喪中のお正月、仏壇はどうすればいい?
鏡餅やお供え・お参りの考え方について徹底解説

冬の朝の和室で、扉を開いて本尊と掛軸を祀った仏壇に、台に載せた小さな白い鏡餅が一対供えられ、その前で家族2人が並んでお参りしている後ろ姿の写真

親や身内を見送ってから初めて迎える、喪中のお正月。
仏壇に鏡餅を供えてよいのか、年末の準備をしながら手が止まっている方もいるかもしれません。

お供えはいつもと変えたほうがよいのか、仏壇の扉は閉めるのか、花はどうするのか。宗派によって違うのかどうかも、知っておきたいところでしょう。

先にお伝えすると、喪中のお正月も、仏壇へのお参りはふだんどおりで大丈夫です。
鏡餅は、年神様を迎える正月飾りとしてのものと、仏壇に供えるものを分けて考えると整理がつきます。

仏壇の鏡餅をどうするかは、宗派や地域、家によって考え方が分かれます。
四十九日が明ける前にお正月を迎える場合は、葬儀や法事でお世話になっている菩提寺に確かめておきたいことも出てきます。

ここでは宗派やお寺、神社庁の説明をもとに、鏡餅とお供え、扉の扱い、四十九日前にお正月を迎える場合までを見ていきたいと思います。

喪中のお正月も、仏壇へのお参りはふだんどおりで大丈夫

冬の朝のリビングで、扉を開いて本尊と掛軸を祀った仏壇にろうそくが灯され、その前の座布団に座ってお参りする女性の後ろ姿の写真

喪中に控えるとされているのは、年賀状のやりとりや新年を祝う行事のほうです。
仏壇で故人やご先祖様を供養することは、お祝いとは分けて考えて差し支えありません。

鏡餅のような正月飾りをどうするかは、次の章で詳しく解説します。

四十九日の間も喪中も、仏壇の供養は続けてよい

亡くなってから四十九日までの間は、仏壇とは別に後飾り祭壇(中陰壇)を設けて故人をまつります。

浄土宗の辞典である新纂浄土宗大辞典は、その間も仏壇では香や花、お茶、灯明の供養を通常どおり行う、と説明しています。

浄土真宗の真宗大谷派も、四十九日の間の仏壇の飾り方を示しており、こちらは後の章で詳しく解説します。

同じ辞典は、四十九日を迎えたら後飾り祭壇を片付け、位牌を仏壇に移すとも書いています。
四十九日が明けた後の喪中も、仏壇にはいつもどおり手を合わせて大丈夫です。

忌中と喪中の違いは?四十九日が明けているかで考える

忌中と喪中の区切りについて、神社本庁は、忌を故人のおまつりに専念する期間、服を故人への哀悼の気持ちを表す期間と説明しています。

地域に慣例が無い場合は、亡くなって50日目の五十日祭までを忌、一年祭までを服とするのが一般的とのことです。

忌中はこの忌の期間を、喪中は服の期間までを含めた1年ほどを指す、と考えると分かりやすいでしょう。
仏式では、四十九日の法要を終えると忌明けとなります。

神社庁の中には、忌を死の穢れがある間に身を慎む期間と説明するところもあります。浄土真宗では、この忌と喪の受け止め方が少し違います。

真宗大谷派は清め塩についての説明の中で、亡くなった方を不浄なもの、穢れたものとはとらえない立場を示しています。

その流れで、浄土真宗には喪に服するという考え方そのものが無い、と2018年や2020年に説明したお寺もあります。

喪中の鏡餅はどうする?年神様の鏡餅と仏壇の鏡餅を分けて考える

食卓のお盆の上で、仏壇に供えるための小さな白い鏡餅を、一対の黒塗りの台に1つずつ載せている手元の写真

喪中は鏡餅を飾らないもの、と耳にしたことがある方もいるでしょう。
鏡餅には、年神様を迎える正月飾りとして神棚や床の間に供えるものと、仏壇に供えるものがあります。

神社庁やお寺が喪中に控えるものとして挙げているのは、前者の年神様を迎える正月飾りのほうです。
仏壇に供える鏡餅については、宗派や地域ごとに考え方が分かれます。

年神様を迎える鏡餅は、喪中は控える習わしがある

北海道神社庁は、門松は年神様を迎えるためのもの、鏡餅は年神様へのお供え物とされてきた、と説明しています。
神棚や床の間の鏡餅は、お正月に訪れる年神様をもてなすためのものと言えます。

そのため、家族を亡くした年には、門松やしめ飾りなど年神様を迎える正月飾りを控える習わしがあります。
ただ、どこまで控えるかは、神社庁の間でも説明が分かれるところです。

北海道神社庁は、忌明けの後も喪中の1年間は門口の正月飾りを遠慮するとしていますが、家の中の鏡餅までは挙げていません。
福島県神社庁は、忌明けをしていればお正月を迎えて差し支えないという立場です。

お寺でも、お正月には仏前に鏡餅を供える

鏡餅は、お寺の仏前にも供えられてきました。

新纂浄土宗大辞典は、鏡餅を正月などに神仏に対して供えられる餅と定義し、年の初めにお寺で営む修正会(しゅしょうえ)でも仏前に鏡餅を供えると書いています。

辞典は鏡餅に年神様が宿るとする民俗学の見方も紹介しており、そのうえで仏前に供える鏡餅にも触れているわけです。

仏壇の鏡餅も、年神様を迎える正月飾りと同じものとは限らないと言えます。
参考)新纂浄土宗大辞典「鏡餅」

喪中の鏡餅は宗派で違う?浄土真宗・浄土宗・曹洞宗の場合

宗派の公式サイトや本山、教区などの説明から、喪中のお正月と鏡餅に関わるところを抜き出すと、次のようになります。

宗派説明の内容説明しているところ
浄土真宗(真宗大谷派)家庭の仏壇にも、お正月は鏡餅を供笥(くげ)という台に盛って供える真宗大谷派大阪教区(2017年)
浄土宗公式サイトのよくある質問に、喪中やお正月を扱った問いは無い。家の中の鏡餅は飾ってもよいとするお寺がある浄土宗の公式サイト(よくある質問)、玉圓寺(2016年)
曹洞宗新年のお寺や神社へのお参りについて、喪中の過ごし方は「地域により様々な考え方があります」とし、菩提寺や近所の神社への相談を勧める曹洞宗の公式サイト
臨済宗・真言宗豊山派・天台宗・日蓮宗公式サイトのよくある質問や年中行事などの説明に、喪中のお正月の仏壇を扱ったものは無い各宗派の公式サイト

参考)曹洞宗「よくあるご質問(FAQ)」

表に挙げた資料には、喪中だからといって仏壇の鏡餅を控えるよう定めた説明はありません。

浄土真宗以外の家では、仏壇に鏡餅を供えるかどうかは、宗派の決まりというより、家や地域の考え方で決めることになります。

お正月の仏壇の飾りについて説明がまとまっているのは浄土真宗で、ほかの宗派は公式の説明があまり多くありません。

そのうえで決め方の目安を挙げると、四十九日が明けている浄土真宗の家であれば、資料に沿ってお正月の飾りとして仏壇に鏡餅を供えてよいと言えます。

ほかの宗派で迷うときは、菩提寺に聞いてみるのが確実です。
菩提寺が無い、あるいは聞きにくいときは、門口の正月飾りは控え、仏壇の鏡餅は家族で話し合って決める形にすると無理がありません。

外に向けた飾りは控え、家の中は飾ってもよいとする玉圓寺の考え方とも重なる決め方です。

そもそも家の宗派が分からないときは、仏壇や位牌、お墓から調べる方法を下記の記事で詳しく解説しています。

宗派がわからない時の調べ方|仏壇・位牌・お墓で確かめる5つの方法
仏壇や位牌を用意する段階になって、うちは何宗だったっけ…?というところで手が止まってしまうことがあります。親から聞いた覚えはあるものの、はっ …

仏壇に鏡餅を供えるときの置き方

仏壇に鏡餅を供える形まで具体的に説明されているのは、浄土真宗です。
供笥に鏡餅を盛り、一対で供えるのが基本の形になります。

2023年の説明で、供笥が無ければ高坏で代わりにすることもあり、仏壇の中に入りきらないときは横に台を置いて供えればよい、と書いている本願寺派のお寺もあります。

喪中のお正月に仏壇へ供えるものと花・飾り

和室で扉を開いて本尊と掛軸を祀った仏壇に、白と黄色の花、香炉とろうそく、一段上に小さな器のご飯とお茶、両端の高坏に果物とお菓子が供えられている写真

この章は四十九日が明けている場合を中心にまとめ、四十九日前の飾りは後の章で詳しく解説します。

喪中でもお供えはいつもどおりでよく、お正月らしい物を加えるかどうかは宗派と家の考え方で決めて構いません。

喪中のお供えは、ふだんの供え物を基本に

多くの宗派で、仏壇のお供えは香・花・灯明・水・飲食の五供(ごくう)が基本です。お線香を焚き、花を供えてろうそくを灯し、お水やお茶、ご飯を供えるという毎日の流れが、そのまま喪中のお正月の供養になります。

2023年の説明で、お正月のような特別な日には、ご飯に加えてお餅やお菓子、果物を供えるとよい、とする浄土真宗のお寺もあります。
ただし真宗大谷派では、仏壇に水やお茶は供えず、故人の好物を供えることもしません。

大谷派の大阪教区は2017年の説明で、いただきものや季節の初物は、仏壇の外にお盆や机を置いて供えれば仏壇の飾りを乱さずに済む、としています。

これは大谷派の作法として示されているもので、宗派によって仏壇の中に何を供えるかの考え方は変わってきます。

花は、四十九日の前と後で選び方が変わる

四十九日の間は、真宗大谷派では仏壇の花立に樒(しきみ)ではなく色の無い青い木の花を用い、色のある花は使いません。

四十九日が明けた後の花の色について、浄土真宗本願寺派は、法事の飾りの説明で、三回忌までは花やお供え物の色も「なるべく赤色を避けておかざりするようです」と書くにとどめています。

派手な色が気になるなら、白や淡い色など控えめな花でまとめると落ち着きます。
いつも供えている花のままにするか、色を控えるかは、家族の気持ちに合わせて選んで構いません。

浄土真宗は、お正月に鏡餅や打敷で仏壇の飾りを整える

浄土真宗では、お正月の仏壇をふだんより改まった飾りに整えます。
真宗興正派の本山興正寺は、お正月には鏡餅を一対供えて法要の時と同じ飾りにし、花には松を用いるとしています。

打敷という飾り布を、仏壇で仏具をのせる台に掛けるのも、お正月の飾りの一つです。

先の表で挙げた大谷派大阪教区の説明では、打敷は法事やお盆、お正月、四十九日の間などに限って用い、ふだんは用いないとされています。
参考)真宗大谷派大阪教区「お内仏のおかざりのしかた」

打敷の形や掛け方を確かめたいときは、こちらの記事が参考になります。

打敷の意味や役割と三角・四角の違いや選び方や配置・仏具の置き方と宗派での違い
お仏壇を真正面から見たとき、その荘厳さに思わず手を合わせたくなるのは、日本人独特のDNAかもしれません。 その理由の一つに、仏壇から醸し出 …

これらの説明に、喪中の年だけお正月の飾りを変えるという区別は見られません。

ただ、具足の数やろうそくの色は、派やお寺によって扱いが違います。
浄土真宗本願寺派は、法事のときはふだんの三具足(香炉・火立・花立)を、できれば火立と花立を一対ずつにした五具足(ごぐそく)にする、と説明しています。

ろうそくの色も、本願寺派が法事では三回忌まで白とする一方、大谷派のお寺には、お正月に朱色のろうそくを用いるとしているところもあります。

喪中のお正月に五具足にするか、ろうそくを何色にするかは、菩提寺に聞いてそのやり方に合わせると迷わずに済みます。

喪中に仏壇の扉は閉める?神棚封じとの違い

冬の朝の部屋で、扉を左右いっぱいに開いて本尊と掛軸を祀った仏壇にろうそくと線香が灯され、前に座布団が置かれている写真

喪中も、仏壇の扉を閉めておく必要はありません。
それでも迷うときは、神棚と仏壇を分けて考えてみると見通しがよくなります。

白い紙で覆う神棚封じは、神棚の作法

家族が亡くなると、神棚の扉を閉めて正面に白い紙を貼り、忌明けまでお供えやお参りを控えます。これを神棚封じと呼び、忌明けを迎えたら白い紙を外して神棚のおまつりを再開します。

封じておく期間は、地域の慣例が無ければ、忌とされる五十日祭までが目安です。
神社本庁や各地の神社庁の説明も、この神棚のおまつりを対象にしています。

神棚封じは神棚のための作法で、仏壇の扉まで閉めるものではありません。
神棚が無く仏壇だけの家であれば、神棚封じのことは考えなくて構いません。

仏壇の扉は、喪中も閉めずにお参りしてよい

四十九日の間も仏壇での供養を続けることは、最初の章で解説したとおりです。
真宗大谷派の浄立寺も、四十九日の間は仏壇の扉を開けてお供えをすると書いています。

扉はいつもどおりに開け閉めして、お参りを続ければ十分です。
一方で、扉を閉めるという考え方もあります。

曹洞宗の永祥寺の住職は、2017年の記事で、四十九日までの仏壇の扉について、閉じるべきとする考えと開けておくべきとする考えを並べたうえで、「どうするか迷ったら開けておいて下さい」と書いています。

お正月の間だけ扉を閉めると聞いたときも含め、家や地域に閉める習わしがあったり、菩提寺から閉めるように言われていたりするなら、それに合わせて構いません。

これまで扉を閉めてお正月を迎えてきた家も、故人を大切に思う気持ちに変わりはありません。

四十九日前(忌中)にお正月を迎えるときの仏壇

和室に白い布を掛けた後飾り祭壇が設けられて白い布で包んだ骨箱と白木位牌が置かれ、その隣で扉を開いて本尊と掛軸を祀った仏壇にも花やお供え物が並んでいる写真

年末に家族を見送り、後飾り祭壇がまだある中でお正月を迎えることもあります。
慌ただしい日々が続き、お正月の飾りまで整えきれないのは無理もないことです。

ここで取り上げる宗派の資料は、四十九日の間の飾りとお正月の飾りを別々に説明していて、2つが重なる場合までは書いていません。

このような時は、まず菩提寺に確かめるのがいちばん確実です。
そのうえで、資料から分かる範囲をまとめておきます。

後飾り祭壇がある間も、仏壇の供養は続ける

真宗大谷派の説明では、四十九日までは仏壇の近くに後飾り祭壇を設け、故人が授かった法名と遺骨を安置します。

四十九日の法要を終えたら後飾り祭壇を片付け、仏壇の飾りをふだんどおりに戻すという流れです。

その間の仏壇について、浄立寺は、白いお餅を供笥や高坏に盛って後飾り祭壇と仏壇の両方に供えるとしています。

後飾り祭壇を置いていても、仏壇は仏壇で供養を続けるという考え方は、最初の章で見た浄土宗の辞典の説明とも重なります。

後飾り祭壇そのものの並べ方や片付ける時期は、こちらで確かめておくと安心です。

後飾り祭壇の飾り方といつまで置くか、中陰壇の並べ方や配置と片付け方
火葬を終えてご遺骨が自宅へ戻るまでの間に、葬儀社が白い布をかけた台を組んでいくのが一般的です。 これが後飾り(後飾り祭壇)と呼ばれるもので、 …

四十九日の間の飾りと、お正月の飾りが重なるとき

四十九日の間の飾りは、白や落ち着いた色が中心です。
真宗大谷派は、この間の打敷を白や萌黄(もえぎ)、茶色やねずみ色の地のものとし、お餅も白いものを供笥に盛って供えるとしています。

白っぽい色の打敷であれば、仏壇店でも珍しくありません。
表と裏で色を使い分けられる両面の打敷も、数は多くないものの売られています。

一方で、お正月の鏡餅やお正月に掛ける打敷をこの間どうするかは、ここで見た宗派の資料には直接の説明がありません。

神道の側では、忌明け前ならお正月の祝いを小正月か旧正月に回す、と福島県神社庁は説明しています。
これは神社庁による説明で、仏壇の決まりとして示されたものではありません。

菩提寺に確かめるときは、鏡餅を供えてよいか、打敷を替えるかもあわせて聞いておくと、年末の準備を進めやすくなります。
決めきれないことが残っても、仏壇の前で手を合わせることは、ふだんどおり続けて大丈夫です。

喪中なのに鏡餅を買ってしまったときは?

食卓で家族が焼いたお餅を箸で取り、もう一人がお茶の湯呑を手にしている手元の写真

宗派や家の考え方で仏壇に供えると決めたなら、用意した鏡餅をそのまま仏壇に供えれば無駄になりません。

神棚や床の間に正月飾りとして飾るのを見送るなら、飾らずにお餅として家族でいただくのも一つの方法です。

仏壇に供えた鏡餅も、下げた後は家族でいただけます。
せっかく用意したものですから、故人を偲びながら家族で味わう時間にしてもよいかもしれません。

お供えを下げるタイミングやいただき方は、次の記事もあわせて読んでみてください。

朝の柔らかな光の中、家庭用の仏壇にご飯とお茶が供えられ、線香の薄い煙が立ちのぼる写真

お仏壇のお供えはいつ下げる?食べていい?「おさがり」の考え方
お仏壇にお供えしたご飯やお菓子を前に、いつ下げればいいのか手が止まってしまう。そんな経験をお持ちの方も多いかもしれません。 朝に供えたご飯 …

まとめ

喪中のお正月も、仏壇へのお参りと毎日の供養は、控えずに続けて構いません。
仏壇の扉も閉めなくてよく、開け閉めはこれまでどおりで大丈夫です。

鏡餅は、神棚や床の間に飾る年神様のためのものと、仏壇に供えるものとで扱いを分け、仏壇の鏡餅は宗派と家の考え方に合わせて決めればよいでしょう。
四十九日が明ける前にお正月が来るときは、菩提寺に一度相談しておくと安心です。

故人を思って手を合わせる初めてのお正月を、家族で落ち着いて迎えてくださいね。

  • 公開日:2026.10.09

カテゴリ:仏事などの解説

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