基本仏具の1つとなる「茶器・茶湯器」
意味と役割から必要な数や宗派の違いや選び方を解説

  • 2017.06.20
  • 2020.04.06

仏具

お仏壇に供える仏具の1つでもあり、以前に解説した「仏器・仏飯器」と合わせて使われる事の多い、茶器・茶湯器について見ておきましょう。

基本仏具の1つでもあり、多くの仏具セットにも入るほど非常に重要な仏具です。

意味やどういった役割があるのか、宗派によって違いがあるのか、また仏具として仏壇に置く際にどこにどう置けばいいのかなど、数や選び方などについてもここで改めて見ておきましょう。

茶器・茶湯器・湯呑について

茶器/茶湯器とは、その名の通り器にお茶やお水を入れる仏具です。
読み方としては、「茶器=ちゃき」、「茶湯器=ちゃとうき(さとうき)」、「湯呑み=ゆのみ」と読みます。

役割や意味としては、私たちが使うのと同じで、仏様の喉の渇きを潤すために使われます。
ここでは、便宜上わかりやすくするため、意図して使い分けする時以外は、基本的には「茶湯器」の表記で記載します。

茶湯器や湯呑みなどの名称の違いについて

茶湯器には呼び名がいくつも種類があります。
例えば、書いている「茶湯器」だけでなく、「茶器」と呼ばれたり、「湯呑み」と呼ばれたり、「湯茶器」などと呼ばれたりします。

ですが、基本的に派あまり深くは考えなくて大丈夫で全て同じ仏具の種類と考えて問題ありません。

茶湯器は元は、仏飯器に蓋が付いていたものが主流でした。
しかしながら、昨今のモダン仏壇やリビングに置く仏壇が主流の1つとなってきた事や、色々な仏具の種類が登場した事で、この蓋が無いタイプの茶湯器も多数登場するようになりました。

伝統型デザインの茶湯器などは、蓋付タイプであったり、台が付いたデザインタイプが多いのですが、一方で、モダン仏具の場合は、ほとんどが仏飯器とデザインが同じになります。

こういった事もあり、仏飯器との見た目の違いや、種類、デザインと区別するという事もあり、茶湯器(湯呑)と記載されたり分別される事も多くなりました。

湯呑みの場合は、茶湯器と違い、本当に私たちが使う湯呑みと同じデザインのものもありますが、主な用途・役割としては基本的に同じになります。

茶湯器も基本は浄土真宗とそれ以外で大きく変わる

茶湯器と一緒に置かれる仏具の仏飯器も同じですが、宗派が浄土真宗系かそうでないかで、やはり茶湯器も大きく変わります。

もっと言うと、この茶湯器に関して言えば浄土真宗では原則として使われません。
浄土真宗以外の宗派では使われますが、浄土真宗では、茶湯器ではなく「華鋲」と呼ばれる仏具を使うため、茶湯器や湯呑みを使わないのが一般的です。

※ただし、厳密な祀り方で使わないというだけで、家庭用などの大型でない仏壇の場合は、そこまで厳格にせず華鋲ではなく茶湯器を置くという事も多いですので、檀家やお寺に確認しておきましょう。

茶湯器の選び方

茶湯器に関しても、どう選ばなければならないというルールは特にありません。
先ほども書いたように、原則としては浄土真宗では使いませんので、浄土真宗以外の宗派で使われます。

材質や素材について

茶湯器も基本仏具の1つとして扱われる事も多いため、非常に多くの種類があります。
伝統型仏壇に祀りやすいデザインの重厚感あるデザインタイプから、今風の仏壇に合わせやすいモダンなデザインの茶湯器まで幅広くあります。

特にこう選ばなければいけないといったルールはありませんので、お仏壇や予算に応じて選びましょう。

材質や素材については、当然用途や価格などによっても大きく変わりますので、下記の記事も参考にしながら最適なものを選ぶようにしましょう。

PC/プラスチック・陶器・真鍮・アルミ・木製など仏具の素材や材質について
仏具に関しては一言で表す事が難しいほどに種類がたくさんあります。 代表的な具足関連の仏具だけでも、十数種類にもわかれ、そこに細かな仏具を入れ …

色について

色についても基本的に選び方は自由です。
伝統型タイプの仏具であれば、多くは黒や紫檀系の色をベースにしたものがほどんどになります。

一方、モダン仏具に関しては色も豊富で、ワインレッドを中心に、ブルー、グレー、ピンク、オレンジ、クリスタルとたくさんあります。

浄土真宗系では基本的に使われる事はあまりありませんが、最近では浄土真宗でありつつも他の宗派と同じように家庭では祀るという方も多くなってきています。

その場合は、浄土真宗本願寺派で伝統型仏壇に祀るのであれば、黒系を、真宗大谷派で伝統型仏壇に祀るのであれば、金色を使うのが一般的です。

モダン仏壇に合わせる仏具であれば、特に決まりもなく各々自由に選んでいますが、ワインレッド系が一番人気が高い色になっています。

茶湯器の数と選び方や置く場所と祀り方

仏飯器の時と同じように、茶湯器は仏壇に何個必要かという事をよく聞かれますが、これも同じように状況に合わせるという事になります。
当然ながら小型仏壇に3つも置く事は厳しいですし、50号を超えるような大型仏壇に1個だけというのもそれはそれで寂しい感じになります。

さらには、同じ宗派であっても、地域やお寺などによっても解釈が違っていたりする事もあるため、確実にこうという事は言えません。
菩提寺などと相談しながらがベストですが、下記は目安として参考にできるようにまとめておきました。

一般的な祀り方

一般的な祀り方としては、1つです。
仏壇のサイズが大型~超大型といった仏壇でない限りは1個で十分です。

そもそも小型仏壇や上置タイプのお仏壇の場合は複数個を置く事は難しいですから、御本尊前に1つ置くのが主流です。

ペアとして使われる仏飯器と茶湯器を、仏器膳と呼ばれる台の上に置くことでより本格的になります。

本格的な祀り方

本格的に祀る時は言い方は悪いですが、本当にバラバラです。
1個のままというところもあれば、仏飯器とペアで御本尊前、脇侍前にそれぞれ1つずつ、計3つという場合もあります。

本格的に祀る場合は、仏壇のサイズや使う仏具のサイズなどによって置ける・置けないが出ててきますし、地域やお寺によっても異なるため、一概にこうと言いにくいのが現状です。

ただ個人的な意見で言えば、よほどの超大型仏壇を置き、全てを忠実に守る本格的な祀り方をという方でない限りは、茶湯器は1個で十分です。
茶湯器を1個、その左右に仏飯器を2個という形が最も本格的な祀り方でも主流となっています。

浄土真宗では使わないけれど使う時は他の宗派と同じ

原則的には浄土真宗では茶湯器は使われません。
茶湯器に限らず、浄土真宗では他の多くの宗派と異なる祀り方や選び方というのが数多く存在しています。

金仏壇や位牌がその代表例ですが、最近ではそこまで厳格なルールに則るという方も減少しています。
いまでは浄土真宗で位牌を置く方も多いですし、金仏壇ではなくモダン仏壇を使うという方も非常に増えてきています。

茶湯器も原則としては使わずに、華鋲を使いますが、最近ではそこまで細かな事にこだわらず、他の宗派と同様に仏飯器・茶湯器の仏具でお参りする方も多くなっています。

仮に浄土真宗で茶湯器を使うという場合は、他の宗派と同じ上記の選び方・祀り方で考えておけば問題ありません。

茶湯器に何を入れどうすればいいのか

茶湯器は最初にも書いたように、仏様のためのお茶やお水を入れる仏具です。
そのため、毎朝にお水や沸かしたてのお茶を、この茶湯器に淹れて御供えをします。

仏飯器と同じくずっと同じお水やお茶を御供えするのではなく、熱が冷めたら下げるというのがルールです。
多くは、朝に仏飯器にご飯を盛り、茶湯器にお茶を御供えし、昼頃に下げるのが良いとされています。

仏飯器のご飯は捨てずにそのままいただきますが、お茶などはそのままながしてしまって問題ありません。

茶湯器は必須な仏具というわけではありませんが、多くの仏具○点セットや具足セットにも含まれているほど、非常に重要な仏具の1つでもあります。

また最近では昔ほどの厳格なルールや宗派毎の決まりにそって行う方も減ってきています。
もちろん、形式や伝統のルールも大切ですし、それにしっかり沿って行えれば一番ですが、何より大切なのはその「心」です。

せっかく水やお茶を入れて御供えしたにもかかわらず、ずっとそのままなどにならないように注意しましょう。

茶湯器は何度も書いてきたように、地域などによっても必要な数や考え方が多少変わることがありますので、しっかりと確認しながら進めていくようにしましょう。

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  • 公開日:2017.06.20
  • 更新日:2020.04.06

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