仏具の中でも基本となる「花立」
その意味や役割と花立の選び方を解説しています

  • 2017.05.11
  • 2026.09.30

仏具

お仏壇に置く仏具には様々な種類があります。
小さなものまで入れていくと数十の仏具を置く場合もありますが、それらには1つ1つ意味や役割があります。

今回は、その仏具の中でも代表格の1つとも言える「花立」についてまとめてみました。

三具足にも入るまさに基本となる仏具の1つですから、ここでしっかりとおさらいを含め見直しておきましょう。

花立(花瓶)について

花立はその名の通り「はなたて」と呼びます。
呼び名と同じく、意味もそのままで花を立てるための仏具になります。

仏具などの供養具は生花はもちろん、常花、華鬘など花を模して作られたり、花自体を供えるといったものが多くあります。

家庭で使う際には主に花立に常花や生花を供える花の器として用いられます。

仏壇の花瓶の名前と宗派ごとの呼び方

仏壇の花瓶の名前として一般に通っているのは、花立です。
国語辞典を引くと花立はお墓で花を供える器も指す言葉なので、ここではお仏壇に置くものに絞って見ていきます。

ただ、宗派の公式の案内では、同じ器の呼び方が少しずつ違っています。
曹洞宗の公式サイトでは、三具足の並べ方を説明するところに「花立て」とあります。

浄土真宗本願寺派と真宗大谷派の公式の案内になると、名前は花瓶(かひん)に変わります。

浄土宗の公式サイトが一般向けの解説で使っているのは、曹洞宗と同じ「花立て」です。
宗派の辞典である新纂浄土宗大辞典のほうでは、華瓶(けびょう)が項目の名前になっており、花生けや花器とも呼ぶと書かれています。

少しややこしいのが浄土真宗で、華瓶という名前は三具足の花瓶とは別の仏具に使われます。
本願寺派の案内では、華瓶はお仏壇の中心にまつるご本尊の前に対で置き、水を入れて樒(しきみ)などを立てる器とされています。

本願寺派の中央仏教学院が2016年に公開した解説によると、華瓶は1本から数本の花を供える器で、かひんと読む花瓶は口が大きく、多くの花を供えるのに向いた器です。
形が違うため、読み方も分けているのだと説明されています。
参考)中央仏教学院「華瓶(けびょう)考」

浄土真宗の華瓶を別にすれば、どの呼び方も三具足の花の器のことなので、どれを使っても間違いではありません。

なお、仏壇仏具店で「花瓶」の名前で売られているのは、多くがお仏壇の外の床などに置く大きなものです。
お仏壇の中に置くものを探すときは、花立の名前で探すと見つけやすくなります。

素材について

花立は仏具の中でも基本的な仏具の1つになります。
そのため、仏具の素材でも解説していたように、素材の種類も様々用意されていて、仏具メーカーも力を入れていると言っても過言ではありません。

PC/プラスチック・陶器・真鍮・アルミ・木製など仏具の素材や材質について
仏具に関しては一言で表す事が難しいほどに種類がたくさんあります。 代表的な具足関連の仏具だけでも、十数種類にもわかれ、そこに細かな仏具を入れ …

上記のように様々な素材があります。
人気があり定番となるのが、手入れも楽で価格も安く変色にも強いアルミ製、さらに少し高級感のある真鍮製などが定番となります。

この2つに陶器製を加えると、費用をできるだけ抑えたいなら陶器製、値段と使い勝手のバランスを取るならアルミ製、高級感を出したいなら真鍮製、という選び方をする方が多いようです。

ただ、アルミ製の花立はモダン仏具に多く、伝統型の仏具ではあまり見かけません。
陶器製と真鍮製は、どちらの仏具にも見られます。

メッキや色付けをしていない、真鍮そのままの金色の花立は、使ううちに表面がくすんでくることがあります。
真宗大谷派の智広寺は真鍮の仏具の磨き方を案内しており、お寺の仏具はお彼岸やお盆の前に磨いているそうです。

同じ案内には、最近はコーティングを施した品もあり、磨くとかえってそれが取れてしまうので水拭きにする、という注意もあります。
買うときにコーティングの有無を確かめておけば、手入れの仕方で迷わずに済みます。

今の業界的な流れでは、毎日のお参りに生花を供える方が減っており、常花を供える方が増えている事もあり、仏壇仏具店では常花とのセット販売も多く行われています。

花立にはサイズもあります。
仏壇のサイズによって花立の横幅や高さも変わりますので、注意しましょう。

色味について

素材と同じように花立の色味も今では多種多様にあります。
特に、モダン仏具の花立においては、色の種類はもはや何種類といえないほどに、色々な色味が存在しています。

過去に私自身が見ただけでも、クリスタル、赤、青、ピンク、グレー、黒、白、茶色、オレンジ、緑、黄色などメインどころの色としてはたいてい存在していると言えます。

一方、従来の伝統型仏壇に合わせやすい仏具には、「黒・黒檀系」「赤・紫檀系」「磨・金系」の3色展開がほとんどです。

ざっと改めてネット上で調べて見ても、黒光色、鍋長色などの黒系と、赤や紫などの紫檀色、真宗系で使われやすい磨色、金色の花立がほとんどでした。

お仏壇に合わせて最適な色の花立を選ぶようにしましょう。

花立の選び方について

特にこうといった決まりはありません。
ほとんどの宗派で、どの花立を用いても問題ありませんが、注意すべきは浄土真宗系です。

浄土真宗の中でも、本願寺派は主に具足シリーズは宣徳(せんとく)と呼ばれる黒っぽい色を使い、大谷派は主に具足シリーズは金色を使いますし、磨色や金色の花立は基本的に真宗系の大谷派などでしか使われません。

家が浄土真宗でも、本願寺派と大谷派のどちらなのかまでは分からないこともあります。
派の見極め方は、下記の記事で詳しく解説しています。

今さら聞けない浄土真宗の基本。西や東・本山での仏壇や仏具の違いと見極め方
自分の家の宗派が浄土真宗の方は、おそらくお仏壇・仏具を購入しようと仏壇店へ足を運んだ際に「お東ですか?お西ですか?」などと聞かれる機会がある …

メイン所の浄土宗、真言宗、天台宗、日蓮宗、曹洞宗、臨済宗などでは、金色以外から選ぶのが一般的です。
中には、故人が好きだった色だからといった理由で、金色の花立にする方もいます。

サイズなどについてはお仏壇に合わせて選びます。

花立を1つか対にするかでサイズも多少異なる

お仏壇のサイズに合わせて花立を選びますが、花立を1つだけ置く三具足タイプにするのか、対にして左右両方に置く五具足タイプにするのかでまたサイズ選びは異なります。

対にする場合、花立は2つ必要になり、基本的には同じ花立を左端と右端に置きます。
そのため、お仏壇の同じ段に花立を2つ置く必要があり、その分の横幅が必要になってくるので注意が必要です。

仏壇には花立以外にも様々な仏具が置かれます。
そのため、花立2つを置く段には他の仏具も置く事になるため、横幅などにはしっかりと注意しましょう。

横幅と合わせて見ておきたいのが高さです。
花立は花を挿して使うものなので、器だけの高さではなく、挿した花まで含めてご本尊が隠れないかどうかで考えます。

花立の大きさのおおよその目安は、小型の上置き仏壇なら2.5寸〜3.0寸、台付き仏壇なら3.0寸〜3.5寸くらいです。
さらに大きなお仏壇なら、花立もそれに比例して大きなものになります。

寸で書かれたサイズの読み方や、扉を開けたお仏壇の内側の測り方は、三具足の基本を扱った次の記事にまとめてあります。

仏壇に祀る仏具の基礎 - 仏具の基本は花立・火立・香炉の三具足
お仏壇の選び方で悩みに悩んで、いざ買った後に多くの人が頭を悩ませるのが、仏具は何が必要で、それをどこに配置すればいいの?という点です。 初 …

仏壇の花瓶の決まりと置き方の基本

花立を選ぶときの決まりはほとんどないと先に書きましたが、置くときには宗派の資料に共通する基本の形があります。
浄土真宗の派による色の違いを除けば、宗派の案内で決まりと言えるのは、花立をいくつどこに置くかと、そこに挿す花の2つです。

花立を1つだけ置くなら場所はお仏壇に向かって左で、対にするならすぐ前で書いたとおり左端と右端になります。
1つのときの位置は、先に挙げた曹洞宗と浄土真宗の両派の資料も、新纂浄土宗大辞典の三具足の項目も同じように説明しています。

本願寺派の公式サイトのよくある質問には、普段は三具足、法事のときはできれば五具足にするようにという案内があります。

本願寺派の家なら、普段は花立が1つあれば足り、法事で対にしたいときに、同じ花立をもう1つと、ろうそく立てをもう1つ用意する、という買い方で間に合います。
案内の中でも五具足は必ずそろえるものとはされていないので、法事を三具足のまま迎えても差し支えありません。

挿す花にも宗派の案内があり、たとえば本願寺派はお盆の案内の中で、とげのある花や毒のある花、造花などを避けるよう書いています。
花の種類や本数、向き、造花や常花をどう扱うかまで知りたいときは、仏花を宗派ごとに見ていった次の記事が役に立ちます。

仏壇に活ける仏花 - 生花と造花と常花のルールと宗派の違い
仏壇に置く仏具の中でも必須仏具の三具足の1つに花立があります。 この花立は、名前の通り、お花を供えるためにその支えとして使う仏具になります。 …

一方で、花立の形や素材、大きさを決めている宗派の資料は見つかりませんでした。

普通の花瓶を花立の代わりに使ってもよいか

宗派の資料には、仏具として作られた花立でなければいけないという決まりも見当たりません。
色については浄土真宗の派による違いがあるものの、宗派の案内が気にかけているのは、器よりも挿す花のほうです。

普通の花瓶を使う場合も、置き方は先ほどの基本の形のままで構いません。
対にするなら、花立のときと同じように、そろいのものを2つ用意します。

浄土真宗で派に合った色の花立を置きたいなら、宗派ごとの色を扱っている仏壇仏具店で探すほうが見つけやすいと言えます。
気になるときは、菩提寺に一言聞いてみると確かめられます。

まとめ

花立は宗派によって呼び名が変わり、選ぶときは家の宗派とお仏壇の大きさ、置くときは数と場所、それに挿す花に目を向けることになります。
宗派の資料で決まっていることと、家ごとに選んでよいことを分けて考えれば、迷う場面は多くありません。

お仏壇に合った花立を選んで、日々のお参りに花を添えてまいりましょう。

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  • 公開日:2017.05.11
  • 更新日:2026.09.30

カテゴリ:仏具

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