愛犬や愛猫が亡くなった時はどうすれば?
人間と同じ?ペットの仏壇や位牌など供養について

  • 2018.08.16
  • 2020.04.06

仏事などの解説

今やペットといえば、家族として一緒に暮らすという時代です。
しかしながら、残念な事に犬や猫を中心とする多くのペットは人間よりも寿命は短くなります。

長い間家族として一緒に過ごしてきたペットが亡くなったとき、御先祖や家族が亡くなったときと同じように供養したいという思いは年々強くなってきています。

また、ペットを家族として丁寧に供養することで、混乱した気持ちを整理する効果も期待でき、残された私たち人間にとっても心の拠り所となります。

その場合、お仏壇や位牌は何を選ぶべきなのでしょうか。
今回は、ペットを供養する際のお仏壇・位牌などの取り扱いについてご紹介します。

そもそも、ペットが亡くなった場合は何をすれば良いのか

お仏壇を用意するということは、ペットを供養する必要があるということでもあります。
その際に気になるのが、そもそもどのようにしてペットを供養すべきなのかという問題です。

ひと昔前までは、田舎の一軒家の場合、自宅の庭にそのまま埋めてしまうなどして、供養という概念が特に無かったお家も少なくありませんでした。

しかし、現代ではペットと飼い主との心理的な距離が縮まっていることもあり、ねんごろに見送ってやりたいと思う飼い主も増えてきています。

そのため、火葬などをするのはもちろん、人間と同様の葬儀を執り行うサービスを整えた葬儀会社が人気となっています。
まずは仏壇や位牌という前に、供養という面から見ていきましょう。

以下に、ペットを火葬する想定で、飼い主が行う必要があることにはどのようなものがあるのかをご紹介します。

ペットの遺体安置

ペットが亡くなった際には、人間でいう「おくりびと」となる存在は、飼い主になります。
ペットの遺体をケアすることは、飼い主がペットにしてあげられる最期の行為です。

丁寧に遺体を清めるため、清潔なシーツ・バスタオルに遺体を移します。
身体全体をブラッシングして、普段はあまり拭くことのない足裏・顔なども優しく拭いてあげましょう。

ペットも人間同様、亡くなると死後硬直が始まります。
もし、手足が伸び切った状態で硬直すると、折り曲げることが難しくなります。

火葬する際には、布にくるむ・棺に納めるなどの行為が必要になってくるため、火葬施設のサイズ感に合うように、手足・しっぽなどを身体側にやさしく折り曲げた姿勢にします。

その後、まぶた・口を閉じた状態にします。
死後硬直は概ね2時間程度で始まりますから、悲しい気持ちをこらえつつも、できる限り早めに対応しましょう。

遺体が硬直を始めると、鼻・口などの外部やそれらに通じる器官から、体液などが出ることもあります。
その際は、布・ティッシュなどで都度拭いておきます。

このとき、ペットの身体を冷やしておくことにより、遺体の腐敗をある程度防ぐことが出来ます。
火葬社のスタッフが到着するまでの間、市販の保冷剤などを使って、頭部・腹部に冷気が当たるよう冷やします。

バスタオルなどで遺体を包み、安置している箇所のタオル・シーツ下に保冷剤を置くことで、身体をまんべんなく冷やせます。

ひととおり終えた後は、水・ドッグフード・おやつなどを枕元に供え、葬儀社が来るのを待ちます。
家族や友人などと、お別れの瞬間を待つのは寂しいものですが、思いのほか思い出話に花が咲くことも多いようです。

寂しさを紛らわすためにも、看取る人数は多い方が良いのかもしれません。

火葬社による火葬

ペットの火葬の方法はいくつか方法があり、専用の施設で火葬するか、火葬車を使うか、自治体による火葬かを選べます。
火葬の仕方についても、一匹ずつ行うのか、他のペットと一緒に複数で行うのかで、値段が異なる場合があります。

注意したいのは、自治体による火葬を選ぶと合同火葬となり、遺骨は返って来ず、自治体によっては有料ごみ扱いとなってしまいます。

自分の家族がごみ扱いされることは、多くの飼い主にとって到底耐えられることではありません。
そのため、火葬を選ぶ多くの場合、施設での火葬もしくは火葬車を用いた火葬を選択することになります。

施設での火葬はイメージが付きやすいかもしれませんが、火葬車という名称を初めて聞いた方も多いと思います。
具体的には、火葬炉を車内に内蔵したタイプの車のことで、移動式の火葬設備になります。

臭い・煙などが出ない構造となっており、一目見て外観もそれとは分からないデザインのものも多いため、自宅の駐車場でも火葬できるという利点があります。

返骨の有無

火葬後、ペットのお骨をどうするかという話になりますが、基本的に個別で火葬しない限り、お骨は返ってきません。
よって、お墓などへの埋葬を想定する場合、個別の火葬が必要になります。

個別火葬の場合、基本的には飼い主がお骨を拾うことになりますが、やむをえない事情から業者に委託することもあります。
その場合、返骨が必要である場合は、その旨を事前に伝えておけば対応してくれます。

お骨をどうするかについてですが、既にお墓がある場合、その中に一緒に入れたいと考える方も多いはずです。
しかし、墓地によっては、ペットのお墓を作ることや、現在建っている自家のお墓に一緒に入れることを禁止しているところも少なくありません。

そこで、ペット霊園などにお墓を作ったり、持ち家の場合は庭に埋めた後でその場所に木を植えるといった方法が考えられます。

埋葬許可が下りている寺院・霊園の一部においては、樹木葬と呼ばれる、木の下にお骨を埋める方法もあります。
いずれにせよ、飼い主がこまめに墓参りに行ける方法を考えるのが、もっとも良い方法と言えるかもしれません。

ペットに戒名は存在するのか

ペットの火葬方法については分かりましたが、それでは葬儀が執り行われた後、ペットに戒名等を付けるべきなのでしょうか。
結論から言えば、「どちらでも良い」が正解です。

当たり前の話ですが、ペットは人間ではありません。
一般的には言語を理解できたとしても一部であり、言語を用いることができない種が圧倒的多数です。

例外は存在しますが、それはあくまでも一部であり、人間の言葉を用いて文章等を構成することはできません。

そのため、お経をあげてもらうといった考え方自体をナンセンスと感じる方も多いと思います。
もちろん、戒名を付ける必要性は法的にも仏教的な世界観にもありません。

しかし、そう思うかどうかは飼い主次第でもあります。
自分が没後にはまた一緒に仲良く遊んであげたい、ご先祖様にもかわいがってもらいたいなどの理由から、戒名を付けることを考える方もいるようです。

ただし、菩提寺にお願いして戒名を付けてもらうということは、あまりメジャーなことでは無いようです。
とはいえ、できないという訳ではなく、今の時代の流れとして対応してくれる菩提寺・サービスは存在します。

飼い主によっては、戒名の成り立ちを独学で学び、自分でペットの戒名を付け、位牌を作ってもらう方もいます。
そのような場合、木でできた小さなタイプの位牌に戒名を彫ってもらい、それをお仏壇に飾ります。

内容としてはシンプルに「愛犬ポチ之霊位」といった戒名を付けるケースがよく見られますが、本格的に「愛歩地清居士」のように漢字を当てる方もいるようです。

ペット専用のお仏壇はあるのか

戒名を決め、位牌を作ったところで次に必要となるのが、お仏壇になります。
ここで問題となるのが、そもそもペット専用のお仏壇があるのかや、お仏壇をペット用とそうでないものとに分ける必要があるのかどうかです。

ペット用のお仏壇を販売している業者も多く、お仏壇を人間とペットで分けることについては、厳密に良い・悪いの決まりがあるわけではありません。

そのため、お仏壇がお家に無い場合は、予算面も含めて検討する範囲が大きいテーマでもあります。
以下に、2つのケースに分けてご紹介していきます。

新しいペットを飼った場合、もしくは他にまだ生きているペットがいる場合

家の中にまだペットがいる場合、彼らのことも含めて考える必要があります。
そのため、引き続きペットのいる生活を続けるのであれば、位牌等が増えることも想定し、比較的大きめで、かつペット専用のお仏壇を用意しておく必要があります。

ペットは人間と比べると寿命が短いため、複数匹を飼うのであれば、やはりペット専用のお仏壇を用意しておいた方が、スペースのやり繰りがききます。

といっても、ご先祖様をお祀りするお仏壇とは異なり、コンパクトな造りのもので十分と思われます。
最低限位牌を、もし使わないのであれば写真を複数収納できるだけのスペースがあれば問題ありません。

ペット専用のお仏壇は、お値段も比較的安く、高いものでも10万円前後となっていて、数万円くらいのお仏壇を選ぶ人が多いです。
いわゆる一般的な仏壇のように、数十万円や100万円を超えるといった事はありません。

ペットならではの工夫として、外に設置できるお墓タイプのスタイルを取ったものもあります。
もし犬を外で飼っていた場合は、かつて暮らしていた犬小屋があった場所などに設置すると、ペットも喜んでくれるかもしれません。

今後新しくペットを飼う予定は無い、もしくは分からないという場合

ペットロスの痛みが長引いた経験のある方の中には、あんな辛い思いをするくらいなら、もう二度とペットを飼いたくないと思う方も少なくありません。

とはいえ、飼わなければ良かったとまで思う方は少数であり、傷が癒えた頃に、再び何かの縁でペットを飼ってしまったという方も多いのです。

よって、ペットを当面の間飼う予定が無いという方は、あえてお仏壇を購入する必要は無いかもしれません。

自宅にお仏壇がある場合は、位牌だけを用意してそれを一緒に飾ったり、写真を飾るなどしてペットを偲ぶ習慣を持つご家庭もあります。

もしくは、単純に写真や思い出の品だけを飾り、お仏壇は持たないという方もいます。
家族がどのようにペットとの思い出を共有するのかによって、お仏壇の必要性にも差が生じると言えそうです。

ペット葬儀・供養について宗派など独特の決まりはあるのか

ペットの葬儀や供養については、人間とはいくつか異なる決まりごとがあります。
とはいえ、主なものは宗教的な事柄ではなく、どちらかというと手続上の問題と言えます。

以下に詳細をご紹介していきます。

葬儀におけるお経は必須ではない

ペットの葬儀においては、必ずしもお経を僧侶に読んでもらう必要はありません。
馬の耳に念仏と言うように、ペットにとって馴染みのないお経を読んで聞かせたとしても、ペットの供養になるかどうかを判断できないというのが理由です。

事実、動物に向けて書かれたお経というものはありません。
ただし、供養の考え方は一概に「これが正解」とまとめることが難しいものでもあります。

仮に、どれだけこれが正しいと決まっていたとしても、飼い主がペットに対して少しでも多くのことをしてあげたいと考えてお経を唱えることは、決して馬鹿にすべきことではありません。

むしろ、命を大切にする心が御仏に届き、ペットの死後の安寧に繋がることも十分考えられます。

よって、自分がどうしてもお経をあげたいというのであれば、決してその気持ちは無駄になりませんし、それだけペットへの気持ちや思いが強いという裏返しでもあります。

強いて言うならば、説法的な意味合いを持つものではなく、御仏にお願いしてペットの魂を浄土へと連れて行って欲しいという想いを込めて唱えられるものを選ぶのが良いでしょう。

具体的には、動物の守護を担う馬頭観音へ祈りを捧げるため、馬頭観音を表す真言を唱えたり、南無阿弥陀仏のような衆生救済を任とする御仏への祈りを唱えることが、言葉を操る必要のないペットを供養するためには妥当な方法と言えそうです。

形式は特に指定するものはない

ペットの葬儀においては、宗派や形式の指定は基本的にありません。
そのため、比較的自由度の高いプランが多いようです。

人間同様、祭壇の準備や遺体の保冷・運搬、仏具等の貸し出し、棺の用意などを執り行ってくれるプランがねんごろなもので、そのいずれかだけを選ぶこともできます。

ペット葬儀ということもあり、メモリアルホールにてオルゴールの音色に包まれながらペットを見送るような、独自のセレモニーを行っているところもあります。

もちろん、自宅で一緒に最期を看取りながら、密葬のように自宅でセレモニーを行うことも可能です。
飼い主とペットとの思い出が、最大限尊重されるような葬儀の方法を選びたいものです。

ペットが亡くなった際に行う手続きについて

ペットもまた人間同様、亡くなった際に飼い主が届け出を行うケースがあります。
一番身近なものとしては、犬の死亡届があります。

犬を飼った際に畜犬登録をお住まいの自治体で行ったことと思いますが、死亡した際は死亡届を提出しなければなりません。
自治体によって名称が違う場合がありますが、概ね「飼い犬の死亡届」などの名称の申請書があります。

記載事項は、飼い主の住所・氏名に加え、犬の死亡年月日・登録番号が必要です。
また、犬鑑定札と狂犬病予防注射済票が必要になる場合があります。
詳細は、各自治体のホームページなどで確認すると間違いがありません。

猫の場合は必要としない自治体が多いですが、中には登録制を取っているところもあります。
そのほか、特定動物と呼ばれる、本来はペットとして飼う用途には向かない動物をペットとした場合も、条例により手続きが必要な場合があります。

できるならば、ペットを自宅に迎え入れる段階で、死亡した際のことも一緒に考え、必要な届け出が何かをあらかじめ調べておきましょう。

ペットの仏壇や供養のまとめ

ペットは言葉を介さない分、態度や行動で飼い主への愛情を示します。
言葉を越えたコミュニケーションを経験している分、亡くなった時のショックはその分大きくなります。

だからこそ、飼い主としてできる限りの供養をしてやりたいと思うのが人情です。
人間の葬儀のように明確な決まり事がないからこそ、いかに飼い主がペットのことを想って供養できるかが大切になります。

お仏壇や位牌は必須ではありませんが、少しでも形や心に残るものを用意することが、やはり供養の助けになります。
自分にできる限りのことを行い、弔う気持ちを忘れないようにしたいものですね。

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  • 公開日:2018.08.16
  • 更新日:2020.04.06

カテゴリ:仏事などの解説

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