法名軸とは?基礎から応用まで徹底解説!
過去帳との違いと選び方・書き方・仏壇での飾り方

  • 2026.10.29

仏具

食卓に、まだ何も書かれていない無地の法名軸が白い布の上に広げられて桐箱とその蓋が並び、奥のサイドボードの上では浄土真宗本願寺派の飾りをした小さな金仏壇が扉を開いて、阿弥陀如来の立像と親鸞聖人・蓮如上人の掛軸をお祀りしている写真

浄土真宗の家で身内を見送ったあと、位牌の代わりに法名軸と過去帳のどちらを用意すればいいのか、迷う方もいるかもしれません。

法名軸は故人の法名を記して仏壇に掛ける小さな掛軸で、過去帳は家の故人の法名をまとめて書き留めておく帳面です。

法名軸は、四十九日(満中陰)の法要を区切りに考えると、落ち着いて準備を進められます。ただ、掛ける位置などは、お寺や地域、家の習わしで変わる部分もあります。

ここでは一般的な形をもとに、法名軸を用意し、お寺に書き入れを頼んで仏壇に掛けるまでの順番と、過去帳との選び分けを見ていきたいと思います。

そもそも法名軸とは?位牌に代わる浄土真宗の掛軸

明るいリビングで、引き出しの付いた台に載せた明るい木目の仏壇が扉を開き、真宗大谷派の飾りで阿弥陀如来の立像と名号の掛軸をお祀りして、仏壇の中の向かって右の側面に、法名を書いた小さな法名軸が掛けてある写真

法名軸は、亡くなった方の法名を記すための掛軸です。
真宗大谷派の冊子「真宗門徒の生活」でも、仏具の名前の一つとしてそう説明されています。

掛軸は1幅(いっぷく)、2幅と数え、法名軸は1人に1幅が基本になります。
複数の法名を1幅にまとめて記すものは、合幅の法名軸と呼ばれています。

法名は仏の教えを依りどころにする人の名前で、本来は生きているうちに帰敬式(ききょうしき)という儀式を受けて授かるものとされます。

浄土真宗では本来、仏壇に位牌を置きません。
真宗大谷派は、仏壇に位牌を用いず、お札やお守りも一緒にお祀りしないと案内しています。

浄土真宗本願寺派が用いない理由に挙げるのは、位牌の根底に霊の宿る所という意識が残っていることです。
とはいえ今は位牌を用意する家もあり、それを受け入れているお寺もあります。

位牌を用いない理由や、位牌を作る家が増えている今の流れは、こちらの記事で詳しく解説しています。

浄土真宗に位牌は必要ない?過去帳や法名軸と今の時代の流れについて
非常に多くのお客様から過去にお問い合わせいただいた中の1つに、浄土真宗の方の位牌は必要なのか必要でないのかというのがあります。 一般的には …

法名軸は、その位牌に代わって、故人の法名を仏壇にお掛けするものと言えます。
同じく位牌の代わりとして名前が挙がるのが過去帳で、どちらを用意するかは迷いやすいところです。

法名軸と過去帳はどちらを用意する?役割の違いと選び分け

木の箪笥の上に、無地の表紙の過去帳を載せた見台と、巻いて紐を結んだ法名軸が並べて置かれている写真

法名軸と過去帳の違い

横浜市にある真宗大谷派の遊林寺は、過去帳さえあれば法名軸は要らない、という話を聞くことがあると紹介しています。
しかしながら遊林寺の説明を読むと、2つは役割の違うものだと分かります。

過去帳は、その家のご先祖様の法名をまとめて記した帳面です。
それに対して法名軸は、ご先祖様一人ひとりを表し、仏の教えの名である法名を仏壇にご安置するためのもの、と遊林寺は説明しています。
参考)遊林寺「お内仏」

形や置き場所も含めて並べると、次のようになります。

項目法名軸過去帳
形小さな掛軸帳面
記す人数1人に1幅。複数の法名を1幅に記す合幅の法名軸もある家の故人とご先祖様をまとめて1冊に
置き場所仏壇に掛ける。位置は後ほど解説見台という専用の台に載せて仏壇の下の段などに置く。命日や法事のときに出して置く形もある
役割一人ひとりの法名を仏壇にお掛けする家の記録としてまとめておく

本願寺派と大谷派の公式の案内を1つずつ見比べると、取り上げているものにも違いがあります。

本願寺派の公式サイトの「よくあるご質問」は、位牌を用いない理由に続けて過去帳を取り上げています。過去帳はご先祖様の記録帳のようなもので、法名や俗名、亡くなった年月日などを記しておく、という説明です。

対して真宗大谷派の冊子では、仏壇の飾り方の図に法名軸と合幅の法名軸の両方が載っています。

とはいえ、この違いだけでどちらかに決める必要はありません。

どちらか一方か両方か、状況別の目安

どちらを用意するかは、お寺の考えと、仏壇に法名軸を掛ける場所があるかの2点を見ると決めやすくなります。

お寺に考えがあれば、それに沿う

遊林寺のように、法名軸と過去帳の役割をはっきり示しているお寺もあります。
家のお寺に考えがあるなら、それに沿って選ぶのがいちばん迷いの少ない方法です。

お寺の考えが分からなければ、法名軸を用意する前に一度尋ねておきましょう。

両方そろえると、法名軸が増えたときに過去帳が役立つ

法名軸は1人に1幅なので、亡くなった方が増えるたびに本数も増え、いずれ仏壇に掛けきれなくなることもあります。
遊林寺は、そうなったときに大事になるのが過去帳だと説明しています。

過去帳をそのときどう使うかは、後ほど飾り方の章で解説します。

一人ひとりの法名を仏壇に掛ける法名軸と、家の記録をまとめておく過去帳は、補い合う関係にあると言えます。

仏壇に掛ける場所が無いなら、過去帳で

小さな仏壇では、法名軸を掛ける余裕が無いこともあります。
仏壇に合う大きさの法名軸を選んだり、スタンドを使って掛けたりする方法もありますが、それでも場所が取れなければ、過去帳に法名を記しておく形がとれます。

過去帳なら、見台に載せて、仏壇の下の段などに置けます。
過去帳と見台をどう選ぶかは、下の記事が参考になります。

仏具の過去帳・見台の意味や役割と選び方や宗派の違いについて
お仏壇の造り同様、仏具についても様々な意味があります。 また、その役割についても宗派によって重きをおくところが異なりますから、選び方も違いま …

法名軸はいつまでに用意する?四十九日の法要が区切り

法要に向けて座布団を並べた和室で、扉を開いた台付きの仏壇が真宗大谷派の飾りで阿弥陀如来の立像と名号の掛軸をお祀りし、白菊を挿した花立・香炉・ろうそくの灯った火立が並ぶ段の前に三角の打敷が掛かり、その下の段に香炉とおりんが置かれている写真

法名軸は、四十九日の法要を区切りに、それまでに用意しておくのが一つの目安です。法要の中で掛けるか、法要が済んでから掛けるかは、書き入れを頼むときにお寺に確かめておきましょう。

流れを表にすると、次のようになります。

時期やること
葬儀のあとお寺に聞いてから、仏壇店で無地の法名軸を用意する。お寺で作ってもらえることもある
四十九日の法要までお寺に法名の書き入れを頼む
四十九日の法要のころ法名軸を仏壇に掛ける。法要の中か、済んでからかはお寺に確かめる

四十九日までの間、法名と遺骨は仏壇の近くに設けた中陰壇に置き、法要が済んだら中陰壇を片付けて、仏壇をふだんの飾りに戻す、と真宗大谷派は案内しています。


法名軸を掛けるのも、この切り替えの時期に合わせると区切りがつけやすくなります。

中陰壇は、葬儀のあとに自宅に設ける後飾り祭壇と同じもので、飾り方や片付け方は下の記事にまとめています。

後飾り祭壇の飾り方といつまで置くか、中陰壇の並べ方や配置と片付け方
火葬を終えてご遺骨が自宅へ戻るまでの間に、葬儀社が白い布をかけた台を組んでいくのが一般的です。 これが後飾り(後飾り祭壇)と呼ばれるもので、 …

葬儀の直後にすべてを決めなくても、四十九日までの間に一つずつ進めていけば構いません。

書き入れが法要に間に合いそうにないときは、早めにお寺に相談しておきましょう。
仕上がりを待ってから掛ける形でよいかも、その場で確かめられます。

法名軸の選び方|サイズ(代)は仏壇に合わせる

畳の部屋の座卓に、大きさの違う無地の法名軸が3本、小さい順に並べて置かれている写真

仏壇店で法名軸を選ぶ前に、お寺にひと言聞いておくと二度手間になりません。
遊林寺のように、法名軸を作る依頼をお寺で受けているところもあるためです。

法名軸は、仏壇の中央に掛けて手を合わせるご本尊など、ほかの掛軸と基本は同じで、仏壇の大きさに合わせて選ぶことが多いと言えます。

掛軸の大きさは「20代」「30代」のように代という呼び名で表され、数字が大きいほど大きな掛軸になります。

法名軸も代で大きさが分かれているため、店では仏壇の大きさを伝えて、合う代を選んでもらうのが確かです。

法名軸の書き方|書き入れはお寺に頼む

風呂敷に包んだ細長い箱を両手で持った女性が、お寺の玄関に向かって立っている後ろ姿の写真

結論を先に述べておくと、法名軸の法名は、家のお寺に頼んで書き入れてもらうのが一般的な流れになります。

というのも、ご本尊やその両脇の掛軸は絵や文字が描かれた状態で売られていますが、法名軸は何も書かれていない無地のものが店に並ぶことが多いからです。

仏壇店の中には書き入れを受けるところもあれば、受けていないところもあり、どこでも頼めるとは限りません。店で頼みたいなら、法名軸を買うときに書き入れを受けているかを確かめておきましょう。

書き入れるのは故人の法名が中心です。
亡くなった年月日などを添えるか、どこに入れるかは、前もって考えておかなくても、書いてくださるお寺と相談しながら決めていけます。

複数の法名を1幅にまとめたいときは、合幅の法名軸に書き入れてもらう形になります。

お寺にも都合があるので、四十九日の法要までに仕上げたいなら、書き入れは早めに頼んでおきましょう。書き入れのお礼をどうするかはお寺ごとに考えが違うため、分からなければ頼むときに尋ねて構いません。

家が西本願寺の本願寺派か、東本願寺の大谷派かがはっきりしない場合は、書き入れを頼むときに確かめておきましょう。
次の章で解説する、法名軸を掛ける位置を考えるときに役立ちます。

法名軸の飾り方|仏壇のどこに掛けるか

扉を開いた濃い木目の床置きの仏壇が真宗大谷派の飾りで阿弥陀如来の立像と名号の掛軸をお祀りし、仏壇の中の向かって右の側面の板に、法名を書いた小さな法名軸が掛けてある写真

真宗大谷派では、法名軸を仏壇の中の向かって右の側面に掛けます。
遊林寺も、仏壇の中の向かって右側、奥行きにあたる側面の板に掛けると案内しています。

大谷派の冊子「真宗門徒の生活」にある仏壇の飾り方の図でも、法名軸の位置は向かって右の側面です。

参考)真宗門徒の生活 帰敬式を受けられる方へ

ただし同じ大谷派でも、お寺や地域、家で受け継いできたやり方によって掛け方が変わることがあり、右の側面というのは一般的な形と考えておきましょう。

本願寺派の場合、法名軸を掛ける位置は、お寺に確かめておくと安心です。

法名軸が2本以上になったとき

大谷派の冊子の図を見ると、複数の法名をまとめた合幅の法名軸は、向かって左の側面にあります。1人に1幅の法名軸が2本、3本と増えたときに、それぞれをどこにどう並べて掛けるかは、書き入れを頼むときにあわせてお寺に聞いておきましょう。

遊林寺の案内では、仏壇に掛けきれなくなった法名軸は巻いて仏壇の引き出しに大切にしまい、年忌法要のときに出して掛けます。

どれが誰の法名軸かは、そのときに過去帳と照らし合わせて確かめるので、両方そろえておくと役立つというわけです。

ピン留めで掛けるか、スタンドを使うか

法名軸を掛けるときは、ピンのような小さな留め具を仏壇の板に刺す方法のほか、掛軸用のスタンドに引っかけて使う方法があります。
掛軸用のスタンドとは別に、自立する形のものも売られています。

ピン留めは仏壇の板に小さな穴が開くため、気になるならスタンドや自立する形のものを選ぶとよいかもしれません。

どちらにするか迷ったら、掛軸の留め具とスタンドを比べた下の記事を読むと選びやすくなります。

掛け軸選び - 掛け軸や留め具の種類。ピン留めとスタンドどう選ぶ?
お仏壇には様々な仏具を祀ります。 代表的なものとして、最も大切となるであろう「御本尊」やその脇に安置する掛け軸、さらには具足類などが挙げられ …

まとめ

法名軸は故人一人ひとりの法名を仏壇にお掛けするための掛軸で、過去帳は家の記録として法名を1冊に残していく帳面です。

どちらを用意するかは、お寺の考えと、仏壇に掛ける場所があるかで決めると迷いにくくなります。

法名軸は仏壇店で無地のものを選び、お寺に書き入れを頼んでおけば、四十九日の法要を区切りに仏壇へお掛けできます。

故人の法名を仏壇にお迎えする日に向けて、できるところから少しずつ整えていきましょう。

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  • 公開日:2026.10.29

カテゴリ:仏具

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