先祖代々・夫婦・複数の位牌の順番と位置
位牌が複数ある時の仏壇への並べ方・置き方について

位牌の並べ方と言えば、四十九日を前に本位牌ができあがり、仏壇のどこに置くのかを初めて考えたという方が多いのではないでしょうか。
実家の仏壇を引き継いで、先祖代々の位牌と親の位牌はどちらが右なのか、段が足りない時はどうするのか、夫婦はどちらを右にするのかと迷っている方も少なくありません。
位牌の並べ方は御本尊との上下の関係と、向かって右が上座という決まりさえ押さえておけば、ほとんどの場面で悩まなくてよくなります。
ここでは仏壇の中での並べ方に絞って、基本の位置と向かって右が上座になる理由、位牌が複数ある時の順番、段が足りない時の置き方まで見ていきたいと思います。
仏壇の中での位牌の並べ方の基本

結論を先に述べておくと、位牌の並べ方で大事になるのはこの3つです。
- 御本尊の一段下に置く
- 向かって右を上座として並べる
- 御本尊の顔を隠さないようにする
基本はこの3つで、前の2つは位牌を用いる宗派の公式の説明でも一致していて、3つ目は仏壇の主役が御本尊だという考えから自然に出てくるものです。
御本尊とは仏壇の一番上の段の中央に祀る仏像や掛け軸のことで、仏壇の主役にあたります。位牌はその主役の下に控えるものだと考えておくと、細かな決まりも腑に落ちやすくなるかもしれません。
御本尊の一段下に、向かって右から置く
曹洞宗の公式サイトでは、仏壇を「家庭の中のお寺」と説明しています。
本堂で仏さまが一番高い場所に祀られているのと同じように、家の仏壇でも御本尊が最上段に来ます。
左右の向きについても、同じページに「古いお位牌は向かって右に、新しいお位牌は左におまつりします」と書かれています。
参考)お仏壇のまつり方
段と左右の両方を一文で示しているのが臨済宗と黄檗宗の公式サイトである臨黄ネットで、「本尊さまの一段下に、向かって右側からより古い仏さまを安置します」とあります。
宗派が違っても、御本尊の一段下に右から古い順という考え方は変わりません。
参考)臨黄ネット「FAQ」
3段ある仏壇なら、天台宗の公式Q&Aにあるとおり、最上段に御本尊、中段に位牌、下段に香炉などの仏具という並びが全体の姿になります。
御本尊や脇侍の顔を位牌で隠さない
御本尊の両脇には、宗派を開いた祖師や菩薩などを描いた掛け軸や像を祀ることがあり、これを脇侍と呼びます。位牌を置く時は、文字が書かれた札板の部分が御本尊や脇侍の顔にかからない位置を選びましょう。
理由は単純で、仏壇の主役はあくまで御本尊だからです。
天台宗の公式Q&Aも、仏壇は御本尊を祀ることが主体だと説明しています。
手を合わせた時に御本尊のお姿が位牌の陰に隠れてしまっては、本末転倒になってしまいます。
背の高い位牌や段の浅い仏壇でどうしても顔にかかってしまう場合の置き方は、後ほど段が足りない時の節とミニ仏壇の節で解説します。
なぜ向かって右が上座なのか
向かって右が上座と聞いて、結婚式では新郎が向かって左に立つのに、と引っかかる方もいるかもしれません。
実は結婚式の並びは西洋式に従ったもので、仏壇の並びはその逆の日本式なのです。
日本の礼法では、その人自身から見て左側が上座になります。
これは「左上右下」と呼ばれる考え方で、2013年の日本経済新聞の記事によれば、飛鳥時代に遣唐使などを通じて中国から伝わり、いまも礼法の基本として受け継がれているとされています。
仏壇では御本尊が手を合わせる私たちの方を向いて祀られていますから、御本尊から見た左側は私たちから見ると右側になります。
向かって右が上座になるのは、御本尊を基準にした左上位を私たちの側から見ているからです。
埼玉県朝霞市のあさか大師の説明でも、仏教では御本尊から見て左側を上座とするため向かって右側が上座になったとあり、京都御所に向かって右側が左京区にあたるのも同じ理由だとされています。
余談ですが、同志社女子大学で特任教授を務めていた吉海直人氏が2019年に書いたコラムによれば、古代中国の漢では右が上位で、左遷という言葉はその名残だそうです。
夫婦の位牌の左右も、この左上右下を当てはめたものになります。
先祖代々・複数の位牌を並べる順番

位牌が複数ある時は、先祖代々の位牌を御本尊の一段下の向かって右端に置き、個人の位牌はその左へ順に並べます。
その段が埋まったら、もう一段下の向かって右から続けていきます。
ここまでは宗派の公式の説明と食い違わず、仏壇店の案内でも一致していて、迷う余地はあまりありません。
迷いが出るのは、個人の位牌を亡くなった順で並べるのか世代の古い順で並べるのかという点と、夫婦の左右で、どちらも後半で詳しく解説します。
先祖代々の位牌が一番の上座になる
「○○家先祖代々」と書かれた位牌は、一人の故人ではなく、その家のご先祖様全体をまとめて祀るためのものです。個人の位牌を代表する存在にあたりますから、位牌の中では最も上位として扱われます。
置く場所は御本尊の一段下の向かって右端で、個人の位牌はその左隣から並べていく形です。
曹洞宗の公式サイトが古い位牌ほど向かって右と説明しているのも、先祖代々の位牌を一番右に置く並びと同じ考え方になります。
先祖代々の位牌が無い家では、一番古いご先祖様の位牌が右端に来ます。
新しい位牌は左へ、段が足りなければ一段下の右へ
いま作ったばかりの位牌をどこに入れるのかと言えば、すでに並んでいる位牌の左端です。先に並んでいる位牌を動かして詰め直す必要はなく、一番新しい位牌が左端に加わる形になります。
2段目がいっぱいになったら、3段目の向かって右から同じように左へ並べていきます。ただ、3段目は香炉や花立などの仏具を置く場所でもあるため、仏具と位牌がぶつかるようなら、位牌をまとめることを考える時期に来ていると言えます。
とはいえ、この並びは絶対の決まりというものではありません。
御本尊の顔にかかる時は、もう一段下げたり順番を多少変えたりして祀ることもあり、御本尊の顔を隠さないことの方が優先されます。
亡くなった順か、世代の古い順か
個人の位牌を右から並べる順番には、亡くなった順に右からという説明と、世代の古い順に右からという説明の両方があります。
宗派の公式の説明は古い位牌を右に、と書くだけで、古いというのが亡くなった時期なのか世代なのかまでは触れていません。
どちらかが正解だと思われがちですが、普段はどちらで並べても結果は同じになります。親が子より先に亡くなるのが通常ですから、亡くなった順でも世代順でも、親が右で子が左という並びに落ち着くからです。
両者がずれるのは、親より先に子が亡くなった時や兄弟姉妹、この後に解説する夫婦の位牌くらいに限られます。
親子が逆転した場合は、亡くなった順を基本にする考え方でも親を右の上座、子を左に置くことが多く、実際には親を上に置く形で落ち着きます。
そうした場面に当たった時だけ、菩提寺に聞けば問題ありません。
宗派の公式が明示していない以上、菩提寺の案内がその家の答えになりますし、法要の打ち合わせのついでに一言尋ねれば解決できます。
夫婦の位牌は夫が右、妻が左が一般的
夫婦の位牌を別々に作った場合は、夫を向かって右、妻を向かって左に置くのが一般的です。先ほどの左上右下を夫婦に当てはめたもので、あさか大師の説明でも、夫婦の位牌は古来の日本式で夫が向かって右側だとされています。
ただし、妻が先に亡くなった家では、亡くなった順を優先して妻を右に置くという考え方もあります。地域や家の習わしで変わるところですから、どちらが間違いというものではありません。
迷う時は、仏壇の中にあるご先祖様の夫婦の位牌を見てみましょう。
前例があればそれに合わせるのが一番自然ですし、無ければ夫が右の一般的な並びにしておけば十分です。
また、夫婦連名の位牌にすれば1本にまとまりますから、左右で悩むこと自体が無くなります。
サイズについても、いまは夫婦で同じ大きさに作るのが一般的になっています。
段が1つしかないミニ仏壇では御本尊の左右に置く

段差の無い小さな仏壇では、御本尊の向かって右側に1本目の位牌を置きます。
2本目は向かって左側に置き、どちらも御本尊の顔にかからないように少し外側へ寄せておきましょう。
同じ段に置いてよいのかと不安になるかもしれませんが、曹洞宗の公式サイトは、位牌を御本尊である「お釈迦さまの左右におまつりし」と、段を指定しない書き方をしています。
御本尊の左右に並べる置き方は、この説明と矛盾しません。
天台宗の公式Q&Aも、小ぶりな仏壇では御本尊と位牌が同じ段に並ぶこともあると認めています。
それでも御本尊を一段高く見せたいなら、御本尊の下に小さな台を敷く方法があります。御本尊用の台として売られているもので、台の高さの分だけ御本尊が位牌より上に来て、上下の関係がはっきりします。
段が1つしかない仏壇に3本目以降の位牌が入らないなら、位牌をまとめるか、仏壇そのものを大きくするかを考える段階になります。
位牌が増えて置ききれなくなったら

位牌が増えて仏壇に収まらなくなったら、いくつかの位牌を1本にまとめる方法があります。
曹洞宗の公式サイトにも「『繰り出し位牌』や『合同牌』にしたり、『○○家先祖代々』にまとめることができますので、菩提寺にご相談ください」とあり、まとめること自体が宗派公式の側から示されている選択肢だと分かります。
繰出位牌(くりだしいはい)は箱の形をした位牌で、回出位牌とも書かれ、中に何枚もの札を収めて1本にまとめられます。
まとめた繰出位牌は先祖代々の位牌と同じ扱いになりますから、置く場所も上座側で、先祖代々の位牌が別にあればその左隣に並べます。
宗派によって案内は少し違い、日蓮宗の公式サイトでは繰出位牌ではなく過去帳を勧めています。
過去帳は亡くなった方の戒名や命日を書き記しておく帳面です。
日蓮宗の案内では、位牌が多くなりすぎたら古いご先祖様から順に過去帳へ写し、「過去帳をご本尊の一段下の中央に置き、両脇に新しいご先祖様のお位牌をまつってください」とされています。
参考)仏壇について|仏教・仏事のQ&A|日蓮宗ポータルサイト
いつまとめるかは、法要を営む最後の年忌にあたる弔い上げが1つの区切りになります。
浄土宗の公式辞典である新纂浄土宗大辞典によれば、弔い上げは三十三回忌や五十回忌、百回忌など地域によって差があり、これを機に個人の位牌から先祖代々の位牌へ変えられる場合があるとのことです。
繰出位牌の種類や、中に収める札の並べ方は下記の記事で詳しく解説しています。
- 回出位牌の種類と価格の目安|繰り出し位牌の選び方とまとめ方
- 位牌の中でよくいただく質問の1つに回出位牌があります。 位牌と聞けば多くの人が、戒名など入れてある金色だったり木目のあれかとイメージしやすい …
宗派による違いは?浄土真宗の場合

位牌を用いる宗派であれば、ここまでの並べ方は共通です。
天台宗、真言宗、浄土宗、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗などがこれにあたります。
しかしながら、浄土真宗はここが違い、本義としては位牌を用いない宗派です。
西本願寺の公式サイトでは、位牌はもともと中国の儒家で用いられ、亡き人の官位と姓名を記した牌だったと説明されていて、真宗大谷派の東本願寺も位牌は用いないと明言しています。
代わりに用いるのが過去帳と法名軸で、法名軸は浄土真宗で戒名にあたる法名を書いた掛け軸です。
西本願寺の案内では、過去帳は御本尊の妨げにならないように仏壇の脇の段か下の段に置くとされています。
参考)浄土真宗本願寺派(西本願寺)よくあるご質問「位牌を用いない!」
東京・浅草に本山を置く浄土真宗東本願寺派では、過去帳は御本尊より一段低いところに置き、法名軸は仏壇の右または左の壁に掛けるという案内です。
とはいえ、いまは浄土真宗の家でも位牌を用意するケースが増えていて、菩提寺によっては受け入れているところもあります。
浄土真宗での位牌の考え方といまの流れは、下記の記事にまとめています。
- 浄土真宗に位牌は必要ない?過去帳や法名軸と今の時代の流れについて
- 非常に多くのお客様から過去にお問い合わせいただいた中の1つに、浄土真宗の方の位牌は必要なのか必要でないのかというのがあります。 一般的には …
位牌の並べ方でよくある疑問

白木位牌と本位牌は一緒に並べる?
仏壇に2本を並べる期間は、原則としてありません。
葬儀から四十九日までは自宅に設けた後飾りの祭壇に白木位牌を祀り、四十九日の法要で本位牌に移した後、白木位牌は菩提寺に納めるのが一般的な流れです。
浄土真宗東本願寺派の案内でも、白木位牌は一時的なもので、四十九日を過ぎた後の扱いは菩提寺に相談するようにとされています。
仏壇の中に白木位牌と本位牌が同時に並ぶ場面は、基本的に来ないと考えて構いません。
妻の実家の位牌も同じ仏壇に置ける?
置けます。
天台宗の公式Q&Aは「仏様の世界では誰もが平等ですから、生前の姓が異なっても何の支障もありません」と答えています。
参考)天台宗:Q&A(回答)
置く場所は、曹洞宗の公式サイトに「親類、縁者のお位牌等がある場合には、この順におまつりします」とあるとおり、自分の家のご先祖様の位牌より後、向かって左側や一段下の下座側です。
宗派が違う位牌を迎える時は、事前に菩提寺へ一言伝えておきましょう。
新しく作る位牌は先祖代々の位牌より小さくする?
先祖代々の位牌より大きくしなければ問題ありません。
かつては一回り小さく作るのが一般的でしたが、いまは大きくさえなければよいと考える方が多くなっています。
千葉のやすらか庵の説明では、御本尊が中央にあって一番大きく、位牌はそれより一回り小さいのが本来の姿とされていて、御本尊より高くしないというのも同じ考え方です。
仏壇に合わせたサイズの決め方は、下記の記事が目安になります。
- 位牌のサイズや大きさの決め方 - 寸とcmの早見表と測り方
- いざ位牌が必要となった時に多くの人は、選び方がわからないとよく言います。 ですが、実際には位牌にはどの宗派ならどの位牌をといった基準は特にあ …
まとめ
位牌は御本尊の一段下に、向かって右を上座として並べ、先祖代々の位牌があれば右端に置きます。
新しい位牌は左端に加え、段が埋まれば一段下の右からで、迷う場面は親子の逆転や夫婦の左右など限られたところだけです。
そこに当たった時は菩提寺に一言聞けば決まりますし、それ以外はここまでの並びで十分と言えます。
並べ方が決まったら、あとは毎日手を合わせる時間の方がずっと大切ですから、肩の力を抜いてお参りを続けてまいりましょう。



