似ているけれども微妙に意味が異なる?
京型や大阪型などお仏壇の○○型の意味や地域との関係性

カテゴリ:【 仏壇

お仏壇の歴史は古く、もともとは厨子(ずし)と呼ばれる御本尊を入れるための小さな入れ物がルーツとなっています。
やがて、時代の変遷とともに江戸時代で檀家制度が始まると、全国的に「一家に一台」という形でお仏壇を用意するようになります。

そのため、お仏壇作りを生業にする職人が生まれ、それぞれの地域によって異なる技術が発達し、継承されていきました。
地名などがついたお仏壇も今も数多く存在し、現代までその技術が引き継がれており、各工程ごとに職人が存在するほどの精密さです。

伝統工芸品としての価値を残しつつも実用的であり、価格も比較的高価ということもあって、全国で一定の評価を得ています。
しかし、お仏壇について知識のない人の中には、地域の名前が入っていると、いわゆる「ご当地仏壇」的なポジションで理解している人も少なくありません。

そこで今回は、地名などがついたお仏壇がなぜ生まれたのか、代表的なお仏壇の種類に触れながら、いくつかの視点でご紹介していきます。

なぜ、地名などが含まれたお仏壇の種類があるのか

そもそも、なぜお仏壇に地名が冠されたのかについては、それぞれのお仏壇によってバックボーンが違います。
単純にその地域で利用される・製作されるお仏壇をそう呼ぶのなら、北海道仏壇や沖縄仏壇、海外なら上海仏壇のような名称が広まってもおかしくありません。

例に出したものは、残念ながらブランドとして現在のところ広くは聞かれないものの、【地名がついている=その地域で使われる・作られる】という意味のように単純なくくりで分けられるものもあれば、そのお仏壇の造りや歴史に関わる意味合いが込められているものもあります。

都道府県が冠されているものは、お仏壇の名産地名で呼ばれているケースが多い

お仏壇に都道府県名が冠されているもののルーツは、唐木仏壇のネーミングにあります。
そもそも「唐木」というのは、中国の「唐」にちなんだもので、中国大陸から日本へ渡ってきた木材を指していました。

具体的には、紫檀・黒檀・鉄刀木といった木材が該当します。
ただ、現代になると必ずしもそういった高級木材・中国大陸からの輸入品だけを特定する意味合いではなく、広く杢目の美しい木材を使ったお仏壇を「唐木仏壇」と呼ぶようになったのです。

現状、都道府県名や地名がついているお仏壇の種類としては、都道府県なら代表的なものとしては下記のようなものがあります。

  • 東京仏壇
  • 大阪仏壇
  • 京仏壇
  • 徳島仏壇
  • 山形仏壇
  • 広島仏壇

同じように、地名としてなら、

  • 小樽仏壇
  • 川辺仏壇
  • 名古屋仏壇
  • 彦根仏壇
  • 三河仏壇

などがあります。
多くの場合、ご当地工芸品の一つとして都道府県名・地名がついていて、経済産業大臣から「伝統的工芸品産地指定」を受けた産地として、伝統的な技術を今に伝えているところも見られます。

その地域で使う仏壇という意味ではない事に注意

よく勘違いされる例として、都道府県や地名の名前が付いている仏壇は、東京仏壇は東京の人が買う仏壇、京仏壇は京都の人が買うといったように、その地域で使われる仏壇と思っている方がいます。

これは誤りで、あくまでもその地域で造られていると意味になります。
工法などを定義している地域も多いですが、決して「その地域在住の人でなければ買えないというルールはありません」。

あくまでも、製作している地域を示すだけの意味合いと考えて差し支えありませんので、お仏壇選びの際には注意しましょう。

●●型仏壇は、その地域以外で造られたお仏壇

非常にややこしいのですが、都道府県や地名が入った仏壇に対し、その地名や都道府県+型と付いた、例を挙げれば下記のようなお仏壇の呼び名も存在します。

  • 京型仏壇
  • 大阪型仏壇
  • 名古屋型仏壇

都道府県が名産地名を示しているのに対して、上記の京型仏壇・大阪型仏壇・名古屋型仏壇のような「型」がつくタイプのお仏壇は、その型に似せて造ったお仏壇という意味になります。

元の○○仏壇というのは、その地域で造られたお仏壇を指しますが、今の時代ではお仏壇業界そのものがやや縮小気味です。
そのため、その地域だけで造られるお仏壇というのには限りがあります。

しかしながら、その型としては引き継いでいかなければならないという事で、その型を別の地域で作られたお仏壇が、○○型仏壇という事になります。

京仏壇となれば、本来は京都市で造られたお仏壇です。
しかしながら、今では多くが京都以外で造られておりますが、デザインや作り方などは京仏壇に似せて造っているという事もあり、その違いを示すために「型」ということで示しています。

似てはいますが、京仏壇と京型仏壇では大きく異なるため、特に高級なお仏壇や本格的に質などにもこだわっているという場合は注意が必要です。

基本的には金仏壇のような伝統的なものが中心

地名の入っているもの、型名が入っているものは、基本的に金仏壇などのデザインが多いです。
金仏壇は、日本でもかなりの信仰者を持つ浄土真宗で主流となっているため、お仏壇と聞いてイメージする形状としては最も多いものの一つです。

しかし、唐木仏壇がまったくないというわけではなく、徳島仏壇や静岡仏壇は、唐木仏壇の産地として有名です。
特に徳島は、唐木仏壇の製造では全国一位の生産量を誇り、シンプルながら重厚さを持ったデザインが人気です。

ちなみに、静岡仏壇と聞くと、創価学会系のお仏壇を想像する人もいると思います。
ただ、もともとは日蓮正宗用のお仏壇を作っていたことが始まりであって、必ずしも創価学会御用達ではありません。

第二次世界大戦後は、空襲などによってお仏壇が焼け払われたことにより、徳島を超える売上を記録していたこともあるほどです。
地域ごとに歴史や特徴があるため、お住まいの都道府県にお仏壇の産地があるなら、一度チェックしてみましょう。

大阪などのように、金仏壇も唐木仏壇も造っている地域などでは、大阪仏壇というと金仏壇の事を示し、唐木仏壇の事を示す場合には、大阪唐木仏壇と記す事が一般的です。

地名が入った主なお仏壇の種類とその特徴

概要が分かったところで、地名が入った主なお仏壇の種類と特徴について、具体的にどのような違いがあるのかをご紹介します。
それぞれの産地が持つ歴史が影響しているため、地域差を感じる部分を少なからず備えているのがポイントです。

今回は、産地として有名な場所にスポットを当てて、その特徴をご紹介します。

京仏壇

京仏壇という名称は、お仏壇に詳しくない方でも「聞いたことはある」名称だと思います。
実際、多くの仏壇屋で見かけます。

この名称は、主に京都府京都市・亀岡市周辺で作られているお仏壇を指します。
仏具も含めて京仏壇と呼ぶ場合もあります。

京仏壇は芸術性もさることながら、寺院さながらの精巧さも兼ね備えています。
一つひとつの工程を分業化したことで、個々の職人たちが高い技術力を継承することに成功した一例です。

京仏壇を一つ完成させるためには、40職種ほどの職人たちが携わると言われています。
自動車の組み立てなども分業化されていますが、個々の工程のプロフェッショナルを育てることは、日本人にとって得意とする分野なのかもしれません。

作業を細かく分けていき、それぞれの作業に精通した職人たちの技術を結集することで、お仏壇の意味を知らない海外の人もオークションサイトで購入するほどの芸術性・クオリティを実現しています。

ちなみに、京仏壇は家庭用だけでなく、寺院用の仏壇作りの基盤も備えています。
全国規模の知名度を誇っているのは、このような事情もあるのです。

広島仏壇

京仏壇が精巧さと芸術性を兼ね備えているのに対し、広島仏壇はより芸術性に重きを置いたお仏壇として有名です。
具体的な技法としては「高蒔絵技法」や「立て塗」などの技法が挙げられます。

高蒔絵技法とは、漆の下地の上に蒔絵を施す技術のことを言います。
立体感のある蒔絵となっていることが特徴で、透明な漆に油煙・ベンガラ・石黄などを混ぜた専用の漆や炭粉が材料として使われます。

立て塗というのは、漆を塗っただけで研ぎ出さずに仕上げる技法で、漆の柔らかさを保ちつつ、磨かずに光沢を表現できる特殊な技法です。
工程が非常に細かく、乾燥にも時間がかかるため、習得に時間がかかる技法の一つとして知られています。

その柔らかい質感から、かえって工程が全て完了していないのではないかと勘違いし、不良品扱いする人もいるそうです。
日本人としてとても恥ずかしい話ですが、お仏壇や仏具に関する技術が広く知られていない現代では、仕方がないことなのかもしれません。

東京(唐木)仏壇

大都会のイメージがある東京ですが、実は職人たちが集い技術を競っている街でもあります。
東京や埼玉で作られる唐木仏壇については、俗に東京仏壇と呼ばれることもあり、全国的な知名度を持つお仏壇の一つです。

金仏壇ではなく唐木仏壇が作られているのは、東京人が粋の文化を重んじ、飾り気のない渋さを好む性格を持っていたことが考えられます。
唐木仏壇には古典的な仏壇が持つ剛健さと優美さがマッチしており、そのあたりが東京人の心をつかんだものと推察されます。

唐木仏壇もまた、伝統的手法を用いて制作するにはかなりの時間が必要で、習得までに長い時間を要します。
職人の技術を肌で感じたいと考えている人は、東京仏壇に触れてみることをおすすめします。

●●型の名称がつく主なお仏壇の種類とその特徴

特定の型を名称に持つお仏壇は、産地としてではなく形状として分類されています。
そのため、型が大きな意味を持ち、それゆえにブランド化されているという側面があります。

以下に、全国的に有名な型から、その特徴を掘り下げていきましょう。

京型(京都型)

京型と京仏壇は、おそらくもっとも紛らわしい分類の一つです。
広い意味ではほぼ同じであり、もともとは京都市内で製作される金仏壇を指していました。

先ほどにも記載したように、形状をもって京型とするお仏壇は、京都以外の地域でも製作されています。
それゆえ、【京型=京仏壇】という公式は、必ずしも一致するわけではありません。

先ほどご紹介した広島仏壇を作る広島市もまた京型仏壇の産地であり、広島仏壇自体も京都や大阪の技術がベースになっています。

このように、京型仏壇はその知名度ゆえ、日本国内ではかなり紛らわしい扱いとなっているため、「京型風」なのか「京型」なのかを素人が見分けられるかどうかは疑問です。

ただ、京型は全国のお仏壇屋さんで見つかるシンプルな造りで、特に説明がないものも分類されていることがあります。
細かいところを省いてかなり大雑把に分類してしまえば、現状は【金仏壇≒京型仏壇】という分類になるかもしれません。

とはいえ、全国に普及している安価な金仏壇は、やっぱり細かいところに粗がありますし、浄土真宗で言えば東・西の差もほぼありません。
それに比べると京型は全体的に上品で、台輪に金具を使わないなど金具の使用も必要最小限にとどめ、お仏壇の表面は金を使いませんから塗りは黒だけです。

お仏壇に詳しくない方が京型仏壇を探すなら、一般流通しているものと実際に品を見比べ、どちらに魅力を感じるかで選ぶのが賢明です。

名古屋型

お仏壇の中では高級品に属する部類で、極めて豪華な装飾が施されています。
通販でその名を目にすることはあるものの、一般的な仏壇店でお目にかかることはほとんどなく、主に名古屋を中心に製造・販売されています。

超高級品になると、本体が高さを備えていて幅も広く、安置するためには一定の場所が必要です。
そのため、自宅の間取りによってはそもそも安置自体が難しい場合があります。

見た目で特徴的なのは、「みつまくり」と呼ばれるまくり上げ扉を下部に三つ用意しているところです。
近域の河川の氾濫に備え、台を高くするための工夫の一つです。
状況によっては、台を残して本体だけを移動させることも想定した造りになっているのです。

本体も基本的に大きさを強調した造りになっていて、扉を開いたときの荘厳さは圧倒的です。
柱の数も多い傾向にあり、10~18本という数で構成されているものもあります。

実は、名古屋型という名称は、いわゆる「名古屋仏壇」を模した仏壇として紹介されていることもあります。
というのも、名古屋仏壇には名古屋仏壇商工協同組合によって一定の基準が設けられており、その定義から外れたものを指していることもあるからです。

事実、名古屋型仏壇を特徴づける要素は多数あり、複数の工程に精通した職人による技術を前提にして語られるため、通販サイトなどでチェックする際には出どころを確認することをおすすめします。

大阪型

大阪型仏壇は、合理性と豪華絢爛な造りを両立させている点が特徴です。
具体的には、下台に高さを設けていること、透かし欄間や京金具のエッセンスを取り入れていることなどが挙げられます。

もともと、大阪は堀が多い都市構造となっていて、西区などは堀という漢字のつく地名が多いことで有名です。
海に近いこともあって、大阪はしばしば水害に悩まされ、集中豪雨などによる水害・土砂災害・台風による高潮被害なども発生しています。

そんな環境にあって先人たちは、洪水対策としてお仏壇の下台を高く作りました。
障子扉の位置も高く設定されています。

そのほか、日本における商人の都としての性格を反映してか、統一された金色のイメージを力強く印象付ける内部の豪華な造りが特徴的です。
引き戸には華麗な蒔絵が装飾され、宮殿の豪華さや格子天井も魅力を感じさせます。

おわりに

地名が入っているお仏壇は、分類するなら「産地別」と考えるのが主流です。
しかし、型という文字が含まれている場合は、必ずしも産地と一致しないケースもあります。

値段を考える際に、産地や型を重視する方は多いと思います。
きちんと出どころや特徴を確認しないと、手に入れてから後悔する可能性があります。

しかしながら、そもそも、今ではお仏壇の多くは海外生産が中心になってきているのも事実ですし、純粋な地名が入ったお仏壇というのは高級仏壇となり、減少傾向になるのは間違いありません。

一方で、それに似せた仏壇は別地域で造られて、○○型となって今も多く販売されています。

それぞれのお仏壇の産地がどのような特徴を持ち、それが素人目に分かるものかどうかを押さえておくと、判断に迷いにくくなるでしょう。


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