耳慣れない「仏壇預かり」のサービスをご紹介。
倉庫との違いや活用法と利用するメリットや注意点も。

  • 2020.08.19

仏壇

ご本尊・ご先祖様を祀るお仏壇は、軽々しく扱うべきものではありません。
それは、お引越しの際も同様で、特に引っ越しなどの際には、大型のお仏壇がある家庭では取扱いに頭を悩ませる方も多いはずです。

大きなものであればあるほど、お仏壇を一人で運ぶことは難しくなりますから、誰かの手を借りなければなりません。
ただ、誰でも力があればよいというわけではなく、ゆっくり・優しく運ばなければ、お仏壇を傷つけてしまうおそれもあります。

この記事では、そんな引越し時のお仏壇に関する不安を取り除くため、専門家が我が家のお仏壇を預かってくれる「仏壇預かりサービス」について、メリット・注意点なども踏まえつつご紹介します。

検討中の方は、ぜひ一度参考にしていただければと思います。

仏壇預かりサービスとは

仏壇預かりサービスとは、引越しなどで家具を持ち出す際、お仏壇を専門業者が安全に保管してくれるサービスです。
修理のために預ける場合もありますが、このサービスに関しては該当しません。

引越しやリフォーム・家の解体など、事情があって家具を家から持ち出す場合は、このようなサービスがあることを覚えておくと安心です。

引越し時の一時預かりが主な理由

終の棲家を見つけた場合を除き、多くの家族はより良い環境を求めて、引越しを検討します。
家族が増えたり、逆に巣立ったりすることで、家に住む人の数も住環境も変わってきます。

諸事情により、家族が引越しを検討したとき、問題は家具をどう新居に運ぶかです。
そこで、多くの人は引越し業者に引越し作業を依頼するわけですが、中には取り扱いが難しいものもあります。

この業者にとって、扱いが難しいもののひとつに、お仏壇はカウントされます。

お仏壇は、一見重厚なデザインで丈夫に見えますが、実際には繊細な彫刻・はがれやすい金粉などが施されており、取り扱いには非常に注意が必要です。

また、引っ越し業者はあくまでも引っ越しのプロであり、お仏壇について知っているわけではありません。
どういう造りであり、どういう構造をしていて、どこを持てば良いのかというのを知っているのは少数です。

そのため、傷などが生じやすい場所をケアしてお仏壇を運べる業者には限りがあり、引越し業者の中には、そもそもお仏壇の運搬を取り扱っていないケースもあります。

理由は、大きなお仏壇を安置している家ほど、引越しの機会が少ないからです。
実家で先祖代々のお仏壇を守るおじいちゃん・おばあちゃんは、何か特別な理由がない限り、住み慣れた我が家を離れようとはしないでしょう。

こうして、引越し時にお仏壇を専門家が預かるという、仏壇預かりサービスへのニーズが生まれます。
お仏壇の目線から考えると、お仏壇だけ後から新居に引越しするニュアンスが近いでしょう。

リフォームなど、家自体を改装する場合にも検討が必要

先ほど、おじいちゃん・おばあちゃんは実家から動くケースは少ないと話しました。
しかし例外もあって、例えばリフォームを施工する場合は、一時的に自宅を離れなければなりません。

外装だけでなく内装にまで手を加えようとすると、お仏壇だけでなく、家の全ての家具を一時的に運び出さなければなりません。
もちろん、住んでいる当人も一時的に引越さなければならず、必要十分な広さの部屋が借りられるとは限らないため、トランクルームなどの収納部屋を検討することになるでしょう。

他の家具収納は別の場所へ一時的に移動できたとしても、さすがにお仏壇を押し入れなどで保管するのは、多くの人が申し訳なく感じるはずです。
それならいっそ、お仏壇のケアをしっかりできるプロに任せた方が、家族も安心するでしょう。

サービス元は購入した仏壇店というケースが多い

仏壇預かりサービスを提供している業者の多くは、販売元である仏壇店です。
お仏壇を売っている専門店なら、取り扱いには精通しているため、多くの人にとって違和感はないはずです。

ただ、北海道など、一口に各都道府県全域OKとすることが難しい地域もあり、可能であっても地域大手に限られるなどの制限もあります。
預かってくれる場合の金額についても、金額の相場観としては大きさや居住地域によって変わってきます。

購入時に仏壇預かりサービスの存在を意識することは難しいですが、必ずしも自社で購入したものだけにサービスを限っているわけではないため、迷ったらお店に相談することをおすすめします。

預かり専門、お掃除とセットでという業者も多い

上記の購入した仏壇店というケースですと、通販で買った場合や、遠方だった場合、買ったお店が無くなってしまっていた場合などは使えないという状況になります。

そういった方には、多くはないですが、お仏壇の預かりを主サービスとした業者に依頼するのも1つの手です。
また、専門ではなくとも、お仏壇の洗浄やお掃除をメインとしている業者も、結果的には預かるためそういったサービスを提供しています。

預かり、お掃除し、一定期間保管をしてくれた後に、キレイになったお仏壇を運んでくれるというサービスです。
お仏壇を安置してからかなりの長期間が経つ場合などは、色々な箇所に経年劣化が見られたり、塗装や金箔などがはげていたりといった箇所があるかもしれません。

そういった場合は、預かりサービスついでにお仏壇の洗浄もお願いしておくと一石二鳥と言えるかもしれません。

ただ、こういった場合は、通常の預かりサービスなどと比べて、場合によっては値段が非常に高くなってしまう場合があります。
遠方などの場合、そもそも運ぶ往復の移動費だけで数万円を超えてしまうといったケースもあり得ますので、注意が必要です。

仏壇預かりサービスを使うメリット

引越し業者やトランクルームを使うのと比較して、仏壇預かりサービスを利用する場合、その大きな利点は「仏壇・仏具のプロ」に自宅のお仏壇を預けられる点に集約されます。

以下に、具体的なメリットをご紹介します。

引越し業者より取り扱いが丁寧

引越し業者全てに言えることではありませんが、引越しはきちんと業者を選ばなければ、安かろう悪かろうの結果になってしまうおそれがあります。

単身者で家具の少ない家なら、赤帽などに依頼して安く済ませる方法もあるかもしれません。
しかしながら、お仏壇含め、家具や貴重な品が多くなればなるほど、質の高い業者を選ばなければなりません。

それぞれの業者で得意な分野がありますし、ピアノのような繊細かつ巨大な楽器は専門家に任せた方が無難です。

これと同様に、お仏壇を運搬する引越し業者もピンキリです。
きちんと見積もり・専門プランを用意できるところもあれば、他の荷物とほぼ同様の扱いで考えているところもあります。

また、過去に引っ越しを経験された方はご存じかと思いますが、引っ越しの現場に来るサービスマンはプロが1人で後はアルバイトなどのお手伝いというケースが多かったりします。

そういった方にお仏壇の養生をしっかり頼んで移動にも気をつけてとお願いするのはやや酷かもしれません。

大事なお仏壇に傷をつけてしまうと、中にはその後の家運に影響を及ぼすといった考えを持つ人もいることから、本来お仏壇の取り扱いは慎重であるべきです。
しかし、信仰心のない人にとっては、お仏壇もまた家具の一つであり、どうしても扱いに差が生じてしまいます。

その点、仏壇預かりサービスの担当者は、他人様の仏壇を扱うことの重みをきちんと理解しています。
自社で販売しているのであれば、なおさら取り扱いに気を配ることの意味を理解してくれているでしょうし、素人の持ち主よりもきめ細かいケアが期待できます。

基本的には、収納場所に一時的に安置するわけですから、お仏壇の取り扱いに関しては、プロに依頼しておいた方が、色々と融通が利くでしょう。

トランクルームでの保管は心情的にも環境的にも避けたい

こちらはメリットというよりも、遺族としての心情がそうさせる、と言ったほうが分かりやすいかもしれません。
ご先祖様や故人と気持ちを通い合わせるお仏壇を、無機質なトランクルームにぎゅうぎゅう詰めで収納するのは、やはり申し訳なく思う人が大半なのではないでしょうか。

比較的新しい造りなら、オフィスのように区画・空調がきちんと整理されているところも多いため、何かを収納しておくことに抵抗を感じないかもしれません。
しかし、ガレージ型のトランクルームなど、外から直接荷物を入れるような立地であれば、湿気など外気の影響を受けやすくなる分、お仏壇の収納場所としてはふさわしくありません。

お住まいの地域によっては、そもそもオフィスビルタイプのトランクルームが見つからない場合も珍しくありませんから、必然的にガレージへの収納が想定されます。
お仏壇のコンディションを良い状態に保つよう意識するのであれば、トランクルームは避けたいところです。

そういった意味においては、やはりトランクルームなどではなく預かりサービスを利用するのは大きなメリットになります。

相談の上、買い替え・処分に切り替えることもできる

お仏壇を専門業者に預かってもらえば、コンディションが悪くなるリスクは少ないでしょう。
しかし、プロの目から見てお仏壇の状態が悪くなっている場合、業者に買い替えや処分を相談することもできます。

実際にお仏壇を見て、同じようなデザインで安いものを紹介してくれるケースもあるでしょう。
100%業者の言いなりになる必要はありませんが、もし扉の状態が思わしくなかったり、傷が気になったりするようであれば、新しいラインナップをチェックするのも一つの方法です。

また、縁あって新しいお仏壇を購入する場合は、古いお仏壇の処分費用をサービスしてもらえるかどうかなど、見積もりをもらう中で担当者に確認を入れておきたいところです。

お仏壇自体の供養も含まれたコミコミ価格を提示しているところもありますから、予算に応じて最も良いプランを提案してくれるところを選びましょう。

仏壇を移動する際に気を付けたいポイント

お仏壇の移動を業者に依頼する場合、仏壇預かりサービスを使う場合で合っても、いくつか気を付けておきたいポイントがあります。
仏事に詳しくない人ほど忘れがちなポイントなので、以下の内容をしっかり把握しておきましょう。

魂入れ・魂抜きまで業者はやってくれない

お仏壇を家から動かす場合、ご先祖様・故人の霊が宿る状態で動かしてはいけません。
必ず、移動させる前の魂抜き・移動させた後の魂入れをお坊さんにお願いしなければなりません。

魂抜きとは、閉眼供養とも呼ばれ、お仏壇や位牌に宿っている魂を解き放ち、お仏壇・位牌をただの「物」にするための儀式です。

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魂入れ・魂抜きに関しては、一部業者ではお坊さんに供養をお願いするプランもありますが、多くの業者ではお仏壇を「預かる」だけがサービスの対象となっています。

よって、仏壇預かりサービスを依頼する前に、お坊さんにも相談しておく必要があります。

宗派によって異なる考え方

魂入れ・魂抜きは、日本国内では一般的な儀式の一つです。
しかし、一部宗派・仏教系の新興宗教に関しては、魂入れ・魂抜きという形での儀式は行われていません。

浄土真宗の教えでは、死者は阿弥陀如来の導きによって、浄土に往生するとされています。
よって、故人やご先祖様の魂を現世に留めるという考え方がそもそも存在しません。

浄土真宗には原則として位牌が存在しないため、魂を入れたり抜いたりする対象物がないと考えるのは自然かもしれません。
ただし、ご本尊をお迎えするという意味で「入仏法要」という儀式は行われるため、他の宗派同様、お仏壇を大切にする考え方自体は残っています。

また、創価学会もお仏壇の入れ替え・買い替えに関しては柔軟で、重要なのはご本尊との考え方から、位牌もお仏壇に安置しません。
お仏壇の出世替えなども奨励しており、中古のお仏壇を購入することへの抵抗も少ない傾向にあります。

自分の宗派について詳しくない人は、仏壇預かりサービスを依頼する前に、一度魂入れ・魂抜きが必要かどうか確認してみましょう。

引越した後のことを忘れずに

一度お仏壇を動かした後、新しい家にお仏壇を移動する場合、お仏壇から位牌・仏具などを出してから移動させます。
その際、移動させる前のお仏壇の写真を撮影しておくと、新居にお仏壇が運ばれた後、スムーズに位牌・仏具を配置できます。

過去の記憶を頼りに、もう一度同じ配置をしようとすると、どこかで記憶違いが生じてしまいます。
それを防ぐため、分かりやすく画像で残しておくと安心です。

おわりに

仏壇預かりサービスは、あまり耳慣れない言葉かもしれませんが、多くはその名の通り一時的にお仏壇を預かってくれるサービスになります。
多くは、引越しやリフォームなどを理由に家具を移動する際、お仏壇を一時的に専門業者に預かってもらうサービスを差します。

お仏壇の取り扱いには専門的な技術・知識が必要になり、一般的な引越し会社では運搬を引き受けてもらえない場合があるため、お仏壇がある家は頼りにしたいサービスです。

万一お仏壇に傷が付いてしまったり、彫刻が壊れてしまったりすると、修理するのは大変です。
ご先祖様と心を通い合わせるためのお仏壇ですから、できるだけ丁寧に取り扱ってくれる業者を選びましょう。

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  • 公開日:2020.08.19

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