日蓮宗のお仏壇の選び方の基本から日蓮正宗のお仏壇と間違えないための注意点について解説します

  • 2016.10.17
  • 2026.09.23

日蓮宗

こちらも社会の教科書で1度は目にした機会があるであろう日蓮宗。
今回は、そんな日蓮宗のお仏壇選びについて解説してみたいと思います。

日蓮宗はその名の通り「日蓮」によって開かれた宗派でもあり、法華経(妙法蓮華経)が本経典となります。

仏具の木柾(もくしょう)などのように、日蓮宗だけ独自で利用する仏具などもあり、南無妙法蓮華経の題目を唱える事と善を積む事で、誰もが救われると説いている特徴があります。

また、日蓮宗の総本山は山梨県の身延山久遠寺(みのぶさんくおんじ)ですが、日蓮聖人の教えを受け継ぐ宗派や団体は日蓮宗のほかにも数多く見られます。

中でも日蓮正宗(にちれんしょうしゅう)は名前が似ている事もあって取り違えられやすい宗派になります。

日蓮宗のお仏壇選びの基本と注意点について

それでは、日蓮宗のお仏壇選びについて見て行きましょう。
と言っても、実際には他の多くの宗派と日蓮宗も同様で、特にこのお仏壇でなければならないといった決まりはありません。

そのため、モダン仏壇、唐木仏壇のどちらかのお仏壇を選べば問題ありません。
どのサイズでなければならないといった事も特に決まりはありませんので、サイズに関しても置くお部屋に合わせて、小型から大型まで自由に選んで問題ありません。

ただし、一般的には浄土真宗で使われることが多い金仏壇は日蓮宗では使う事はまずないと言えるため、モダン仏壇か唐木仏壇から選ぶのが良いと言えます。

置く場所や向きについても考え方は同じで、南向きに置くといった言い伝えはあるものの、日蓮宗として絶対の決まりはありません。

日蓮宗の公式Q&Aでも、大切に扱い、清潔さを心がけて「落ち着いて礼拝できるところ」に安置するように案内されています。

日蓮宗と日蓮正宗に注意しておく必要がある

日蓮宗のお仏壇選びでよく間違えやすいものの1つとして、そもそもの大前提に、「日蓮宗」と「日蓮正宗」があるという点です。

これら2つは名前は似ており、元は同じなのですが、いわゆる分派として分かれており、考え方や仏具の祀り方、ご本尊に至っても多少異なってきます。

そして、お仏壇選びに関しても、日蓮宗と日蓮正宗では異なってきます。
日蓮宗ではお仏壇に関しては特に決まりはありませんが、日蓮正宗ではお仏壇は日蓮正宗専用のお仏壇が用意されている事がほとんどです。

日蓮正宗では内部に厨子が付いており、この厨子の中にご本尊を祀るのが正式とされているためです。

日蓮宗向けのお仏壇は決まりが特にないため、一般的なお仏壇店で見て選んで購入できますが、日蓮正宗のお仏壇に関しては、一般的なお仏壇店に行ってもそもそも無い事も多く、日蓮正宗専用の仏壇店にしかないことも多いです。

日蓮宗向けであれば、通常のお仏壇で問題ありません。
ですが、日蓮正宗と名前は似てはいますが、1文字あるかないかで全くお仏壇選びは異なるので、その点だけ注意しておきましょう。

「日蓮宗」のお仏壇選びであれば、上記の通り、特に気にすることなくモダン仏壇、唐木仏壇から予算やお部屋に合わせて選べば全く問題ありません。

日蓮正宗はどういう宗派で日蓮宗と何が違うのか

まず総本山から違います。
日蓮宗の総本山が山梨県の身延山久遠寺であるのに対して、日蓮正宗の総本山は静岡県富士宮市にある大石寺(たいせきじ)になります。

日蓮正宗の公式サイトや寺院の案内では、日蓮聖人の弟子であった日興上人(にっこうしょうにん)が1289年に身延を離れ、翌1290年に大石寺を開いたと伝えています。

宗祖の呼び方にも違いがあり、日蓮宗では「日蓮聖人」、日蓮正宗では「日蓮大聖人」と変わります。

ご本尊の受け方も大きく違ってきます。
日蓮正宗の寺院の案内では、ご本尊は総本山から貸し下げを受けるものとされており、お仏壇店で買うものではありません。

お仏壇についても、日蓮正宗の寺院はご本尊を安置するための厳粛で清浄なものと位置づけ、日蓮正宗専用のものを求めています。
そのため、どちらの宗派なのかをはっきりさせないまま、お仏壇を先に決めてしまわないようにしましょう。

あわせて、名前をよく耳にする団体との関係にも触れておきます。
創価学会と顕正会は、もともと日蓮正宗の信徒団体でした。

日蓮正宗の公式サイトは、創価学会を1991年11月に破門したと説明しています。
顕正会についても、前身の妙信講が1974年に解散処分を受けたというのが日蓮正宗の寺院の説明です。

また、日蓮正宗の寺院はお仏壇についても創価学会用のものとは区別し、日蓮正宗用を選ぶように案内しています。
立正佼成会と霊友会は、法華経を拠りどころにする在家の教団になります。

いずれも身延山久遠寺を総本山とする日蓮宗とは別の団体なので、この記事では日蓮宗と日蓮正宗に絞って見比べていきます。

自分の家が日蓮宗か日蓮正宗かを確かめる手がかり

いちばん確実なのは、菩提寺に直接聞いてみる事です。
お寺の名前が分かっているなら、公式サイトの寺院一覧で引く方法もあります。

日蓮宗の公式サイトには都道府県ごとの寺院マップが、日蓮正宗の公式サイトには都道府県別の寺院一覧があるので、どちらに載っているかで確かめられます。

そもそも菩提寺がどこなのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
菩提寺そのものが分からない時にどこから調べればよいかは、別の記事で手順ごとに解説しています。

宗派がわからない時の調べ方|仏壇・位牌・お墓で確かめる5つの方法
仏壇や位牌を用意する段階になって、うちは何宗だったっけ…?というところで手が止まってしまうことがあります。親から聞いた覚えはあるものの、はっ …

菩提寺にすぐ聞けない時は、実家や親戚の家にあるお仏壇や仏具からも見当を付けられます。
手がかりになる違いを表にまとめました。

日蓮正宗の列は、先ほど触れた日蓮正宗側の案内に沿って書いています。
どれか1つで決めつけず、いくつかを重ねて見るのがコツです。

手がかり日蓮宗日蓮正宗
菩提寺の宗派日蓮宗の公式サイトの寺院マップに載っている日蓮正宗の公式サイトの寺院一覧に載っている
ご本尊の受け方お仏壇店で掛軸を求められる。菩提寺に相談してから用意するのが宗派の勧め総本山から貸し下げを受ける
お仏壇の造り唐木仏壇やモダン仏壇など一般のお仏壇日蓮正宗専用のお仏壇
お花の供え方決まりは無く、樒(しきみ)に限らない樒入れが基本の仏具に含まれる
お位牌お位牌を用い、増えたら過去帳へ移す本位牌は作らず、過去帳を菩提寺に申し込む
お仏壇を迎えた時の法要開眼法要(かいげんほうよう)入仏式(にゅうぶつしき)

表の中でも分かりやすいのがご本尊の受け方で、お仏壇店で掛軸を求めた記憶があれば日蓮宗、総本山から貸し下げを受けているなら日蓮正宗と見当が付きます。

樒入れがいつも置いてあるようなら、日蓮正宗か創価学会の可能性が高くなります。
しかしながら、樒入れが無いからといって日蓮宗だと決まるわけではありません。

白木のお位牌から切り替えた本位牌が並んでいれば、日蓮正宗の家ではないと考えられます。逆に、お位牌が無く過去帳だけという場合は、日蓮正宗、創価学会、浄土真宗のいずれかの可能性が出てきます。

法要の呼び方は家族の記憶に頼る事になるので、あくまで補助的な手がかりと考えておきましょう。
ここまでの手がかりで迷うようなら、やはり菩提寺に確かめるのが早道です。

お仏壇店や菩提寺に相談する時は、宗派名を「正」の字の有無まで含めて伝えておくと、取り違えが起きにくくなります。
調べてみて日蓮正宗だと分かった場合は、創価学会のお仏壇とあわせて一般のお仏壇との違いを解説した次の記事が参考になるはずです。

創価学会・日蓮正宗の仏壇 - 一般の仏壇との違いや特徴と選び方と見分け方
日本でお仏壇についてご紹介する際、教科書でも取り上げられ、多く信仰されている宗派として七大宗派、八大宗派があります。 しかしながら、全てそ …

日蓮宗のお仏壇にはご本尊の大曼荼羅と日蓮聖人像を祀る

自分の家が日蓮宗だと確かめられたら、最初に決めるのがご本尊です。
お仏壇の大きさも、ご本尊に何を納めるかで変わってきます。

大曼荼羅と日蓮聖人像に鬼子母神と大黒天を添える

日蓮宗のご本尊は、日蓮聖人が紙の上に文字で書き表した大曼荼羅です。
家庭では掛軸にしてお仏壇の一番上の段に掛け、その前に日蓮聖人像を置くのが基本の形になります。

ご本尊はあくまで大曼荼羅の方で、日蓮聖人像はその前にお祀りするものになるため、少しこのあたりは他宗派と異なりますので間違えないように注意が必要です。

両脇には脇侍として鬼子母神(きしもじん)と大黒天を祀り、日蓮宗の寺院が示す飾り方の一例では向かって右が鬼子母神、左が大黒天です。

聖人像を置かない家もあり、同じ寺院は聖人像が無い形とある形の両方を並べて紹介しています。掛軸と聖人像、脇侍の2体をまとめて納めるので、お仏壇は内側の高さと奥行きを見て選ぶ事になります。

ご本尊と脇侍のサイズの目安については、下記の記事で詳しく解説しています。

日蓮宗の御本尊と脇侍 - 日蓮聖人の仏像や掛け軸の選び方と祀り方
仏具の中でも非常に大切になる「御本尊」選びの日蓮宗向けの解説になります。 他の宗派と選び方などは似てはいるものの、日蓮宗だけは御本尊の選び方 …

ご本尊の曼荼羅はお仏壇店で買う前に菩提寺へ相談する

曼荼羅の掛軸はお仏壇店でも求められますが、日蓮宗の公式Q&Aはこの点に注意を促しています。お仏壇店や仏具店で売られている曼荼羅の中には、日蓮聖人ご自身が書かれた曼荼羅を写したものではない場合があるためです。

署名にあたる花押(かおう)が誤っていたり、誰が書き写したのか分からなかったりする事があると、公式Q&Aは説明しています。
公式Q&Aが勧めているのは、日蓮宗が家庭用に推薦しているご本尊か、菩提寺の住職が書写したもののどちらかになります。

推薦されているご本尊は、鎌倉の妙本寺に伝わる大曼荼羅を写したものです。

ただ、同じQ&Aには、特定のご本尊だけを定めて他のものを否定する立場は取らない、とも書かれています。

そのため、すでにお仏壇店で求めた曼荼羅を否定するものではなく、これから用意する方は先に菩提寺へ一言相談しておくと安心という話になります。

お仏壇のサイズはご本尊に合わせて決まる部分もあるので、順番としてはご本尊の相談が先です。
参考)仏壇について|仏教・仏事のQ&A|日蓮宗ポータルサイト

日蓮宗のお仏壇に置く仏具と花のお供え

ご本尊が決まったら、次はその前に置く仏具とお供えです。

三具足と五具足のそろえ方と花立に供える花

基本になるのは三具足(みつぐそく)と呼ばれる、香炉・火立・花立の組み合わせです。火立はろうそくを、花立はお花を、香炉はお香をそれぞれ供えるための仏具になります。

香炉を真ん中に据え、向かって右手側に火立、左手側に花立を置きます。
五具足(ごぐそく)は火立と花立を1対ずつにした形で、香炉が真ん中に来る点は変わりません。

どちらにするかはお仏壇の幅と相談で、小さめのお仏壇なら三具足で構いません。
ほかに、おりんや、お茶やお水を供える茶湯器、ご飯を供える仏飯器を添えるのが、日蓮宗の寺院が説明している組み合わせになります。

花立に供える花については、日蓮宗として決まりは案内されておらず、樒に限るという作法もありません。日蓮宗の寺院は、お墓へのお供えについて色花でも樒でもどちらでも良いと答えています。

樒入れが基本の仏具に含まれるのは日蓮正宗の方で、先ほどの手がかりの表でもその違いを挙げました。
そのため、日蓮宗の家では、花立に何を供えるかを気にしすぎる必要はありません。

木柾とお数珠に日蓮宗らしさが出る

導入でも触れた木柾は、円錐形で中がくり抜かれた仏具で、バイという棒で打ってお経やお題目のリズムを取ります。日蓮宗の寺院はその音の違いを、木魚が「ポクポク」ならば木柾は「カンカン」と表しています。

打ち方はゆっくりが基本で、ご祈祷の時には速く打つ事もあるというのが同じ寺院の説明です。とはいえ、家庭のお仏壇に置くかどうかは、菩提寺に相談して決めれば十分と言えます。

お数珠についても触れておきます。
日蓮宗の公式Q&Aでは、お数珠は悪心を抑えて煩悩を取り除く大切な法具と位置づけられています。

日蓮宗のお数珠は108の主珠を中心に作られ、左右にある2つの親珠のうち片方に房が2本、もう片方に3本付いているのが見た目の特徴になります。
合掌の時は房を下にして左手に2重に掛ける、というのが公式の案内です。

特に大切な場面では、親珠を両手の中指に掛けてお数珠をねじり、そのまま両手を合わせるのが正式な持ち方とされています。

日蓮宗ではお位牌を用い、増えたら過去帳へ移す

日蓮宗ではお位牌を用います。
置く場所はご本尊より下で、お位牌がご本尊を見上げる位置になります。

お位牌が増えてきた時の扱いも、日蓮宗の公式Q&Aが案内しています。
古いご先祖様から順に過去帳へ書き写し、過去帳をご本尊の下に、新しいお位牌をその両脇に置く形です。

お位牌に記す戒名は、日蓮宗では法号と呼びます。
「妙・法・蓮・華・日・円」といった字が、法号にはよく使われます。

日蓮正宗では本位牌を作らないため、ここも取り違えると用意するものが変わってきます。日蓮正宗の寺院の案内では、白木のお位牌も四十九日の後に寺院へ納め、代わりに過去帳を菩提寺に申し込む形になっています。

お位牌そのものをどう選ぶかは、形と大きさを宗派別に分けて次の記事で解説しました。

位牌の選び方(浄土宗・真言宗・天台宗・臨済宗・日蓮宗・曹洞宗)
お位牌を選ぶ際には色々な選び方があります。 ですが、一番多くお問い合わせをいただくものとしては、位牌をどう選べば良いかではなく、自分は○○宗 …

日蓮宗の開眼法要と毎日のお題目

お仏壇とご本尊がそろったら、菩提寺に開眼法要を頼みます。
日蓮宗の公式Q&Aはこれを魂を入れる事と説明し、「新たな出発点となる大切な儀式」と位置づけています。

日蓮正宗ではご本尊を安置する時の法要を入仏式と呼ぶので、菩提寺に頼む時の呼び方も先ほどの表のとおり変わってきます。

そのあとの日々については、同じQ&Aが六波羅蜜(ろくはらみつ)と呼ばれる、施しや忍耐など日々の行いにかかわる6つの実践と、その土台になる朝勤(ちょうごん)を勧めています。

毎朝時間を定めて行うおつとめが朝勤で、日蓮宗の信仰の中心にあるお題目「南無妙法蓮華経」を唱える場になります。

日蓮宗の公式Q&Aは、お仏壇を家の中にある小さなお寺であり、家族の心の柱、ご先祖様へ感謝をお供えする場所と説明しています。
難しく考えすぎず、朝に手を合わせてお題目を唱えるだけでも十分な始まりになります。

まとめ

日蓮宗のお仏壇は種類にもサイズにも決まりが無く、モダン仏壇でも唐木仏壇でも構いません。

ただ、選ぶ前に確かめておきたいのが、自分の家が日蓮宗なのか日蓮正宗なのか、宗派名に「正」の1文字が入るかどうかです。

日蓮宗だと分かったら、ご本尊の曼荼羅は菩提寺に相談してから用意すると安心と言えます。日蓮正宗だと分かった場合は、菩提寺の案内に沿って専用のお仏壇を整えていく形になります。

仏具やお位牌についても、日蓮宗として細かく決められているものは多くありません。宗派の確認からご本尊、仏具、お位牌と順に決めていけば、それほど迷わずに進められます。

まずは菩提寺に一言相談するところから始めてまいりましょう。

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  • 公開日:2016.10.17
  • 更新日:2026.09.23

カテゴリ:日蓮宗

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