

今では御本尊とお仏壇の考え方も多様化してきている

昔ながらの伝統を重んじる家庭からは信じられないといった声が聞こえてくるかもしれませんが、今ではお仏壇、御本尊、そもそもの仏教においても考え方などは多様化してきています。

昔ならお仏壇と言えば、一家に一台、一生モノの買い物といわれるものでした。
しかしながら、今ではお仏壇のない家庭、お寺と付き合いのない家庭も増え、自身の家が何宗かを知らずに育っている方も多くいます。

そういった背景から、先祖供養の際に御本尊ではなく先祖の位牌や遺影を安置し、お参りするといった家庭も多く存在しています。

どちらが良く、どちらが悪いというのは一言では表せないほど色々な背景があります。
それでもやはり大切なのは、心の持ちようという事もあります。

自分自身がどう考え、家族はどう考え、お付き合いのあるお寺があるならそこと相談をしながら、お仏壇、御本尊をどう捉えどう安置するのかを考えていくと良いのではないでしょうか。

おわりに

以上、お仏壇の御本尊について、各宗派の建前と実際の各家庭における流れをご紹介してきました。
調べてみると、歴史が古い宗派・保守的な宗派ほど仏像に意味づけを行い、新しい発想や個人の修行に重きを置く宗派は比較的柔軟な傾向にあることが分かります。

ただ、現代の大きな傾向としては、一部宗派を除きそれほど仏像・掛け軸の違いにこだわりが見られず、多くの場合各家庭の都合が優先されている面も多々あります。

そのため、過度に仏像・掛け軸の違いを意識する必要はないものと考えて大丈夫ですし、極論を言えば御本尊は仏像・掛け軸のどちらでも問題なく、実際には予算や仏壇のサイズなどに合わせて各個人の好みで選ぶという方が多いように感じます。


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