仏壇は修理か買い替えのどちらが良いのか。
傷み別の決め方とお洗濯の費用の目安について

  • 2026.10.23

仏壇

親から引き継いだお仏壇の扉が閉まりにくくなった、金箔がくすんできたと気づいたとき、修理して使い続けるか、新しく買い替えるかで迷うことがあります。
親が長く手を合わせてきたお仏壇だけに、すぐには決めにくいかもしれません。

先に結論をお伝えすると、傷みが扉や金具などの一部にとどまっていれば、部分修理やクリーニングで済むのが目安です。

全体に傷みが及んでいるなら、ばらして作り直す「お洗濯」ができる作りかを確かめ、修理の見積もりと新しいお仏壇の値段を並べて決めていきます。

いま売られているお仏壇は手頃な値段のものが多く、お洗濯をするより新しく買うほうが安く済む場合が少なくありません。お洗濯で直すのは、どちらかというと、伝統的な作りの金仏壇や唐木仏壇が中心になっています。

とはいえ、直して使い続けても新しく迎えても、ご先祖様を大切に思う気持ちに変わりはありません。ここでは傷みに合わせた修理の選び方から費用の目安、買い替えを考えたい場面までを見ていきたいと思います。

そもそも仏壇のお洗濯とは?修理の種類と違い

板の間の部屋で、低い箪笥の上に置いた長年使われてきた唐木の上置き仏壇が扉を開いてご本尊と掛軸をお祀りし、下の段に花立・香炉・火立が並んでいる写真

仏壇の修理には、ざっくりと大きく分けると、部分修理、クリーニング、お洗濯があります。

修理の種類どんな修理か
部分修理扉のがたつきや金具、小さなキズなど、傷んだところだけを直す。金箔や塗りを一部だけ直すものも含む
クリーニングほこりや線香のすすなどの汚れを落とし、艶を戻す。キズや剥がれは直さない
お洗濯お仏壇をばらして洗い、下地から作り直す

お洗濯では、ばらした部材を洗って乾かし、下地の割れや欠けを補修したうえで、金具を磨き、塗り直しや、金仏壇なら金箔の貼り直しをしてから組み立てるとされます。

新しく作るときに近い工程をたどるため、「完全修復」と呼ぶ店もあります。

ただ、お洗濯という呼び方が指す範囲は店によって変わり、洗ったうえで、使える金箔や塗りは残し、傷んだところだけを直すものを簡易なお洗濯として分けている店も見られます。

どこまでしてもらえるかは、見積もりで確かめておきましょう。

傷み別に見る、仏壇の修理か買い替えかの決め方

畳の部屋で、扉を開いてご本尊と掛軸をお祀りした床置きの唐木仏壇の前に、男性が座って仏壇を見ている後ろ姿の写真

どこまで直すかは、傷みが一部か全体か、汚れなのか下地まで及んでいるのかで、おおよその見当がつきます。

傷みの様子対応の目安
ほこりや線香のすすで、全体がくすんで見える掃除で戻ればそのまま使う。戻らなければクリーニング
扉が閉まりにくい、がたつくネジのゆるみなら締め直す。直らなければ部分修理
蝶番や金具に緑色のさびが出ている部分修理
内扉の障子が破れた部分修理(貼り替え)
塗りや金箔の一部の剥がれ、小さなキズ部分修理
引き出しの奥に白い斑点のようなカビが出た早めに相談する。金箔まで広がると貼り直しが要る
金箔や塗りが全体に色あせ、剥がれている。反りや大きな割れがあるお洗濯。作りによっては買い替えも候補
表面の木目の印刷が剥がれた直しにくく、買い替えも候補

何年たったら直すという目安は、修理の種類や店によって10年ほどから50年以上までと開きがあります。
年数で区切るより、いま出ている傷みを見て決めるほうが迷いにくいと言えます。

まずは掃除で戻るかを確かめ、自分で直すのは最小限に

ほこりやすすによるくすみなら、修理を頼む前に掃除で落ちるかを確かめてみましょう。掃除の手順は、金箔を傷めないやり方も含めてこちらの記事で解説しています。

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自分で直すのは、扉のネジのゆるみを締め直す程度にとどめるのがよいとされます。
割れや剥がれ、外れた金具は、それ以上触らずに修理を頼みましょう。

蝶番や引き出しといった交換用の部品は、仏壇店でも売られていることは稀で、ネットの店でもほとんど見かけません。

仮に手に入るとしても、すぐというのは厳しく、店でカタログを見せてもらって取り寄せる形になると思われます。

外れた部品は捨てずに取っておき、修理のときに見てもらいましょう。

扉・金具・障子や一部のキズは、部分修理が目安

長く使ううちに扉に歪みが出て閉まりにくくなっても、扉まわりだけを直す部分修理で元のように開け閉めできるようになるとされます。

金具に出る緑色のさびは湿気によるもので、進むと金具がもろくなり、重い扉を支える蝶番が急に外れることもありますが、気づいたときに見てもらえれば、部分修理で済むうちに手を打てます。

内扉の障子が破れたときは、貼り替えで直せます。
自分で貼り替えられるかは、障子の手入れを取り上げたこちらの記事を読むと判断しやすくなります。

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塗りや金箔の傷みが一部だけなら、傷んだところだけを塗り直したり、金箔を貼り直したりする方法があります。

引き出しの奥のカビは塗りから金箔へ広がることもあるので、早めに相談しておくと安心です。

全体の色あせや下地の傷みは、お洗濯か買い替えを比べる

傷みが全体に及んでいても、汚れによるくすみが中心で、塗りや金箔が剥がれておらず下地にも割れが無ければ、クリーニングで足りる場合があります。

塗りや金箔の色あせや剥がれが全体に広がっていたり、下地まで傷んでいたりすればお洗濯、というのが修理を受けている店の示す目安です。

お洗濯にするか買い替えるかは、お仏壇の作りと修理にかかる費用を見比べて決めることになります。

お洗濯できるかどうかは、仏壇の作りで変わる

フローリングの部屋に置かれた、ウォールナット色の家具調の床置き仏壇が扉を開き、ご本尊と掛軸をお祀りしている写真

ばらして組み直せる作りは、お洗濯に向く

お洗濯は、お仏壇をばらせることが前提になる修理です。
滋賀県は彦根仏壇について、部品が職人から職人へ渡って仕上げられるため、「ほぞ組み」という分解可能な構造になっていると説明しています。

東京都の紹介でも、唐木や桑の木目を生かした東京仏壇は、ほぞ組みなどによる組立式の作りとされています。

ほぞ組みは部材の凹凸をはめ込む組み方で、ばらして洗い、傷んだところを直してから組み直せると言われています。お洗濯は金仏壇で行われることが多いとされ、唐木仏壇でも受けている店があります。

しかしながら、仏壇店の側から見ると、いま出回っているお仏壇は国産より海外で作られたものが多く、手頃な値段のものが中心になっています。

ばらして組み直せる作りのものは、あまり多くないというのが実情かもしれません。
お洗濯までして使い続けるのは、古くからの伝統的な作りの金仏壇や唐木仏壇がほとんどだと感じます。

手元のお仏壇がばらせる作りかどうかは見た目では分かりにくいので、見積もりのときに修理を受けている店に見てもらいましょう。

木目の印刷やばらせない作りは、お洗濯に向きにくい

家具調仏壇(モダン仏壇)も唐木仏壇も、表面の作りはさまざまです。
芯の板に天然木の薄い板を貼ったものや、練りと呼ばれる厚い板を貼ったものもあれば、木目を印刷したプリント調のものもあります。

このうち、表面が木目の印刷のもの、芯の板にボード類を使ったもの、ばらせない作りのものは、下地からのお洗濯には向かないことが多いとされます。

手元のお仏壇の表面が印刷か板貼りかは、買ったときの品質表示やカタログに「正面表面材」の欄があれば、そこで確かめられます。
見当たらなければ、見積もりを頼むときに一緒に尋ねてみましょう。

品質表示に並ぶ言葉の意味を知りたいときは、お仏壇の加工方法をまとめた下の記事が役に立ちます。

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仏壇の修理費用と期間の目安

食卓の上で、閉じたノートとペンのそばに両手を重ね、湯呑のお茶を前に考えている手元の写真

仏壇の修理費用は店ごとの開きが大きく、1つの相場としては示しにくいところがあります。

ここでの金額は、修理を受けている店がサイトに載せている目安を並べたもので、いつ時点か書かれていないものも多く含みます。

部分修理・クリーニング・お洗濯の費用と期間

修理の種類ごとに、費用と期間の幅をまとめると次のようになります。

修理の種類費用の目安期間の目安
部分修理1か所なら数千円〜数万円。箇所が増えると10万円を超えることも数日〜数週間
クリーニング数万円〜20万円台が中心。金仏壇は唐木仏壇より高め数日〜1か月前後
お洗濯小さなものでも10万円台から、店によっては数十万円から。金仏壇は数十万円以上の金額が並び、100万円を超えるものもある金仏壇で2〜4か月前後。唐木仏壇はそれより短め

金仏壇と唐木仏壇とでは、同じ修理でも費用が倍ほど開くことがあるとされます。
部分修理では、金箔の貼り直しが15,000円から、漆の塗り直しが3万円から、という目安も見られます。

店によって金額に数倍の差が出る理由

修理の金額が店によって数倍も違って見えるのは、次のような違いが重なっているためです。

  • どこまで直すか(洗うだけか、塗り直しや金箔の貼り直しまでするか)
  • 金仏壇か唐木仏壇か
  • サイズを号数で示すか、扉や台の幅、高さで示すか
  • 税込か税別か
  • いつ時点の金額か

金額だけを並べても比べにくいので、同じ中身で見積もりを取ることが大切になります。
見積もりで確かめたい点は、後の章で詳しく解説します。

修理より買い替えを考えたいとき

引っ越したばかりの部屋で、まだ開けていない段ボール箱のそばの低い棚に、ご本尊と掛軸をお祀りした小ぶりの上置き仏壇が置かれている写真

修理の見積もりが、新しい仏壇の値段に近いとき

修理の見積もりが出たら、同じ種類の新しいお仏壇の値段と並べてみましょう。
昔ながらの形の唐木仏壇と金仏壇なら、いまの値段の目安は次のとおりです。

種類上置き台付き(床置き)
唐木仏壇安いもので5万円〜6万円。少し彫りのあるプリント調のもので8万円〜9万円、木材や練りにこだわったもので10万円〜20万円プリント調で12万円〜13万円くらいから。彫りや木材、サイズによって20万円、30万円、40万円と上がり、希少な木材なら100万円以上のものも
金仏壇金の飾りがほとんど無いもので10万円を切るくらい。彫りがあるなど金仏壇らしい見た目のものは20万円前後が多い安いもので30万円くらいから。凝ったものは40万円、50万円と上がる

家具調仏壇なども含めれば値段の幅はさらに下へ広がり、安いものなら上置きで1万円台から、床置きでも10万円前後かそれ以下で選べます。

お洗濯は小さなものでも10万円台からかかるので、プリント調の唐木仏壇や手頃な家具調仏壇なら、直すより新しく買うほうが安く済むことが多いです。

金仏壇のお洗濯は数十万円以上の金額を示す店が多いため、いま売られている金仏壇の値段より高くつく場合も考えられます。

逆に、同じ作りの新しいお仏壇と比べるなら、伝統的な作りの金仏壇や唐木仏壇のお洗濯は、その半分から6割ほどで済むとする店もあります。

親から引き継いだお仏壇であれば、費用の差だけで決めなくても構いません。

置き場所が変わるときや、この先守る人がいないとき

修理をしても、お仏壇のサイズは変わりません。
住み替え先に今のお仏壇が入らないなら、小さなお仏壇への買い替えが候補になります。

台付きのお仏壇も、今はやや小ぶりなものが中心になってきているため、今のお仏壇を小さく作り直すリメイクを受ける店もありますが、仕上がりまで数か月かかるとされます。

この先お仏壇を守る人がいないなら、修理でも買い替えでもなく、仏壇じまいという選び方もあります。
仏壇じまいの手順や供養の考え方は、こちらで詳しく解説しています。

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修理や買い替えの前に確かめておきたいこと

リビングの窓辺で、電話をかけている女性の後ろ姿の写真

買ってからの年数が浅いなら、買った店の保証を見る

年数の浅いお仏壇なら、修理を頼む前に、買った店の保証が使えるかを見ておきましょう。

お仏壇の保証の範囲はそれほど広くなく、届けて設置したときに扉の建て付けや木の欠けなどの問題が無いかを見るところまで、という店が多くなっています。

年月がたってから出た塗りの剥がれや金具の不具合まで対象になるかは、手元の保証書で確かめられます。

保証で直してもらえるのは、基本的にそのお仏壇を買った店に限られます。
ほかの店で直してもらう場合は保証が使えず、費用がかかると考えておきましょう。

見積もりはいくつかの店で取り、どこまで直すかを確かめる

仏壇店の中には、売るだけで修理は受けていない店もあります。
修理を受けている仏壇店や、修理を専門にする店に頼み、いくつかの店で見積もりを取って比べましょう。

見積もりのときに確かめておきたいのは、次のような点です。

  • どこまで直すか(ばらすか、塗り直すか、金箔を貼り直すか)
  • お仏壇の運び出しと届けの費用が含まれているか
  • 仕上がるまでの期間
  • 作業の途中で追加の費用が出たときの扱い
  • 仕上がったあとの保証

ばらさずに表面だけを塗り直す方法もあり、どこまで手を入れるかで仕上がりの持ちも費用も変わってくるとされます。家に来てもらって見積もりを受けたときも、その場で決めずに、ほかの店と比べてから頼めば落ち着いて選べます。

修理に出している間のご本尊とお位牌

お仏壇を修理に出している間、仏像や掛軸でお祀りしているご本尊とお位牌は、家の中に安置しておくか、法事などでお世話になっている菩提寺に預けるのが目安とされます。

元の場所に簡単な祭壇を設けてくれる店や、代わりのお仏壇を貸してくれる店もあります。

お洗濯は数か月かかるので、法事の予定があるなら見積もりのときに伝えておきましょう。日程に合わせて期間を調整している店もあり、早めに相談しておけば慌てずに済みます。

修理や買い替えのときの供養は、宗派と菩提寺で変わる

修理の前後には魂抜きと魂入れが要る、と案内されることがあります。
実を言えば、浄土真宗ではこの考え方そのものが違います。

真宗大谷派では、新しくお仏壇を求めてご本尊を安置したときや、ご本尊をお移しするときに、御移徙(おわたまし)という法要を勤めます。

浄土真宗では「ご本尊に新しい魂や性根を入れるという受けとめはありません」というのが、大谷派の説明です。
参考)お仏壇(お内仏)のこと

浄土真宗本願寺派は、新しいお仏壇にご本尊を迎える法要を入仏法要と呼んでいます。本願寺派の寺院には、引っ越しや修理などでご本尊を一時的に移すときに遷仏式(せんぶつしき)を勤める、と説明しているところもあります。

日蓮宗と天台宗は、お仏壇をお祀りするときに、菩提寺へ開眼法要を頼むよう案内しています。

宗派の公式の説明は、新しく迎えるときやご本尊を移すときのもので、修理に出すときのことには触れていません。お仏壇を預ける前に菩提寺へ相談しておけば、どのような法要がふさわしいかを確かめられるので安心です。

買い替えると決めたら、古いお仏壇を手放す前の供養や処分の方法は、次の記事を参考にしてください。

お仏壇の買い換え時の処分や閉眼供養・魂抜きからお炊き上げの手段や方法と注意点
1つのお仏壇をずっと使い続けられれば良いのですが、住宅環境の変化や生活環境の変化に伴い、買い換えが必要になってくる場合もあります。 そんな …

まとめ

仏壇の修理か買い替えかは、傷みの広がり、お仏壇の作り、費用の順に見ていくと決めやすくなります。

傷みが一部なら部分修理やクリーニングが目安で、お洗濯は主に伝統的な作りの金仏壇や唐木仏壇に向いていると言えるかもしれません。

プリント調など手頃なお仏壇は、直すより新しく買うほうが費用を抑えられることが多いようなので、修理の見積もりと新しいお仏壇の値段を並べて比べてみましょう。

供養のことは、菩提寺に確かめておけば迷わずに進められます。
どちらを選んでも、これまでお仏壇に込めてきた思いはそのまま受け継がれます。

家族で納得して決めたお仏壇に、これからも変わらず手を合わせていきましょう。

  • 公開日:2026.10.23

カテゴリ:仏壇

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