仏壇は誰が買う?費用は誰が出す?
長男・次男・嫁いだ娘の場合などで解説します

  • 2026.10.03

仏壇

明るいリビングの低い棚の上に、扉を開いて本尊を祀った小さな仏壇が置かれ、手前の座卓で兄と妹が仏壇のほうを向いて座っている後ろ姿の写真

四十九日や一周忌が近づくと、そろそろ仏壇を買おうかという話が家族の中で持ち上がることがあります。

いざ話し始めると、仏壇は誰が買うのか、費用は誰が出すのか、兄弟でどう分けるのかと、決めることが次々に出てくるのではないでしょうか。

結論を先に述べておくと、仏壇を買う人も費用を出す人も、法律で決まっているわけではありません。
とはいえ、家族で話をまとめるための目安はあります。

ここでは長男・次男・嫁いだ娘といった立場ごとの考え方から、費用の出し方、亡くなった親の預金を使うときの注意までを見ていきたいと思います。

仏壇は誰が買う?法律の決まりはなく家族で決めてよい

実家の縁側に大人のきょうだい3人が並んで腰掛け、庭を眺めながら話している後ろ姿の写真

仏壇を買う人や費用を出す人は、家族が納得していれば誰であっても構いません。
長男でなければいけないということはなく、次男や嫁いだ娘が買うこともできるのです。

法律が決めているのは、今ある仏壇を引き継ぐ人だけ

仏壇を誰が引き継ぐかについて定めているのは、民法897条です。
亡くなった人が持っていた家系図や仏壇、お墓などは、祖先の供養を中心になって行う人が引き継ぐ、という決まりになっています。

条文が扱っているのは今ある仏壇の引き継ぎだけで、新しく買う人や費用を出す人のことは出てきません。

引き継ぐ人は、亡くなった人の指定があればその人に、無ければ地域の慣習で決まり、慣習もはっきりしなければ家庭裁判所が定めます。

決め方の流れや、長男が引き継がなければならないのかという疑問については、下の記事が参考になります。

お仏壇の継承・引き継ぎ - 相続と祭祀財産や長男と祭祀継承者の問題などの解説
お仏壇と言えば昔なら一生に一度のお買い物と言えるほどに、どの家にも仏壇があった時代であったと言われています。 しかしながら、今の現代におい …

仏壇は長男が買うものと言われてきたのはなぜ?

それでも、「仏壇は長男が買うもの」という言い方を耳にすることはあります。
戦前の民法では、仏壇やお墓などは家を継ぐ人が引き継ぐものとされていました。

戦後の改正でこの仕組みはなくなり、今の決まりに改められています。
家を継ぐ人が仏壇も引き継ぐという昔の決まりが、仏壇は長男のものという感覚として残っていると言えるかもしれません。

宗派の公式サイトにも、誰が仏壇を置くかに関わる説明があります。

浄土真宗本願寺派(西本願寺)のよくあるご質問は、一人住まいの人も長男も末っ子も、どんな暮らし方であっても、まずは仏壇を自分たちの生活の場に置きましょうと呼びかけています。
参考)浄土真宗本願寺派(西本願寺)よくあるご質問「お仏壇を迎える意味は?」

真宗大谷派(東本願寺)は、田舎の本家にあるから新しい家には要らないと思っている人もいるが、仏壇は一人ひとりの心の依りどころとなる大切なものだ、と説明しています。
参考)真宗大谷派(東本願寺)お仏壇(お内仏)のこと

どちらも浄土真宗の説明ではありますが、仏壇は家を継ぐ1人だけが置くものと考えなくてよい、と読み取れます。

長男・次男・嫁いだ娘はどうする?決め手は仏壇を置く家

リビングで上を片付けた低い棚の前に夫婦が並んで立ち、そこを見つめている後ろ姿の写真

誰が買うかについては、続柄よりも、これから誰が日々手を合わせていくかを大事にしたいと管理人は考えています。
仏壇は置かれた家で長く使われ、毎日のお供えや掃除も、その家の人が続けていくからです。

長男や実家に住む人が買う場合

実家にすでに仏壇があれば、長男や実家に住む人がそれを引き継ぎ、亡くなった親もその仏壇で供養していく形が考えられます。
その場合は、新しく買うとは限りません。

新しく買う場合や、古くなった仏壇を買い替える場合は、置く人が選び、費用もその人が中心になって出すのが自然な形と言えます。

長男でも実家を離れて暮らしていて、親と同居していた兄弟がいるなら、その兄弟の家に置くのも1つの選び方です。

ほかの兄弟にも費用を出してほしいときは、買ったあとではなく、買う前に声をかけましょう。金額が決まってから頼まれると、頼まれた側は出すか出さないかしか選べなくなってしまいます。

一人っ子であれば、どこに置くかも費用の出し方も、自分で決めていく立場になります。

喪主を務めた人が買う場合

仏壇の用意を、喪主を務めた人が引き受けることも考えられます。
葬儀を取り仕切った流れのまま、仏壇を買うところまで進める形は分かりやすいと言えます。

しかしながら、喪主と仏壇を置く人は、同じとは限りません。
喪主は葬儀のために決める役目で、仏壇を置く家は、その後の暮らしの中で誰が手を合わせていくかで決まるものだからです。

たとえば長男が喪主を務めたものの遠方に住んでいて、仏壇は親と暮らしていた弟の家に置く、ということもありえます。喪主が代金を出して弟の家に置く形でも、家族みんなが了解していれば問題ありません。

喪主が仏壇を置く家の人でもあるなら、喪主が中心になって選んでいけばよいでしょう。

喪主とは別の家に置くことになりそうなら、どの家に置くかを先に家族で決め、仏壇選びにもその家の人に加わってもらうと話が進みやすくなります。

次男・三男が自分の家にも仏壇を置く場合

実家に仏壇があっても、次男や三男が自分の家に仏壇を置くことはできます。
先ほどの浄土真宗の2派も、仏壇は本家にだけあればよいものではないと説明しています。

自分の家に置く仏壇であれば、費用も自分の家で出すのが基本になります。
日々その仏壇に手を合わせるのが、自分の家族であるためです。

自分の家で親を供養するとなると、次に気になるのは位牌のことかもしれません。
親の位牌を兄弟の人数分作る位牌分けの進め方と、そのときの仏壇の考え方は、こちらの記事で取り上げています。

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住まいが広くなければ、棚の上に置ける小さな仏壇から選ぶこともできます。

嫁いだ娘が実家の親を祀りたい場合

嫁いだ娘が、自分の家に実家の親を祀る場所を持つのも1つの形です。
一緒に暮らす夫や、同居している嫁ぎ先の家族がいればその人たちにも、買う前に気持ちを伝え、家の中のどこに置くかまで話しておきましょう。

嫁ぎ先にすでに仏壇がある場合は、実家の親のためにもう1つ置くか、1つの仏壇にまとめて祀るかを考えることになります。
夫婦とも一人っ子で、両方の親を祀る場合も同じです。

宗派が同じか違うかでも選び方が変わってくるので、下の記事で確かめてから決めると迷いにくくなります。

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実家に置く仏壇の費用を、嫁いだ娘も出すかどうかについては、次の章で詳しく解説します。

残された親が自分で買う場合

父を見送って母が健在というように、親の一方が残っている家もあります。
その親が自分のお金で仏壇を買うなら、兄弟の間で費用の分け方を決めなくて済み、親の希望を中心に選べます。

親が自分で買い、日々お参りしている仏壇は、いずれ相続が起きたときも、相続税のかからない財産として扱われます。

ただし、母が父の預金から代金を出すような場合は、亡くなった親の遺産を使うことになるので、あとの章で解説する注意がそのまま当てはまります。

仏壇の費用は誰が出す?出し方の選択肢と決め方

食卓の木のお盆に、2人がそれぞれ無地の白い封筒を置こうとしている手元の写真

費用を誰が出すかにも決まりはなく、先ほどの民法の条文も代金には触れていません。

仏壇の値段は、棚などの上に置く小さな仏壇なら安いもので1万円台からあり、床に置く大きな仏壇も、今は10万円前後やそれを下回るものがあります。

素材や作りによってはさらに高いものもあり、どの仏壇を選ぶかで出し方の話し合いも変わってきます。予算の見当をつけたいときは、仏壇の種類ごとの値段の目安をまとめた記事が役に立ちます。

お仏壇の値段の相場・目安と通販と店舗の販売価格の違いについて
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費用の出し方を比べる

費用の出し方として考えられる形を、向いている家と気をつけたいことに分けて並べました。

出し方向いている家気をつけたいこと
置く人がすべて出す置く家が決まっていて、日々の世話もその家が担う買う前に兄弟にも一言伝えておく
兄弟で同じ額ずつ出す兄弟みんなで、親を偲ぶ場所を用意したい誰の家に置く仏壇かを先に決めておく
置く人が多めに出す置く人が中心になりつつ、ほかの兄弟も気持ちを形にしたい割合の決め方を兄弟でそろえておく
亡くなった親の預金から出す遺産に預金があり、兄弟の手元から出すお金を抑えたい使う前に相続人全員の合意を取る
香典の残りを充てる香典を葬儀の費用に充てても、まだ残りがある残りを何に使ったかも家族で共有しておく

置く人がすべて出す形は、代金を出した人と仏壇のある家が一致するので、あとで買い替えや修理を考えるときも、その家の判断で進められます。
喪主が仏壇を置く人でもある家なら、まずこの形から考えてみるとよいでしょう。

親の預金から出す形は、相続人全員が納得していることが前提になります。
使う前に知っておきたい決まりを、あとの章にまとめました。

兄弟で出し合うなら、割合は負担の差で考える

兄弟で出し合うとき、同じ額ずつにするか、置く人が多めに出すかに正解はありません。手がかりになるのは、仏壇を置いたあとの負担の差です。

仏壇を置く家は、毎日のお供えや掃除に加えて、命日やお盆、年忌の法要の準備も担っていくことになります。
こうした負担は置く家が受け持つので、代金は兄弟で同じ額ずつにするのも1つの考え方です。

逆に、仏壇が自分の家にあり、選ぶときの希望も通りやすい分、置く人が多めに出すという決め方もあります。

遺産の分け方をまだ話し合っていないなら、置く人が仏壇代を多く出すかわりに遺産を少し多めに受け取る、という形で調整することもできます。
兄弟それぞれの暮らし向きにも差があるので、無理のない額にとどめることも大切になります。

家を出た兄弟や嫁いだ娘が実家の仏壇の費用を出すかどうかにも、出さなければならないという決まりはありません。
本人の気持ちと兄弟の話し合いで決めて構いません。

出す場合も出さない場合も、誰の家に置く仏壇なのかを先に言葉にしておくと、あとで「自分も出したのに」という行き違いが起きにくくなります。

亡くなった親の預金から仏壇代を出すときの注意

亡くなった親が使っていた木の机の閉じた引き出しに、家族が開けずに手を添えている写真

亡くなった親の預金から仏壇代を出すのも、費用の出し方の1つです。
ただ、1人の判断で使うと、あとの遺産の分け方に響くことがあるので、決まりを確かめてから家族で決めていきましょう。

親の預金は相続人全員のもの。使う前に全員の合意を

亡くなった人の預金は相続人が引き継ぎ、どう分けるかが決まるまでは、相続人全員のものとして扱われます。

その間に相続人の1人が親の口座から引き出して使った分は、ほかの相続人全員が同意すれば、まだ遺産にあるものとして分け方を計算できる、と民法に定められています。

その場合、使った人の取り分から差し引く形になることがあります。

分ける前でも、亡くなった時点の残高のうち自分の取り分に応じた一部までは、相続人が1人で引き出せる制度があり、1つの金融機関ごとの上限も決められています。

ただし引き出した分は、その人が取り分の一部を先に受け取ったものとして扱われます。相続人全員が納得していれば、親の預金から仏壇代を出すこと自体は、家族で選んでよい方法です。

相続放棄を考えているなら、手をつける前に専門家へ

民法には、相続人が亡くなった人の財産を処分すると、相続を受け入れたものとみなす決まりがあります。
相続を受け入れると、親に借金があれば、それも含めて引き継ぐことになります。

借金があるかもしれず相続放棄を考えているなら、預金で仏壇を買う前に、弁護士や司法書士に相談してください。

仏壇を買うことがこの処分に当たるかどうかは、金額やそのときの事情によって判断が変わってくるためです。

親に借金が無いと分かっていて、相続放棄を考えていない家であれば、この点を気にする必要はありません。

仏壇に相続税はかかる?代金は遺産から差し引ける?

実家の和室で、扉を開いて本尊を祀った唐木の仏壇が花と香炉とろうそくで整えられ、前に座布団が置かれている写真

国税庁の説明では、仏壇は墓石や仏具と同じく、日常のお参りに使うものとして相続税がかからない財産とされています。

なお、亡くなったあとに買った仏壇の代金は、亡くなった人の借金や未払い金には当たらないので、それらのように遺産から差し引くことはできません。

相続税がかからない仏壇の範囲や、親が生前に買っていた場合の扱いは、下の記事でもう少し詳しく解説しています。

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葬儀の費用は遺産から差し引けます。
ただ、国税庁が葬儀の費用として挙げているのはお通夜や火葬、納骨にかかった費用やお寺への読経のお礼などで、仏壇の代金は入っていません。

相続税の申告が要るのは、遺産の額が一定の基準を超える家に限られます。
当てはまる家は、仏壇代を差し引ける前提では考えず、税理士や税務署に確かめておきましょう。

揉めないために、仏壇を買う前に家族で話しておくこと

座卓を囲む家族の手元で、急須から湯呑にお茶を注ぎながら話し合っている様子の写真

仏壇を買う前に家族で話しておきたいことを、話す順に並べると次のようになります。

  1. 誰の家に置くか
  2. 予算の上限と、仏壇を選ぶ人
  3. 費用の出し方と割合
  4. 誰が支払い、誰の名前で買うか
  5. 置いたあとのお参りや法要の分担
  6. 決めたことの残し方

置く家が決まれば置ける仏壇の大きさが決まり、大きさが決まれば予算の見当がつき、予算が決まれば出し方と割合を話し合える、という順につながっています。

支払いを誰の名前でするかや、領収書の宛名を誰にするかも、支払う前に決めておきたいところです。

仏壇を置いたあとも、お参りや法要は長く続いていきます。
置く家に任せきりにせず、誰が何を手伝うかを話しておくと、置く人の気持ちも軽くなるかもしれません。

決めたことは口約束で済ませず、家族のメッセージのやりとりなどに残しておくと、あとから確かめられます。

まとめ

仏壇を誰が買うかも、費用をどう出すかも、家族の考えで決めることができます。
決め手になるのは続柄よりも、仏壇を置く家と、そこで日々手を合わせていく人です。

親の預金を使うなら、手をつける前に相続人全員の合意を取っておくことが欠かせません。

兄弟それぞれの気持ちを持ち寄りながら、親を偲ぶ場所を納得のいく形で整えてまいりましょう。

  • 公開日:2026.10.03

カテゴリ:仏壇

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