読み方も難しく意味もわからない?
欄間・須弥壇などお仏壇の内部の名前の意味や役割

カテゴリ:【 仏壇

お仏壇は実際には様々な部位やパーツが組み合わさって成り立っています。
しかしながら、その専門用語は、なかなかに難解で、仏壇業界以外の人にとって見れば初めて聞くという言葉も多いほどです。

欄間・須弥壇・膳引など、お仏壇の各部分に付けられている名称は、そもそも見て何と読むのかすら分からない部位も多かったりします。
今回は、そんなお仏壇の内部の名称や意味や用途、そのように呼ばれるようになった由来などについてご紹介します。

お仏壇内部の構造について

そもそも、お仏壇はご本尊・ご先祖様をお祀りするために設けられています。
よって、お仏壇の中というのは清浄でなければならず、仏教における浄土を表現した世界観が表現されています。

このような経緯が、お仏壇内部の世界観を紐解くのに大いに関係しています。

上段には尊い存在を祀るのが大原則

どの宗派であっても、上段にご本尊が安置されます。
ご先祖様よりも立場が上ということになりますが、これはつまり、ご本尊がご先祖様を浄土へと導く立場であることが示されています。

よって、上段以上の高さというのは、基本的には浄土を表現した造りとなっています。
天井などに宮殿などがデザインされているのもそのためです。

中段には過去帳・位牌などを祀り、ご先祖様の安寧を祈る

中段は、過去帳や位牌を祀る宗派が多いですが、上下関係を考えれば自然な流れと言えます。
御仏に見守られ、穏やかに暮らすご先祖様が、御仏の下段に位置しているという位置関係です。

仏飯器(ぶっぱんき)などで、毎日の御供えを行うのもこの段になります。

下段は御供えをする側のことを考えた造り

下段は、ご本尊やご先祖様をお祀りする、私たち現世に暮らす存在のための段になります。
具体的には、線香やお経をあげたり、何らかの供養を行う際に便宜上利用する機能が備えられています。

線香引出(せんこうひきだし)などが該当します。
これらの関係性を理解し踏まえた上で、それぞれの仏壇の部位や詳細を見て行きましょう。

上段

簡単に概要を紐解いたところで、実際によく聞く箇所についてご紹介していきます。
上段は浄土を示していることから、主に装飾面での意味合いを持つ部位が目立ちます。

欄間(らんま)

お仏壇における、鴨居(かもい)と長押(なげし)上の空間にはめ込まれた板になります。
長押と聞いてどの部位かをイメージできない方も多いと思いますが、お仏壇を左右端から支える役割を持つ大柱(おおばしら)の間にある、横木のことを指します。

いわゆる、お仏壇を正面から見て上部にある装飾された部分が欄間にあたります。
板と言っても、完全に一枚になっているわけではなく、隙間が空いたデザインとなっています。

欄間は、日本建築で用いられる様式の一つで、住宅に用いられる技術がお仏壇に取り入れられています。
本来は、採光・通風を目的として、天井と鴨居との間に設けられるものです。

お仏壇においては、そこに装飾技術がほどこされることにより、彫刻による芸術性が高められています。
お仏壇の場合、その多くは透かし彫りなどの彫刻がほどこされており、仏教に由来のあるキャラクターや図柄などが彫られています。

一例を挙げると、鳳凰・龍・花などがあります。
他には、組子(くみこ)と呼ばれる技術を用いて作られた欄間もあり、菱形・七宝などの模様を高精度で組み上げているものがあります。

唐木仏壇などでは、よりシンプルなデザインのものとして筬欄間(おさらんま)と呼ばれるものもあり、細い竹製の棒を並行に並べて組み立てた欄間も見られます。

彫りの種類や意味や違いなどは下記も参考にしてください。

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宮殿(くうでん)

主に金仏壇で見られますが、ご本尊・脇侍を安置するスペースに屋根などが設けられた箇所を指します。
それぞれは、小柱(こばしら)と呼ばれる須弥壇から宮殿へと伸びる小さな柱によって区切られています。

とても荘厳な造りとなっており、厨子(ずし)と呼ばれるご本尊を丁寧に安置するための扉が付いたデザインもあります。
お仏壇によっては、ご本尊を安置したまま宮殿ごと取り外せる造りになっているものもあり、高級品となっています。

金仏壇は産地や職人によって造りに違いが存在しますが、唐木仏壇・家具調仏壇についてはほとんどありません。
とはいえ、それは単に「共通の規格」というものが無いだけであって、デザイン自体がおざなりになっているわけではありません。

そのため、先人の技術は継承されたまま現代に至っています。

須弥壇(しゅみだん)

お仏壇においては、御仏の世界と地上世界とを分ける箇所です。
金仏壇の場合は、宮殿の下に位置しています。

もともとは、お仏壇そのものを須弥壇と呼んでいましたが、時代を経て、寺院仏堂における仏壇を須弥壇と呼び、家内で御仏を祀る厨子のことを仏壇と呼ぶようになりました。
これが、現代におけるお仏壇の由来となったのです。

須弥壇という名称の由来は「須弥山(しゅみせん)」で、古代インドの世界観において、世界の中心にそびえる神聖な山を指します。
この須弥山の頂上に、神々が住む世界があるとされてきました。

上段に尊い存在を安置しているという意味合いから、須弥壇という名称が定着し、一部現代的なデザインのお仏壇を除いてほぼ一般的に用いられています。

勾欄(こうらん)

須弥壇に置かれる欄干(らんかん)で、建築においては橋・回廊・廊下などに用いられます。
宮殿下部のしきりとなる欄干を装飾する役割を担っており、御仏の世界へと続く入口を荘厳しています。

多くのデザインに擬宝珠(ぎぼし)が用いられており、仏教における宝珠の形を表していると言われています。
全てが同じ形をしているとは限らず、そもそもデザイン上存在しないお仏壇もありますが、歴史を継承するお仏壇の多くは勾欄を備えています。

中段

主に、御仏やご先祖様への御供えを行う段になります。
中段(ちゅうだん)という名称自体が、お仏壇の部位の一つとなっていますが、こちらが多くの宗派で位牌や過去帳・仏具を乗せるスペースとなっています。

礼盤(らいばん)

中段・須弥壇の間の箇所をこのように呼びます。
本来は、僧侶が礼拝・お経を読む際に用いる高座のことを指すスペースですが、お仏壇ではそのように用いることはありません。

デザインによっては、宮殿における中屋根の土台部分をそのように呼ぶこともあります。
この場合、宮殿はお仏壇から取り外しができます。

余間(よま)

こちらも須弥壇・中段の間にあたるスペースで、お仏壇左右に空いた部分をそう呼びます。
位牌や過去帳を安置するスペースとなることが多く、特段装飾について特殊な工夫が凝らされているわけではありません。

余間という名前の由来ですが、寺院の構造においても同様の名称が用いられている箇所があります。
浄土真宗のあるお寺を例に取ると、お寺の本堂は内陣と余間とに分かれており、ご本尊と脇侍は内陣、余間に高僧の掛け軸が飾られていました。

また、余間は左右に分かれており、左には仏教を日本に広めた聖徳太子と親鸞が定めた七高僧の掛け軸が、右にはそのお寺の歴代住職の掛け軸が飾られています。

お仏壇にこの配置を応用すると、結果的に過去帳や位牌がその役割を果たすことから、余間という名称が用いられたものと考えられます。

太子(たいこ)

こちらも中段からやや下がったところにあるスペースです。
多くの宗派で日々の御供えを行う場所で、仏飯器・茶湯器などを置き、左右にはお花を供えます。

もちろん、各宗派やお寺によって飾り方は異なりますから、一概に上記のような用途で用いるとは限りません。
太子と中段とを結ぶ階段状の段差を蹴込(けごみ)と言い、こちらも仏教世界への入口を間接的に示唆しています。

下段

下段は、御供えの他に現世における私たちが供養を行う際に必要な行為ができるよう、準備をする箇所になります。
一見お仏壇とは関係が無い名称の部位も見られますが、やはりそれなりの意味を持っています。

猫戸(ねこど)

お仏壇の中段下にある引き戸をこのように呼びます。
引き戸自体を指す場合と、引き戸を備えたお仏壇の仕様自体を指す場合があります。

もともと納骨用の引き戸として認識されており、かつては分骨用の小さな骨壺を納めるスペースとして用いられていた地域もあります。
現代ではあまりそのようなニーズで用いられることは無く、線香・ろうそくといった日常のお勤めに必要なものを収納しているご家庭がほとんどです。

ちなみに、猫戸という名前は、入口が猫が通り抜けられるほどの大きさだったことに由来していると言われています。

前棚(ぜんだな)

猫戸手前側のスペースをこのように呼びます。
お茶・水・菓子・果物などのお供物や、お花などを飾るために使っているご家庭が多いようです。

宗派・地域よっては、このスぺ―スに過去帳を安置しているケースもあります。

膳引(ぜんびき)

引き出しのようなデザインになっており、スライドして使用します。
お盆などの時期に、お膳を乗せたりするのに用いることから、このような名称が付いています。

もちろん、お盆だけに用いるわけではなく、本来は供物などを乗せるのにも用いられます。
今では膳引きをスライドさせて花立や火立などの仏具を載せるというのが主流で一般的となっています。

名称の由来について

お仏壇における部位の名称は、素人目には意味が分かりにくく、読み方の由来が分からないまま現代まで引き継がれている部位も少なくありません。
お仏壇の販売店だけでなく、メーカー側も統一された認識を持っていないというケースもままあります。

そのため、お仏壇を購入する場合は、名称の由来などについてあまり込み入った質問をすると、かえってスタッフを混乱させてしまう可能性があります。

また、家具調仏壇においては、そのほとんどの部位が固有の名称を持たず、年々その重要性は失われつつあります。
部位に関する知識は、あくまでも予備知識としてとらえ、購入の決め手になることは少ないと考えておきましょう。

おわりに

お仏壇の造りは、かつては地域や材料などによって異なり、それぞれの個性が表現されていました。
しかし、家具調仏壇の到来や、メーカー・業者側の知識継承のばらつきによって、より普遍的な部位の意味やデザインだけが残るようになりました。

歴史が失われていくのは悲しいことではありますが、お仏壇の礼拝は、御仏・ご先祖様をお祀りする気持ちこそ、本来もっとも大切なものです。

お仏壇をお祀りする本質さえ失わなければ、また新しい歴史が積み重ねられていきますし、大切な心を持って毎日のお参りを心がけていきたいですね。


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