過去帳の書き方についてを徹底解説。
自分で書いても良い?記入例と命日・戒名の入れ方

  • 2026.08.18

仏具

過去帳と言えば、家族の記録を代々書き継いでいく大切な帳面です。
とはいえ、いざ過去帳を開いてみると、どうしたら…?と手が止まってしまったという方も多いかもしれません。

そもそもどう書けばいいのか、自分が書いていいのか、誰かに依頼すべきなのか。
また、書き間違えたら親戚に何か言われるのではないかなど、緊張を抱えたまま四十九日を迎えてしまう場合もあります。

実を言えば、過去帳を書く人に決まりはなく、書き方も思っているほど厳格ではないのです。
ただこれが逆に難しくしている面もあり、正解が一つに定まっていない部分も多く、家ごとの形で書き継がれてきた帳面と言えます。

ここでは過去帳に書き入れる内容と並べ方から、日付タイプごとの使い分け、書き損じてしまった時の直し方まで、実際に手を動かす順に見ていきたいと思います。

過去帳そのものの意味や選び方、見台の使い方については、こちらの記事で詳しく解説していますので、今回は書き方についての実務だけに絞ってお伝えしていきます。

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過去帳は自分で書いてもいい?お寺や仏具店に頼む方がいい?

和室の見台に閉じたまま置かれた過去帳と、その脇に用意された小筆を写した写真

結論を先に述べておくと、過去帳は誰が書くという決まりがなく、ご家族が書いて構いません。

奈良県のある浄土真宗本願寺派の寺院は、住職が書かなければいけないわけではなく、筆の達者な方はご自身で書いてくださって一向に構わない、という趣旨のことを発信しています。

参考)浄土真宗本願寺派 西光寺の解説

とはいえ、菩提寺(先祖代々のお付き合いがあるお寺)がある家であれば、四十九日法要の際に一言相談してみるとより丁寧な形になりますし、後々のトラブルなどを避けられます。

なにより住職に書いていただいた過去帳は字も整い、後の世代にも安心して渡すことができます。

頼む場合の費用と日数の目安

依頼先は菩提寺、仏具店の文字入れ、筆耕(毛筆で文字を書くことを請け負う専門の仕事)による代書に分かれます。
それぞれ金額もかかる日数も違いますので、下の表で見比べてみましょう。

依頼先金額の目安かかる日数
菩提寺の住職お布施として1名5,000円〜10,000円四十九日法要に合わせるのが一般的
菩提寺の住職(法要と合わせて包む場合)法要のお布施に含めて3万円〜5万円同上
仏具店の文字入れ1霊あたり1,500円〜5,500円程度約2週間
筆耕による代書1名あたり1,500円前後(複数名だと1名あたりの単価が下がるお店もあります)2週間〜1か月ほど(依頼先によって幅があります)

菩提寺にお納めするのは料金ではなくお布施ですので、決まった額があるわけではありません。
法要のお布施に含める形で受けてくださるお寺もあれば、記帳の分は求めないお寺もあります。

自分で書くか頼むかで迷ったら、筆を持つことに抵抗があるかどうかで考えてみてください。
抵抗がなければご自身で書いて差し支えありませんし、長く残る字を自分で入れることに不安が残るなら、はじめから頼んでしまう方が気持ちは楽になります。

過去帳の書き方の基本。書き入れる4つの項目と記入例

白紙の過去帳のページの上で小筆を持つ手元を写した写真

書き入れるのは、次の4つです。

  • 没年月日(命日)
  • 戒名(浄土真宗では法名、日蓮宗では法号と呼びます)
  • 俗名(生前のお名前)
  • 没年齢

続柄は任意で、後の世代が見て分かるようにと添えている家もあります。
縦書きで右から左へ、お一人分を2行から3行で書くのが一般的な形になります。

まずは記入例から見ていきましょう。

3行で書く場合と2行で書く場合の記入例

行の位置3行式2行式
1行目(一番右)令和六年八月十五日〇〇院〇〇〇〇居士
2行目〇〇院〇〇〇〇居士令和六年八月十五日 俗名 〇〇〇〇 行年八十三歳
3行目(一番左)俗名 〇〇〇〇 行年八十三歳-(2行式では使いません)

※この例は無地タイプの書き方です。

日付入りタイプでは1行目を「令和六年八月」とし、日は省きます(詳しくは次の章で解説します)。
中央にあたる行の形は宗派によって変わってきますので、手元の位牌や紙のとおりに写せば大丈夫です。

3行式は1行目に命日、2行目に戒名、3行目に俗名と没年齢という並びで、いちばん読みやすい形になります。
2行式は1ページに複数の方を収めたい時に使う書き方で、そのぶん文字が潰れやすくなる点に気をつけておきましょう。

2行式で書くなら、書き始める前にスペースを縦半分に区切っておきましょう。
区切ってから入れると、後半になって窮屈になるということがありません。

どうしてもマスに収まらない時は、位・亡・寂・俗名・享年・行年といった文字を省いても構いません。
無理に詰め込むより、読みやすさを優先した方が後の世代にも伝わります。

迷ったら、手元の文字とご先祖様のページに合わせる

書き方で迷った時、いちばん確かな拠り所になるのが手元の文字です。
お寺からいただいた白木位牌(四十九日まで用いる仮のお位牌)や法名を書いた紙にある文字を、そのまま写せば間違いありません

そもそも過去帳は、白木位牌や戒名用紙に書かれた内容を書き写して残していくものです。
自分で言葉を考えたり、体裁を整え直したりする必要はありません。

手元に届いた白木位牌がどういうものか分からないという場合は、下記の記事も参考になるかもしれませんので合わせてご確認ください。

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すでにご先祖様の記載がある過去帳なら、そのページの書き方と文字の大きさに揃えると形が崩れません。
続柄まで添えられているページが続いているなら、同じように書いておくと並びが揃います。

お一人分のスペースを先に決めてから書き始めるのも一つの手で、最初に幅を決めておけば、後の世代も同じ形で書き継いでいくことができます。

日付入りと無地、過去帳のタイプで命日の書き方が変わります

机の上に並べた2冊の過去帳で、1冊は白紙のページを開き、もう1冊は閉じている写真

過去帳には日付入りタイプと日付無しの無地タイプの2種存在します。
お手元の過去帳を開いて、1日から31日までのページに分かれているか、それとも無地のページが続いているかを確かめてみましょう。

項目日付入りタイプ無地タイプ
中身1日から31日までのページに分かれている日付の印刷がなく、ページの区切りだけがある
どこに書くか命日と同じ日付のページ1ページ目から亡くなった順に右から左へ
日付の書き方年と月まで書き、日は省く年月日をすべて書く
主な使われ方月命日(毎月めぐってくる命日と同じ日)のお参りに開く家系の記録として通して読む

日付が入った過去帳は年と月まで

日付入りのタイプでは、命日と同じ日付のページを開いて書き入れます。
その際、書くのは亡くなった年と月までで、日は省くのが基本になります。

ページそのものが日付を示しているため、あらためて日を書く必要がないというわけです。

このつくりは、月命日にそのページを開いてお参りするためのものです。
8月15日に亡くなった方であれば、毎月15日のページを開けば、そのまま手を合わせられます。

ご夫婦などで命日が同じ日に重なった時は、前後のページに書き分ける方法もあります。
同じページに無理に押し込めなくても大丈夫です。

無地の過去帳は1ページ目から順に

無地のタイプは、1ページ目から亡くなった順に、右から左へ書き進めていきます。
日付の印刷がないぶん、年月日をすべて書き入れる点が日付入りとの違いになります。

家系の記録として通して読める形で、お寺で使われている過去帳もこの形式が中心となっています。

年の書き方については、令和六年八月十五日のように和暦と漢数字を用いた記入例が一般的になっています。
ただ、必ずこう書かなければならないと定められているわけではありませんので、ご先祖様のページと表記を揃えるのがいちばん自然な形と言えます。

なお、元号の最初の年については、1年ではなく元年と書きます。

過去帳は何で書く?筆記具と、書き間違えたときの直し方

和紙の上に並べた硯と墨、小筆、筆ペンと、貼り直しに使う和紙の小片と糊を写した写真

墨と筆が基本、筆ペンでも構いません

長く残すという点では、硯で墨をすり、細めの筆で書く形が最も適しています。
これは墨で書かれた字はにじみにくく、年月を経ても残りやすいためです。

とはいえ、筆ペンやボールペンで書いても特に問題があるわけではありません。
毎回墨をするのは大変ですので、小筆や筆ペンで整えていく形でも十分と言えます。

筆ペンを選ぶなら、顔料系のインクのものが安心です。
水性インクや一部のゲルインクは避けた方がよいとされています。

いきなり本番で書くのが不安な場合は、鉛筆で薄く下書きをしてから墨を入れる方法もあります。
強く書いてしまうと消す時に紙を傷めますので、下書きはごく薄くしておきましょう。

墨の濃さについては、濃い墨で書くのが一般的です。
薄墨は通夜や葬儀の香典袋に用いる作法ですので、過去帳とは別のものと考えて問題ありません。

書き終えた過去帳は、月命日などお参りの時に開き、普段は閉じておきます。
開いたままにしておくと、そのページだけ日に焼けて色が変わってしまうことがあるためです。

置き場所も、お供えの水やお花のすぐそばは避けておくと、せっかくの文字がにじまずに済みます。

書き間違えてしまったときは

書き損じてしまっても直す方法はありますので、慌てずにいきましょう。
一般的なのは、間違えた部分の大きさに合わせて和紙を切り、上から糊で丁寧に貼って書き直すやり方になります。

過去帳と同じ種類の紙を使えば、貼った跡も目立ちません。
よくある文房具的な修正液や修正テープ、カッターで削り取る直し方は、紙そのものを傷めてしまうため向きませんので避けましょう。

二重線については、実際のところ見解が分かれているところでもあります。
線を引いて消すのは避けるべきという説明がある一方で、軽微な誤字なら線を引いて訂正し、大きな誤りは新しいページに正しく書き直せばよいという説明もあります。

どちらが正解ということはありませんので、気になる場合は菩提寺や購入した仏具店に一言相談してみるのが確実です。
なお、行政の書類で使う訂正印のような作法は、過去帳については見当たりません。

宗派で変わるところ。戒名・法名・法号の呼び分け

和室の卓に、文字の入っていない白木位牌と閉じた過去帳、線香を立てた香炉が並んでいる写真

過去帳の宗派での違いに入る前に、改めて書いておきます。
中央の行に写す文字は、手元にある白木位牌や法名を書いた紙にあるとおりで問題ありません。

宗派の違いとして押さえておくべきポイントは、呼び方の違いです。
浄土真宗では法名、日蓮宗では法号と呼び、それ以外の宗派では戒名と呼びます。

浄土真宗は釋の字を冠した法名

浄土真宗の法名は、漢字2字に釋の字を冠した形になります。
平成24年4月1日に施行された宗派の規程にも、「法名は、漢字2字とし、『釋』の字を冠するものとする」とあります。
参考)浄土真宗本願寺派「法名の授与に関する寺達」

信士や信女といった位号(戒名の末尾に付き、仏弟子としての位を表す文字)は付けません。
築地本願寺でも、釋〇〇という法名に信士・信女・居士・大姉といった位号は用いていないと説明されています。
参考)築地本願寺の説明

院号(〇〇院という形で法名の上に付く号)をお持ちの方であれば、院号に釋と漢字2字を続けた形になります。
本願寺派では、院号は宗門(宗派の本山を中心とする組織)から授けられるもので、一般の寺院や僧侶が交付できるものではありません。

そもそも、浄土真宗では本来は位牌を用いず、過去帳や法名軸(法名を記した掛け軸)が記録の中心になります。
ただ昨今では、浄土真宗でも位牌を安置される方が多くなってきています。

なぜ位牌を用いないのかという事情については、別の記事で掘り下げて解説しています。

浄土真宗に位牌は必要ない?過去帳や法名軸と今の時代の流れについて
非常に多くのお客様から過去にお問い合わせいただいた中の1つに、浄土真宗の方の位牌は必要なのか必要でないのかというのがあります。 一般的には …

女性の法名は釋尼?派と時期で扱いが違います

女性の法名は釋尼と書く、という説明を目にした方もいるかもしれません。
しかしながら、この点は派によって、また時期によって扱いが変わってきています。

浄土真宗本願寺派のお寺の解説では、1989年3月31日以前に得度式(僧侶になるための儀式)や帰敬式(生前に法名をいただく儀式)を受けて釋尼の法名をいただいた方を除き、性別に関わらず釋の字を用いると説明されています。
参考)浄土真宗本願寺派 光寿山 正宣寺の解説

切り替わった時期の説明はお寺によって幅がありますので、正確なところは手元の法名やお寺への確認が確実と言えます。

一方の真宗大谷派では、男性は釋、女性は釋尼を基本としながら、2025年1月1日から、受式される方の願い出に応じてどちらかを選べる扱いが加わりました。
多様な性を尊重するという考え方によるもので、選ぶ理由の説明は不要とされています。

参考)真宗大谷派「法名の取り扱いの変更について」

どちらが正しいという話ではなく、家の宗派と受式された時期によって変わってくる部分です。
そのため、手元の紙にある表記をそのまま写していただければ、それがその家の正解になります。

判断がつかない時は、お寺に一言確認すれば済む話でもあります。

表紙の書き方と、最初の1ページをどうするか

布張りの過去帳の表紙と白紙の題箋、最初のページを開いたもう1冊を写した写真

表紙には「〇〇家過去帳」「〇〇家先祖代々」のように家名を入れる形が多く見られます。
家名を入れずに過去帳とだけ記した表紙でも問題はないため、こちらも正解は決まっておらず一つではありません。

表紙の文字入れは、仏具店に頼むこともできます。
書体を選んで数百円程度から受けてくれるお店もありますので、本文はご自身で書き、表紙だけお願いするという手も使えます。

最初の1ページについては、そこまで身構えなくても大丈夫です。
無地のタイプなら、今回亡くなった方から書き始めて差し支えありません。

日付入りのタイプには1ページ目という考え方がなく、命日の日付のページから始まります。

何か儀礼的な言葉を最初に書き入れる決まりも見当たりませんので、そのまま書き始めれば問題ありません。
記録の残っていないご先祖様について頭を悩ませる必要もなく、表紙にある先祖代々の一文がその方々を含んでいる、という受け止め方をされる方も多いです。

書き始める前に多いご相談

和室の卓で向かい合う二人分の手元と、湯呑、閉じた過去帳を写した写真

いつ書き始めればいい?

白木位牌や法名を書いた紙を受け取った後、四十九日までに書き入れる流れが一般的です。
お寺から戒名や法名を授かって初めて書ける項目がありますので、自然とこの順番になります。

菩提寺にお願いするのであれば、四十九日法要の折がちょうどよいタイミングと言えます。
仮に遅れてしまっても後から書き入れられますので、日にちに追われて焦る必要はありません。

どこまでの身内を書けばいい?

書く範囲に決まりはなく、家と菩提寺の考え方が優先されます。
位牌と違って人数の制約なく書き継いでいけるところが、過去帳のありがたいところでもあります。

幼くして亡くなったお子さまについては、家の過去帳に書き入れる方法と、お寺の水子過去帳(水子供養の際に寺院で法名を記していただく帳面)に記していただく方法の両方があります。

どちらでなければならないというものではありませんので、菩提寺に相談しながら決めていきましょう。

ペットについては、これといった決まりがありません。
別の一冊を用意するという考え方もありますので、ペットの場合も菩提寺の受け止め方を確かめたうえで判断すると安心です。

享年と行年、どちらを書けばいい?

享年は数え年、行年は満年齢という説明が広く知られているところです。
ただ、ある真言宗の寺院は、どちらが正解ということはなく住職の考え方によって変わってくる、と説明しています。
参考)真言宗智山派 花臺山 金剛院の解説

ここでも頼りになるのは手元の文字です。
白木位牌や法名を書いた紙にある表記をそのまま写せば、それで問題ありません。

おわりに

過去帳の記入で頼りになるのは、手元の白木位牌や法名を書いた紙にある文字と、すでに書かれているご先祖様のページです。
そのとおりに写し、同じ形に揃えていけば、書き方で大きく外すことはありません。

それでも判断がつかないところが出てきたら、分からないまま一人で抱え込む必要はありませんので、菩提寺や購入したお店に相談しましょう。

過去帳の書き方として正解が一つに定まっていないのは、それだけ家ごとの形が認められてきたからかもしれません。
何より大切なのは、亡くなった方を書き残しておこうというお気持ちです。

筆を持つ手が少し軽くなったなら、そのお気持ちのままページを開いてみてくださいね。

  • 公開日:2026.08.18

カテゴリ:仏具

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