天台宗の方向けの仏壇選び
色や形、デザインなど仏壇の選び方の基本を解説

  • 2016.10.07
  • 2026.09.08

天台宗

学生時代の社会の教科書に出てきた最澄によって興されたのが天台宗になります。
妙法蓮華経というものを根本経典としており、天台教学に密教や禅、さらに戒律などを融合させた、いわば総合仏教にあたり「法華経」の思想を中心としたのが大きな特徴です。

この最澄が開いた比叡山は、後世に非常に大きな影響を与えている事もあり、日本仏教の母山とも呼ばれています。

あまりなじみがない方でも、空海・最澄の2人は記憶にあるかと思いますが、その最澄の天台宗は、こちらも歴史で有名な比叡山延暦寺を総本山とし金色堂でも有名な平泉の中尊寺も天台宗のお寺で東北の大本山にあたります。

そんな天台宗のお仏壇選びについてを見て行きましょう。

天台宗(天台法華宗)のお仏壇選びの基本と注意点

天台宗のお仏壇をどう選べばいいかという点ですが、実は特にこのタイプの仏壇を選ばなければいけないといった細かなルールや注意点といったものはありません。

他の多くの宗派と天台宗も同じで、お仏壇自体はどのようなお仏壇を選んでも基本的には問題ありません。

天台宗系には天台寺門宗や天台真盛宗もありますが、お仏壇の選び方に大きな違いはないため、天台宗のお仏壇探しであれば、一般的なモダン仏壇、唐木仏壇のどちらかの種類を選んでいただき、そこから設置するお部屋のサイズや色などに合わせたお仏壇を選べば問題ありません。

一般的には和室などの和のお部屋には唐木を使った唐木仏壇・伝統型仏壇を選び、リビングや洋室などには家具調仏壇・モダン仏壇を選ぶのが一般的に多い傾向になります。

金仏壇に関しては主に浄土真宗系で使われる仏壇のため、今回の天台宗では選ばれる方はほとんどいませんので、基本的にはモダンか唐木かのどちらかを選べば問題ありません。

金仏壇が浄土真宗で多く用いられるのは慣習であって、ルールとして決まっているものではないのです。
岐阜地方のように、地域的に金仏壇が主流という土地もあります。

実際に店舗などで買うのであれば、天台宗のお仏壇選びという事を伝えればスムーズに案内してもらえます。
ネットショップの場合でも、天台宗であれば、基本的にはどのお仏壇を選んでも問題ありませんから、モダン仏壇・唐木仏壇のカテゴリーから探せば問題ありません。

お仏壇選びに関しては、天台宗では制限やルールなどはありませんので、故人の好み、置く部屋のデザインや色、周りの家具や物との相性などとサイズなどを中心に選びましょう。

実際にデザインだけを考慮して選ばれる方も多くいますので、特にお仏壇選びに関しては「予算」と「サイズ」をしっかり考えておけば、後の色や形などのデザインは好みで選んでいただいて全く問題ありません。

ただ、お仏壇そのものは自由に選べる一方で、その中に何をお祀りするのかについては天台宗ならではの形があります。
ここからは、お仏壇の中身の話を順番に見ていきましょう。

天台宗のお仏壇に祀るご本尊と脇侍

お仏壇にそろえるもののうち、宗派によって必ず変わってくるのは、ご本尊と脇侍(わきじ)の2つになります。
脇侍とは、ご本尊の両脇にお祀りする掛け軸や仏像のことです。

天台宗のご本尊は一つに決まっていません

天台宗のご本尊を調べていくと、阿弥陀如来と書かれたページもあれば、釈迦如来が正式だと書かれたページもあって、どれが正しいのか分からなくなってきます。

というのも天台宗では、ご本尊をとても柔軟に考えるからです。
姿や性質は違っても、どの仏様も等しく仏の世界へ導いてくださる、という考え方があり、仏様・菩薩様・明王様など、さまざまな仏様がご本尊になり得ます。

実際に家庭のお仏壇では、阿弥陀如来をお祀りするケースが多く見られます。
しかしながら、法華経を根本とする教えの上では釈迦如来こそが正式だという説明もあり、どちらも間違いではありません。

総本山である比叡山延暦寺の根本中堂に祀られているのは薬師如来ですから、宗派として一仏に絞っていないことがよく分かります。

どのご本尊が正しいのかが揺れているのは天台宗では普通のことなので、思い悩まなくて大丈夫です。

脇侍は向かって右が天台大師、左が伝教大師

脇侍は、向かって右に天台大師、左に伝教大師をお祀りします。
天台宗としてはっきり決まっている数少ない部分なので、ここは迷わずこの形にしましょう。

天台大師は、中国で天台宗を開いた智顗(ちぎ)というお方です。
智者大師とも呼ばれ、掛け軸を探しているとその表記に出会うことがありますが、同じお方ですから戸惑う必要はありません。

伝教大師のほうは、記事の最初に触れた最澄その人になります。

脇侍は仏像でも掛け軸でも構いませんが、ご本尊より大きくならないサイズを選びます。
ご本尊を木製の仏像にして、脇侍を掛け軸でそろえるという組み合わせもよく選ばれています。

仏像と掛け軸の選び分けや、それぞれのサイズの見方は下記の記事で詳しく解説しています。

天台宗の御本尊と脇侍 – 阿弥陀如来の仏像や掛け軸の選び方と祀り方
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天台宗と天台寺門宗、天台真盛宗の違い

先ほどの脇侍にも関わってくるので、天台宗系の宗派をここで整理しておきましょう。

天台宗系のうち、代表的なのは次の3つの宗派です。
総本山が比叡山延暦寺の天台宗、三井寺(園城寺)の天台寺門宗、西教寺の天台真盛宗という並びになります。

自分の家がどれにあたるかは、菩提寺の本山を照らし合わせると分かります。
このほかにも天台宗から分かれた宗派はありますので、はっきりしないようであれば菩提寺に尋ねてみましょう。

お仏壇そのものの選び方は大きく変わりませんが、脇侍については寺門宗・真盛宗で変わってくる可能性があります。
掛け軸を用意する前に、その点も菩提寺へ確認しておくと安心です。

お仏壇にそろえる仏具の基本

ご本尊と脇侍が決まったら、次はその周りに置く仏具になります。
何をいくつ買えばいいのか分からず、ここでつまずく方は少なくありません。

天台宗だけに使う特別な仏具はありません

結論を先に述べておくと、天台宗だけに使う特別な仏具というものはありません。
お仏壇にそろえるもののうち宗派で必ず変わるのはご本尊と脇侍で、仏具そのものは他の宗派と共通のものが使えます。

最低限そろえておきたいのは、次のものになります。

  • 香炉
  • 火立(ろうそく立て)
  • 花立
  • 仏飯器
  • 茶湯器
  • おりん

これだけそろっていれば、日々のお参りに困ることはありません。
すべてを一度に買いそろえなければいけないものでもなく、お参りをしながら少しずつ足していく形でも大丈夫です。

三具足と五具足のどちらでそろえるか

仏具の基本の形が三具足です。
花立・火立・香炉の3つを指し、宗派を問わず使われる最も基本的な組み合わせになります。

より正式な形が五具足で、花立を一対、火立を一対そろえ、香炉を1つ置きます。
仏具の数が増えるぶん横幅も必要になりますから、小さなお仏壇では三具足のままで十分です。

どちらでなければいけないというものではありませんので、お仏壇の大きさに合わせて選びましょう。

三具足と五具足の違いや、四具足まで含めた具足の考え方は下記にまとめています。

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お仏壇本体のほかにかかる費用

お仏壇を選ぶときに見落としやすいのが、本体以外にかかる費用です。
ご本尊と脇侍、お位牌、そして仏具は、いずれも本体とは別に用意することになります。

本体の予算をぎりぎりまで使ってしまうと、中身をそろえる段階で足りなくなってしまいます。
最初から一式でいくらと考えておくと、後から慌てずに済みます。

天台宗のお仏壇の飾り方と仏具の並べ方

お仏壇はお寺の本堂を小さくして家の中に置いたものだと、天台宗の公式Q&Aでは説明されています。
そのため天台宗のお仏壇の飾り方も、本堂と同じようにどの段へ何を置くのかがおおよそ決まった形になります。

ただ、同じ公式サイトには住宅事情などにより臨機に考えるべきだとも書かれていますから、ここから見ていく並べ方も絶対のものではありません。

参考)仏壇の祀り方について教えて下さい

上段に飾るのはご本尊と脇侍

いちばん上の段の中央に、ご本尊をお祀りします。
その両脇が脇侍の場所で、並びは前に見たとおり向かって右が天台大師、左が伝教大師になります。

上段はお仏壇の中で最も高い場所にあたるため、基本はご本尊と脇侍のための段だと考えてください。

ご本尊の前に玉香炉を置くこともありますが、スペースに余裕がなければ無理に置かなくても構いません。
段の広さに合わせて決めていきましょう。

中段に飾るのはお位牌とお供えもの

中段の中央には、仏飯器と茶湯器を置きます。
炊きたてのご飯とお茶やお水をお供えする器で、毎朝取り替えている方も多くいらっしゃいます。

お位牌は、その左右に安置する形になります。
天台宗の公式サイトにも、中段にご先祖様のお位牌を安置すると記されています。

お位牌が複数ある場合は、先に亡くなった方を向かって右に置きます。
向かって右のほうが上位にあたる、という考え方によるものです。

お位牌そのものの選び方については、後ほど詳しく解説します。

下段に飾るのは三具足とおりん

下段には三具足、もしくは五具足を並べます。
線香差しやマッチ消しといった、実際に手を使うものもこの段にまとめると使いやすくなります。

おりんも下段に置くのが一般的ですが、経机を用意して、そちらに置いても構いません。

下段は毎日手を伸ばす場所になりますから、形式よりも使いやすさを優先して大丈夫です。

2段しかない小さなお仏壇の飾り方

モダン仏壇やミニ仏壇には、段が2つしかないものも珍しくありません。
その場合は、上の段にご本尊と脇侍、下の段にお位牌とお供えもの、手前に三具足という形にまとめます。

段の数が合わないからといって、置ききれないものまで無理に並べる必要はありません。
お仏壇の大きさに収まる範囲へまとめるほうが、毎日のお参りもしやすくなります。

手を合わせやすい形になっていれば十分です。

ミニ仏壇の選び方や飾り方は下記の記事が参考になります。

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天台宗のお位牌はどう選べばいいのか

天台宗は、お位牌を用いる宗派です。
お仏壇を整えるうえで欠かせないものになりますから、忘れずに用意しましょう。

お葬式から四十九日法要までは、白木のお位牌を仮に使います。
そして四十九日までに本位牌を用意し、お寺に魂を入れてもらう流れになります。

文字入れには2週間ほどかかるのが一般的ですが、通販を中心に、数日で仕上がるところもあります。
四十九日が近づいてから気づいた場合でも間に合うケースは多いので、落ち着いて探しましょう。

デザインや材質、色に天台宗としての決まりはありません。
黒塗りのものでも、モダン仏壇に合わせた木目のものでも構いません。

ただしサイズだけは、ご本尊より背が高くならないように選びます。
お仏壇の中で、ご本尊がいちばん上に見える形を保つためです。

戒名の上に入れる梵字は、天台宗では入れないことが多くなっています。
お寺によって考え方が変わってくるところなので、菩提寺の指示があればそれに従いましょう。

宗派ごとのお位牌の選び方の違いは、下記の記事で確認できます。

位牌の選び方(浄土宗・真言宗・天台宗・臨済宗・日蓮宗・曹洞宗)
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お仏壇を迎えたら行う開眼供養

お仏壇は、家に据えたらそれで終わりというものではありません。
新しくお迎えしたら、開眼供養を行います。

これは、新しいご本尊に魂を入れていただくための法要になります。
お仏壇という入れ物ではなく、ご本尊のために行うものです。

依頼する先は菩提寺になります。
天台宗の公式サイトも、菩提寺に依頼して開眼法要をしてもらうようにと述べています。

四十九日法要が控えていれば、そのときに一緒に行うケースが多くなります。
法要の予定がない場合は、付き合いのあるお寺に相談して日取りを決めましょう。

お布施は、開眼供養だけなら3万円〜5万円、四十九日などの法要と同時に行うなら4万円〜10万円ほどが目安として案内されることが多くなっています。
とはいえ地域や菩提寺によって変わってきますから、お寺に直接尋ねても失礼にはあたりません。

当日の流れや服装、お布施の包み方については下記をご覧ください。

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毎日のお参りで気にしたいことと気にしなくていいこと

作法を間違えて親戚に何か言われないか、という不安を抱えたままお参りしている方は少なくありません。
天台宗として決まっていることと、決まっていないことを分けて見ていきましょう。

お線香の本数に決まりはありません

宗派の公式サイトには、お線香の本数には決まりはありませんとはっきり書かれています。
本数を数えることよりも、お香の煙が広くゆきわたってご先祖様の世界にも届くようにと願いながら供えることをすすめています。

参考)檀信徒のお勤めの作法と心得

しかしながら、天台宗は3本と案内されることが多いのも事実です。
仏・法・僧の三宝にちなむ、あるいは過去・現在・未来を表すという説明が添えられています。

3本という形は宗派の定めではなく、広く根づいた慣習だと考えると分かりやすくなります。

迷ったときは、自分の側に1本、お仏壇の側に2本を立てて逆三角形になるように供えれば、どなたが見ても失礼にはあたりません。
1本しか立てていなかったからといって、供養の気持ちが足りないということにはならないので安心してください。

お線香そのものの種類や香りの選び方は下記の記事にまとめました。

仏具の線香 - 種類や選び方や激安線香と高級線香の違いや香典や贈呈線香について
どの宗派でも、毎日のお勤めに用いる仏具のひとつに線香があります。 種類や金額もさまざまですが、普段はあまり細かく選んで使っていないという方が …

おりんを鳴らすのは読経の区切り

おりんは、お参りの合図として鳴らすものではありません。
本来はお経を読む区切りで鳴らすもので、読経をしないのであれば鳴らさずにお参りしても構わないのです。

天台宗の公式では、お勤めを始める前に2回、お経が終わるたびに各1回、すべてのお経が終わるときに3回鳴らすとされています。

とはいえ毎日この通りにできなくても差し支えありません。
手を合わせるだけの日があってもよいのです。

鳴らすときは、りん棒を縁の少し外側へ横から軽く当てると、きれいに響きます。

おりんの意味や役割、鳴らし方の注意点は下記で解説しています。

仏具の鈴(リン・おりん)の意味や役割と鳴らし方の注意点
仏具のリンと言えば、見ればわかるという位に多くの人に馴染みのある仏具の1つです。 お仏壇や仏具の事を何もしらなくても、この仏具の事は聞いたり …

唱える言葉は家のご本尊に合わせて

天台宗はご本尊が一つに定まっていないぶん、唱える言葉も家のお仏壇に合わせて変わってきます。
公式の法話でも、お堂に祀られている仏様の名前を確かめてから唱えるようにと説かれています。

阿弥陀如来をお祀りしているなら南無阿弥陀仏、お薬師様なら南無薬師瑠璃光如来といった具合です。
何回唱えなければいけないという決まりも、公式には示されていません。

天台宗では時間の取れない方のために、短く区切った略式のお勤めも用意されています。
正解が一つではないぶん、家でお祀りしている仏様に合った言葉を選べていれば十分です。

お仏壇を置く向きや場所に決まりはあるのか

お仏壇は東向きに置くとよい、と案内されることが多くあります。
極楽浄土は西にあるとされるため、東向きに置けば西に向かって手を合わせる形になる、という考え方によるものです。

ただ、天台宗として東西南北の方角を定めているわけではありません。
公式サイトでも、仏壇の位置については様々なしきたりがいわれているものの、あまりこだわりすぎる必要はないとしています。

参考)ある方から仏壇の向きが悪いと言われましたが…

公式サイトがすすめているのは、毎日お参りをしてお茶やご飯をお供えしやすく、家族がよく集まるような場所を選ぶことになります。
マンションや洋室では、そもそも希望の向きに置けないことのほうが多いかもしれません。

逆に避けたいのは、直射日光が当たるところ、湿気が多く風通しのよくないところ、目が届かず火の始末がしにくいところになります。
神棚と向かい合わせにしない、極端に高い位置や低い位置に置かない、といった点にも触れられています。

方角で迷うよりも、このあたりを外していないかを見て決めるほうが現実的です。

置く部屋と方角についての考え方は、下記の記事でさらに具体的に解説しています。

お仏壇を置く部屋や場所とお仏壇の向きや方角などの注意点
お仏壇をこれから買おうと考えている方にとって、悩ましいポイントはいくつもありますが、その1つが買った後どの部屋に、どう向いて配置すれば良いの …

まとめ

天台宗は、もともと形を厳しく定めない宗派です。
仏具の数もお位牌の色も、家の事情に合わせて選んで差し支えありません。

守っておきたいのは、向かって右に天台大師、左に伝教大師という脇侍の並びくらいです。
ここさえ整えておけば、あとは住まいと予算に合わせて少しずつ形にしていけます。

お線香の本数やおりんを鳴らす回数も、公式が略式のお勤めを用意しているほどですから、そこまで神経質になることはありません。
それでも気になるところが出てきたら、菩提寺に一言尋ねれば済む話です。

いちばん大切なのは、毎日手を合わせる時間を持てることだと考えています。
無理のない形で、長く続けていけるお仏壇を整えてまいりましょう。

  • 公開日:2016.10.07
  • 更新日:2026.09.08

カテゴリ:天台宗

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