不要になった仏壇や仏具はどうすれば良い?
買取依頼や中古販売をする時の価格や注意点について

  • 2020.04.09

仏壇 位牌 仏具

大切にしていたお仏壇に傷がついたり、仏具が壊れてしまったりした場合、新しい仏壇・仏具の購入を検討することになります。
それに伴い、古い仏壇・仏具の処分についても検討しなければなりません。

基本的に、仏壇・仏具の処分に関してはお寺・業者を介し、対価を支払って処分してもらうものでした。
しかし、現代ではインターネットの発達に伴い個人取引が活発になったことで、誰もが気軽に仏壇・仏具を自ら買取・販売できるようになりました。

とはいえ、仏壇・仏具に関する専門家でない限り、正確に品定めをして価格を決めるのは難しいです。

書かれている材質や品質が嘘でないか、間違い無いかというのは販売スタッフですら正確に見極めるのは難しいほどですから、一般人で判断できる方はかなり少数です。

そこで今回は、主に個人取引で仏壇・仏具の買取依頼をしたり、中古品として販売したりするケースについて、相場観・注意点に触れつつ紹介してみたいと思います。

仏壇の買取依頼・中古販売は可能でも実際は難しい

まず、原則として言えば、お仏壇の買取依頼や中古販売自体は、保有者の環境にこそ左右されますが可能です。
買取依頼の場合は業者を介して、中古販売は個人取引のプラットフォームを使って、それぞれ手続きを進めていきます。

閉眼供養・魂抜きをすれば、理論上はもぬけの殻

お仏壇や位牌などの仏具には、故人やご先祖様の魂が込められています。
そのため、買取依頼・中古販売を想定しているなら、まずは閉眼供養・魂抜き等の法要をお坊さんにお願いしなければなりません。

法要をしっかりと行ってもらえば、仏壇・仏具は魂がない状態でいわば”もぬけの殻“になり、単なる家具や道具と変わりが無い状態と言えます。
そのため、この状態であれば、一般的な家具などと扱いが同じで問題ありません。

ただ、仏壇などは専門業者でも買取に対して渋い顔をするところがほとんどなので、数万円にもなる魂抜きのお布施分を回収するのは、難しいと考えておいた方がよいでしょう。

昔は忌み嫌われたが、現代では海外から購入されるケースも

そもそもお仏壇と言うのは、数十年・百年単位で家をご先祖様に見守ってもらうために安置されるものです。
よって、どの地域・共同体でも、大切に扱わなければならないものという意識が強かったため、中古品の売買などもってのほかでした。

しかし、現代における価値観の多様化により、そもそもお仏壇自体を買い求めない世代も増えてきたことから、お仏壇を純粋な工芸品として評価する声も増えてきました。

上質の仏壇・仏具に海外の骨董品ファンなどが価値を見出し、高額で購入するケースも見られます。

せっかく美しい出来栄えのお仏壇が、買い替えに伴い価値を見出されず処分されてしまうのは、日本人として「もったいない」という気持ちが生まれても不思議ではありません。

どうせ処分してしまうなら、きちんと価値を理解してくれる人に売りたいと考えるのは、自然な流れと言えるでしょう。

理論上は売る事ができても、現実は厳しいことがほとんど

このように、理論上は中古販売をすることにおいて、特に問題となることはありませんが、現実問題としてそれらが売れるか、中古のお仏壇を買ってくれるかという点で考えれば、非常に厳しいと言えます。

逆にご自身で考えてみたらよくわかるかと思います。
お仏壇を新しく買おう、買い換えよう、と思った際に、中古のお仏壇を探そうといった考えたがよぎったでしょうか。

おそらくほとんどの方で、中古という選択肢は最初から除外されていたはずです。
自分の不要になったお仏壇があって初めて、中古という考えがよぎる事が多く、買う側だけで考えると中古で買おうという選択肢がそもそも無い事がほとんどです。

また、売れるまでまっておけば良いといった考えで長期間、売れるのを待つといった方であれば売れる日がやってくるかもしれません。
しかしながら、お仏壇というのは小型であってもそれなりな場所を取ってしまいますし、大型仏壇であれば言わずもがなです。

そういったものを、売れるまでの長期間、保管しておくというのは、場所も取りますしメンテや掃除なども必要になります。
こういった事から、実際にお仏壇を中古で売るというのは理論上は可能でも、現実は厳しいというのが実情です。

フリマアプリなどで売られているものがあったりしますが、実際には多くは仏壇屋のアカウントが個人に見せかけて売っていたりという事もありますので、売られているお仏壇を見て、中古で売れるかもと大きな期待を持たないよう注意しましょう。

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創価学会系は別で、「出世替え」という選択肢がある

多くの宗派では、お仏壇の買い替え自体は認めていても、中古品を購入・安置することを公的に認めるケースは少数派です。
魂入れ・魂抜きという過程を経たお仏壇であっても、実際に処分されるものと理解しているお寺が多いからです。

しかし、そのような考え方とは一線を画す宗教団体として、創価学会があります。
創価学会では、信仰の対象となるご本尊こそが重要であり、安置するお仏壇の種類に関してはそこまで重要視していません。

ただ、自分が努力したこと・信心したことの証明として、もともとあった小さなお仏壇を大きなものに買い替えることは認められています。
その過程で残ったお仏壇は、一定の相場で買い取られた後、顧客各々の必要とするグレードに応じ中古品として販売されます。

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創価学会では、仏壇・位牌などへの魂入れといった儀式もなく、単純にご本尊を安置するお仏壇が変わるだけという認識です。
このように、宗教団体や宗派によっては、中古品の売買がそれほど抵抗を持たれないケースもあります。

仏具の買取依頼・中古販売はモノによる

続いては、仏具の買取依頼・中古販売についてお伝えします。
お仏壇のような威厳・大きさがなく、仏具によっては汎用性が高いものもあるため、総じて仏具の方が取り扱いに苦労しないものと推察されます。

位牌は名入れしてしまったら売れない

位牌の売買を検討するなら「未使用品」に限られます。
理由は簡単で、すでに何かしらの名前が彫られているものを購入しても、全く意味をなさないためです。

そのため、位牌の中古というのはまず存在しないと考えて良いと言えます。

例としては少数派ですが、死を覚悟していた家族が奇跡的に復活し、もしものために購入した位牌が不要になったケースなどや、浄土真宗などで位牌を買っていたものの、菩提寺から位牌は不要と言われたようなケースです。

こういった場合は、買った位牌そのものが不要になり、名入れもしていないため中古販売を検討する状況が考えられます。

ただ、お仏壇の時と同様、未使用の位牌は売る事は可能ですが、そもそも探す側が中古で探そうと考える人はまずいません。
これから位牌を買おうとしている人が中古で探す可能性が非常に低いため、結果として位牌の中古というのはまず存在しないとなります。

各種仏具はその質によりけり

一口に仏具と言っても、その種類や質は様々です。
素材の話で言えば、木製・金製・プラスチック製・ガラス製など、実に様々な種類があります。

各家のお仏壇によって、安置できるもの・できないものがあり、仏具以外の用途で使えるものかどうかも重要視されます。
現代調のデザインであれば、家具として使えるものも見つかります。

経机・経台などは、高級感が目立ち普段使いできるものも少なくなく、モノによっては高値で取引される可能性は十分あります。
純金の仏具に関しては、その日の金市場によって価格が変動するリスクこそあるものの、総じて高額での買取が期待できるでしょう。

日用品として使えるものは、買取・販売の抵抗が少ない

仏具の中には、線香やロウソクといった、日用品的に使えるものもあります。
このような仏具は消耗品で、多くの家庭で定期的に必要とするため、大幅に相場が下落するとは考えにくいです。

もちろん、よほどのプレミア品でもない限り、価格を吊り上げることは難しいと考えられます。
その代わり必要性は高いため、買い取ってもらえる・売れる確率も高いはずです。

単品の仏具は用途や場合によってはあり

仏具はお仏壇に合わせて選んだりと多くの仏具において宗派に縛りがないものが多いです。
基本となる花立や火立、香炉などはほとんどが全宗派対応で、浄土真宗などを除き、多くの宗派で選ぶのに決まりや制限は特にありません。

そのため多くは仏壇の色見やデザインに合わせて選ぶことが多いですが、季節に応じて買い換えたり追加するという方も多くいます。
夏場などの暑い時期に、黒の仏具を見るより、淡いカラーや明るい色の仏具の方が涼しく感じるといった理由で模様替えする方もいます。

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そのため、いわゆる単品系仏具と呼ばれるようなものであれば、意外と買い足しや模様替えなどで中古市場を探す方もいたりしますので、それなりに仏具の中古市場というのはあるかもしれません。

仏壇・仏具の買取相場や販売価格について

実際に仏壇・仏具を買い取ってもらう、もしくは中古品として販売することを想定した場合、どのくらいの価格帯が相場なのでしょうか。
どちらも売り手・買い手が少ない品のため、必要としている人の特徴や素材の違いなどから、相場を確認することが肝心です。

仏壇は、思っているほど高くならないと覚悟する

まずは、お仏壇の買取・中古販売についてです。
先ほどの解説で、まずお仏壇の中古市場は存在せず売れるとしても稀といった事を書いてきました。

そのため、仮に購入した際は6~7ケタの支払いであったお仏壇であも、中古で販売しようと思うと、かなり安く買い叩かれることを覚悟しなければなりません。

特に、業者を介して買取をお願いする場合は、高くても数万円、安いものは千円単位で買い取られることを想定しておきましょう。
これは、国内のオークションサイトやアプリでも同様で、それほど価格帯が大きく変わるという印象はなく、そもそも出品数も少ない傾向にあります。

よほど材質が特徴的や希少なものでない限りは、売れるとなっても買い換えの費用と同額くらいになるかも?なんて期待を抱いていると見事に砕け散る額にしかならないと覚悟しておきましょう。

また、お仏壇でネックになるのが送料です。
大きければ大きい程、送料はかさみますし、場合によっては送るだけで1万円以上かかるなんてことにもなります。

そのためオークションやアプリなどにあるお仏壇も、自分で発送することを想定してか、あったとしても小型系やミニ仏壇が目立ちます。
大きめのお仏壇は、そもそも国内においてニーズさえないものと考えた方が賢明です。

仏具は、素材や実用性に応じて値段が変わる

仏具の価格は、その素材・実用性が値段を分ける傾向にあります。
仏具として使用できることはもちろん、それ以外の用途でも使えるデザインかどうかで、値段も多少変動があるからです。

オークションサイトでは、お仏壇本体としてではなく、扉や厨子といったパーツごとの出品も見られ、数千円の価格帯で取引されています。
また、木魚やリンなどは、お仏壇を持つ家庭なら必要とする仏具のため、比較的価格が安定しています。

線香・ロウソクは、一品だけで売るなら通販・スーパーの方に分があるのか、多数をまとめた価格で出品している例が目立ちます。
多数ある場合、かえって送料の方が高くついてしまうおそれもありますから、十分注意が必要です。

机に関しては、造りが豪華なものや汎用性のあるものは、比較的高値で取引されます。

痛みが目立つものは安く買い叩かれますが、豪華で金が入った美品は五万円以上するものも見られるため、あまり自宅で使っていないものがあるならオークションを検討してみるのもよいでしょう。

相場に振り回されず、自分が「いくらで売りたいか」を考える

業者を介して売る場合、基本的には業者の言い値を受け入れるしかありません。
相見積もりを取ろうにも、一部を除いて業者も買い取りたくない姿勢を見せるところが多く、お店によって値段が大きく変わることは考えにくいでしょう。

しかし、オークションなどの個人取引で売買を検討するなら、それほど相場に振り回されない出品が可能です。
法外な価格設定は別として、まずは深く考えず、他の商品と比較して「自分がいくらで売りたいか」を考えて値段を付け、反応を見ながら金額を上下させるのがよいでしょう。

オークションで早く売りたい場合は、同じ商品の価格帯をチェックした後、それよりも少々安い値段で出品すると、反応が良くなる傾向にあります。
送料なども勘案しつつ、損にならない範囲で価格を調整しましょう。

仏具などの場合、仮に家で売れるまで保管するとなってもそこまで場所を取る物でもありません。
お仏壇のように早く処理をしなければ日常生活に影響が出ることもないため、ある程度長期戦を考えてやってみると忘れた頃に売れるといった事もあるかもしれません。

仏壇・仏具の買取依頼・販売をする際の注意点

最後に、実際に仏壇・仏具の買取依頼・販売を検討するなら、いくつか注意しておきたい点があります。
特に、あまりいないとは思いますが、素人で転売屋のようなことを考える方などがいたとしたら、仏壇・仏具の分野は失敗する確率が高いため、しっかりと戦略を立てることが重要です。

仏壇も仏具も、素人が仕入れて売るには適さない

仮に、どれほどモダンな仏壇であっても、どれほど汎用性の高い仏具であっても、仏壇・仏具は素人向けの商品とは言えません。
もともと、一般家具や日用品に比べてニーズが限定的なのに加えて、各家庭の規模に応じて必要なサイズ・デザインが異なるためです。

また、そもそもの市場自体が縮小傾向にありますし、仏壇や仏具を買う時に中古を探そうという層は多くありません。
わざわざモノを個人で仕入れて販売するというのは、よほどの知見がなければ軌道に乗せるのは難しいでしょう。

転売の延長で仏壇・仏具を取り扱うのは、避けた方が賢明ですし、買い換えなどで不要になったり、買ったもののもう使わないといった場合での中古販売というケース以外は避けるのが無難です。

オークションに出すなら海外を視野に入れるのも1つの手

事業として行うのは別にして、個人取引で不要になった仏壇・仏具を売ること自体は、過度な期待をしなければ取り組んでも差し支えないでしょう。
ただ、金仏壇・唐木仏壇で状態が良いものなら、あえて海外オークションを視野に入れてみるのも一つの方法です。

一例として、世界中で使われているオークションサイト「e-bay」では、国内で業者に売ればせいぜい数千円のところ、五十万円以上の価格で仏壇が売られていることもあります。

海外製の仏壇・仏像も出品されていることから、思わぬ品が高値で取引される可能性があるため、高値で売りたいなら海外を視野に入れましょう。

海外販売で障壁となるのは英語ですが、現代ではGoogle翻訳などの精度も上がっているため、かんたんな文章なら自作して貼り付けられます。
やり取りも、辞書を片手になら何とか対応できる人は多いでしょうから、まずは試しにやってみることをおすすめします。

フリマアプリは「買い叩き文化」と心得る

オークションサイトは、少額で出品したものが高値になる可能性を秘めています。
これに対して、フリマアプリを使って販売を検討するなら、ユーザーに買い叩かれることを覚悟しなければなりません。

フリマアプリは、最初に出した値段から、どのくらい下げられるかを基準にユーザーが判断する文化が根付いています。
これは、多くのフリマアプリに値を吊り上げる機能がないことに理由があります。

思い立ったら即出品できる反面、システムの構造上価格を値上げすることが難しく、購入する側も値下げ交渉に積極的です。
その反面、安くすれば思わぬ買い手が現れるチャンスもあり、とにかく品をさばきたい場合は有効です。

個人取引を検討している場合、オークションサイトとフリマアプリの違いを理解して、自分の希望に合った売り方を選びましょう。

おわりに

仏壇・仏具の買い替えの傾向として、宗派・宗教によっては積極的な買い替えを認めているケースもありますが、基本的には壊れた・傷が付いたなどの理由で買い替える人が多数派です。

業者経由で仏壇・仏具の処分を検討する場合、その分安く買い叩かれることを想定しておく必要があります。
しかし、魂抜きなど所定の儀式を踏んだ仏壇・仏具に関しては、個人取引等で処分することもできます。

オークションサイト・フリマアプリなどを使って売買すれば、時に相場以上の金額で売れる可能性を秘めていますから、仏壇・仏具だからといってあきらめないことが大切です。

ただ個人的な意見を述べるのなら、そういった諸々の調査や手続き、やり取りなどを経て、実際に販売して得られる金額はよほどの事がないかぎり見合わないと感じます。

それをするくらいなら、買い換え時にそのまま処分してもらったり、買い換えでまとめ買いをするため値引きしてもらった方が時間も費用も一番お得になるのではないかと思いますので、個人的には無駄がかなり多いためオススメしたいとは思いません。

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  • 公開日:2020.04.09

カテゴリ:仏壇, 位牌, 仏具

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